第56話 後遺症?
「息子様の後遺症は、どの程度なのですか?」
「腰から左足をやられてな、移動には車椅子が必要だ。あと、端的に言って不能状態だ。薬を使えば何とかなるレベルだがな。
今はリハビリの結果、室内なら何とか一人で移動できるレベルまで回復した。」
「………子作りに支障が有りそうだと?」
「まあ、その通りだが、はっきり言うな?」
「私が手出しして、よろしいのですか?」
「何とかなるのか?」
「してみせましょう!私の幸せな未来の為に!」
苦笑する伯爵様。
「何時、お会いできますか?」
「今日は、リハビリで郊外の専門医院に行っている。帰りは明日になる。」
「私が完全に回復させたとして、元の婚約家との関係は悪化しませんか?」
「悪化も何も、既に絶縁しておる。後遺症が残り歩けないと聞いて、見舞いにも来ずに代理人を通して破棄して来おったからな。」
あ〜、最悪の縁切りだわな?
薄情者の見本みたいな貴族家だね。
「私にとっては、幸運と言うべきでしょうね?」
本当に、こんなに良い条件の、これ以上にない優良物件が残っていたんだからね?
「リチャードにとってもだな。
明日、家族全員と顔合わせ出来るように手配しよう。」
でも、私、婚約破棄された瑕疵物件なんだけど、良いのかな?




