第79話 メイド長アンの憂鬱 ③
「あれ?」
おかしいですね?
体が軽いです。さっきまであった目のかすみもありませんね?
書類仕事がサクサク進みます。
タイピングも絶好調です!
いつもより、遥かに早く日報の作成が終わってしまいました。
プリンターで控えを出力してからファイルを送信して、もう今日の仕事のノルマは完了です。
あと少し時間がありますので、偶には見回りでもしましょうかね!
思い立って、立ち上がった瞬間、執務室のドアがバダーンと大きな音をたてて開きました。
「………メアリー、いつも言っている通り、ノックをする、静かにあ………」
「メイド長〜、大変です〜、すぐに〜来てください〜?」
いつもの、あわてものの、メアリーとは、ひと味違った慌て方です。
これは、間違いなく、緊急事態です!
「どうしましたか?」
「兎に角〜、一緒に〜、来て〜ください〜!」
いつもの通り、無理矢理手を引かれて、連れて行かれます。
もう、諦めていますが、何故か、一緒に、走っていても、付いていけてます。
あれ?やっぱり、身体が、軽いです。
「メイド長、見てください!」
案内?されて、たどり着いた、メインホール。
何故か、何時もより、光り輝いています。
ピカピカです。
「………メアリー?貴方の担当でしたわね?今日此処を管理するのは?」
「そうなんです!チョット、コッチへ一緒に来てください!」
また、引きずられるように、連れて行かれます。
辿り着いたのは、屋敷のハズレにある倉庫です。
「どうしたのですか?何があるのですか?」
「へっへ〜、まあ、見ていてください!」
ここは、ガラクタだらけの倉庫です。
ホコリまみれです。
「?何が有るのですか?」
「では、始めます、『綺麗になあれ!』」
傍らにあった、汚い箒を、手にとったかと思うと、横に祓いながら、ふざけた呪文のようなセリフを唱えました。
瞬間、汚かった、ホコリまみれな倉庫が、まるで別世界の様な変わりようでキレイになりました。
それどころか、ガラクタ達も、ピカピカ新品同様に変わりました。
空いた口が、塞がりません!
「…………何が…………おこって………」
「メインホールの掃除が面倒になって、ふざけて『綺麗になあれ!』と呪文を唱えてみたら………」




