第84話 メアリーの事情 ③
正式採用になっても、変わり映えのない毎日。
むしろ、同期が全員居なくなったことで忙しさが増してる?
まあ、当たり前だよね。
有能だから採用されたわけでは無さそうなのは、察せられたから。
勿論、有能に越したことはないんだろうけどね?
他の人が一度の失敗で覚えることを、私は何十回も叱られながらやっとのことで覚える始末。
覚えられないよりは、マシかな?
お給金は増えた。びっくりするぐらいに増えた。今までが安すぎた?
でも、使い道ないし?
お休みも、取りやすくなった。
まあ、取らないけど。
休んでも、することないし?
覚えた事、忘れそうだし!
そんな毎日を過ごしていた、あの日の『事件』。
そう、『事件』!
メイド長の前に倒れた『異形の怪物』。
崩れ落ちた壁の間から次々と侵入してくる大小様々な『魔物たち』。
怯えている暇などありませんでした。
メイド長を『見習って』それを倒していきます。
やれば出来るもんですね?
粗方倒したところで、やっと屋敷内に警報が鳴り響き始めました。
はっきり言って、遅いです!
メイド長と二人で打ち漏らした魔物を倒しつつ、暴れ回った魔物たちが壊したものを『修復』しながら屋敷内を点検して回ります。
私はバテバテなのに、メイド長はノリノリで元気いっぱいです。
改めて、メイド長には逆らわないぞと誓います。
そして、全部片付いた?後に知った、衝撃の真実?
魔物の襲撃の原因が、私とメイド長だった?
二人で『大魔法』を使ったことで、領内の魔物たちを引き付けたらしい!
ほんとに居たのか、魔物!
更に驚かされたのが、私に『魔力』が有ったことが採用の決め手だったと知らされた事。
魔力が無くても採用したと付け足されたけど。
そして…………知りたく無かったことを知ってしまった。
母と血の繋がりが無かった事。
平民に魔力が無い事から貴族家の縁者を採用していたらしく、更に孤児を探し出して魔力の保持を確認していたそうだ。
と、言うことは?
私?貴族家と、繋がりある?
今更、どうでも良いけど?
でも、今度、母に会ったら聞いてみよう。
私達に魔力が、魔法の力が発現したのが何故なのかがわからなかったが、しばらくして原因がわかった………
何故なら、屋敷内の女性職員全員が『魔法使い』になってしまったから。
直近の、全員の、共通している事と言えば?
そう!あれしか無い!




