第95話 失敗
「何だと!失敗とは何事だ!?」
「はっ!キャサリン嬢がメイド長に部屋替えを依頼して……」
「………不味いな。一旦、此処を引き払うぞ、準備を頼む。」
入口に控える専属メイドのジェーンに指示を出しながら思案する。
愛人でもあるジェーンを連れて行くべきか。
ここで共に行動すると共犯と見なされるだろうからな。
「………リチャード様、私は連れて行って貰えるのでしょうか?」
「いや、暗殺が失敗した以上は覚悟しておかなければな。お前は巻き添えにしたくない。」
「そんな…………」
「お前はここに残れ。何か聞かれても知りませんで押し通せ。」
「嫌です!私も一緒に………」
『………いい心掛けだけど、もう遅いよ?』
「「………誰!?」」
『婚約者を暗殺しようとしたんだから、覚悟は出来ているよね?』
「「………………………」」
『五月から指示があるまで閉じ込めさせてもらうよ。此処に認識障害掛けるから誰も敷地内に入れなくなるからね。あっ、表とは時間の流れも違うから覚悟してね?では、実行犯と三人で仲良くしていてね!』
「「………………………………………」」
『あっ、二人には五月の魔法は解除させて貰うからね。じゃ〜ね〜!』
「………………………何だと………?」
立ち上がろうとして、そのまま崩れ落ちるように倒れてしまった。
「………………………まさか………?」




