第48話 リハビリ
「女神様にお仕えいたします!」
「却下!」
「え〜っ?!」
病室、ベッドの上、叫ぶ、少女。
呆れ顔を出さないように、気をつけながら、ベッドに近づく、私。
「ミーアって、呼んでもいいかしら?私のことは、『五月』って呼んでね?」
「………恐れ多い!五月様、無理です!」
部屋付の看護師さんの許可を取り、名前を確認してから面会に訪れた第一声が、『女神様』。
キャシーの言う通り、『狂信者』が出来上がってしまったようだ。
私の容姿からすると、女神様と言うよりは、座敷童子なんだけどね?この国では、わかんないか。
「それよりも、具合は如何かしら?」
「………はい、目が、見える、よう、に……
それに、痛みが引いて、少しだけ飲めるように…………」
涙ぐみ、言葉に出来ない様子のミーア。
「1週間もすれば包帯も取れて、普通に歩けるようになるからね?
それまで、リハビリ頑張ってね!」
「……はい、ありがとうございます。普通に歩けるように頑張ります。」
多分だけど、私の普通とミーアの思う普通は違うんだけど、まあいっか?
「ところで、どんな自分に成りたいのか、決まった?」
「はいっ、『女神様をお守りする騎士』に成りますっ!!強くなりたいです!」
「……それは、一旦置いといて、貴方の容姿や内面の事を。具体的にね?」
「?変われるのですか!」
「少しだけならね。内面は、あなた次第だけどね。それを強く願ってくれるかな?」
「……ボサボサのくすんだ赤髪を綺麗な赤に、ソバカスだらけの顔をツヤツヤの肌に、ヒビ割れだらけの手を貴族のお嬢様の様な美しい手に、チンチクリンな身体を女性らしく、そして、女神様をお守りする強い身体と心を!」
彼女の望みを聞いて、失敗した!と思って内心頭を抱えてた。
だって、ナノ魔法陣によって、その望みは、全て、叶ってしまうのだから。




