第93話 復活? ②
天蓋付きのお姫様ベッドに近付き、明らかに病人顔の女王様を『観察』する。
「ん〜、やっぱり毒を盛られてるわね。毒見役は、何を働いているのかしら?」
毎日毎食、少量ずつ摂取させられてたのかな?
伯爵様から、女王様は老衰で寝たきりだと聞いていたけど大間違いだったね。
この症状なら、『魔石』を使って魔法を発動させるまでもないね。
中空から空の小瓶を取り出して、女王様の体内から毒物を抽出して瓶の中に集める。
傍から見ると、光の粒子が女王様の体から溢れ出して瓶の中に飛び込んで行ったように見えただろう。
「こんなもんかな?よしっ、そこの貴方達この小瓶を預かってくれるかな。女王様の血液検査をすれば、これと同じ成分の毒物が検出されるから確かめてね。
毒物が特定出来れば、犯人の特定に繋がるでしょうからね。」
瓶に蓋をしながら部屋付きのメイドさんの一人に手渡して、女王様に向き直る。
「さて、女王様、朝ですよ。起きてください。」
薄く目を開けた女王様。
「私の声が聞こえますか?」
頷く女王様のベッドに近付き、
「女王様、貴女は毒を盛られていました。かなり衰弱していましたので、このままでは数日の命でしょう。」
虚ろな目の女王様に、更に問い掛ける。
「私は女王様にお願いがあってここに来ました。今、帝国内では魔物が溢れかえろうとしています。王族達がその義務を果たそうとせずに、後継者争いに明け暮れているからです。
有力貴族家も権力闘争に夢中で、領内に魔物が溢れようとしています。」




