第67話 魔導具
「……これは?」
「伯爵家に伝わる魔導具だ。」
「?魔導具、ですか?」
「そうだ。伯爵様の許可は頂いてある。君が使えるようなら預けるそうだ。さあ、利き腕にはめてみてくれ。」
「何故、私に?」
「もし、ミーアが王族の血を引くとしたら、この腕輪が君を守ってくれるかも知れないからだ。」
「………もしかして、貴重な物なのでは?」
「だからこそ、君に預けるのだ。」
差し出された箱と腕輪を受け取り、見掛けよりもずっしりと重い腕輪を右腕上腕にはめてみる。
瞬間、僅かに光った後に腕に溶け込むように消えていった。
重さは全く感じなくなっていた。
「言い伝えの通りだな。無事に魔導具に受け入れられたようだ。」
「えっ、どう言うことですか?」
「この腕輪は、意志を持っている。魔力の波長が合う持ち主を求めて貴族家を渡り歩いて来たと言われている。合わなければ、腕に嵌めることが出来ずに弾かれるそうだ。」
「私が選ばれたと言うことでしょうか?」
「その様だな。今まで使いこなせたものは居なかったと伝えられている。」
軽く右腕を振ってみる。
今までとは違う力が手先から迸る。
「執事長様、何処が広いところで試してみたいのですが?」




