第63話 婚約⑤
「………歩ける?何故だ!」
車椅子からダイニングテーブルの椅子に移るときに、叫ぶリチャード様。
『『『ヨカッタ?』』』
白々しく棒読みで答える私達。
知ってた。こう成ることは。
知らなかったのは、本人だけだからね?
思ったより、早く治ったね。
「これが、私の能力の一つです。治癒魔法だと思って頂ければ。」
「能力?魔法?」
「そうです。もう完治していますね?後で確認しましょうか?」
「後でだと?今すぐにか………」
「落ち着いてくださいね!皆様お待ちです。先にお食事を。」
皆まで言わせずに、強引に話を進める。
まあ、私が腹ペコなせいもあるんたけどね?
心此処にあらずのリチャード様とお付きのメイドさん。
あっ、メイドさんも急遽関係者として強引にお食事会に参加してもらってる。
ドレスは、間に合せで用意してもらったよ?
メイド長に訳をお話したら、喜んでドレスアップを大急ぎでしてくれたよ!
他のメイドさん達も、お手伝い大歓迎だったよ!
多分だけど、二人の関係は屋敷の皆が知っていたんだろうな?
伯爵様は、最初は渋いお顔をしていたけど、私が受け入れたことを説明したら納得はしてくれたみたいだね。
この後の説明が大変だけど、まあ受け入れてもらうしかないからね?
寿命が来るまで不老不死だなんて聞いたら、どう思うのかな?




