第44話 大樹さんの事情
この地に降り立ってから二千年余り。
私達の寿命からすれば一瞬にも等しい時が過ぎた。
魔力のある者達が集められ、異世界へと転移し、情報を送り続けた。
時の流れが異なる為、送った情報が役立っているのか判らないまま時間だけが過ぎ去っていった。
突然、我が王女様から指令があったのはつい先日の事。
解決の糸口が、この世界に有ると。
王女様自ら転移して来ると?
私が使った転移ゲートは、既に作動しなくなっていた。
作動しても、王族の魔力量では作動しなかっただろうが。
そこに、現れたのが、五月様。
結果、この世界の諺の『ミイラ取りがミイラになる』そのままの状態になった今。
王族が使い魔って、なんの冗談でしょうか?
あ〜あっ、私はどう動くのが正解だったのでしょうか?
五月様は、当分帰ってこないでしょうし、王女様も同じく。
更に、何故かメイド長まで一緒に召喚されている始末。
一番驚いたのが、関係者全員、メイド長も含めて魔力が急増している事。
有り得ない…………
五月様は、相変わらず魔力制御は出来ないものの、代わりに魔法陣を使いこなせるように?
更に、急増中の魔力。
私のところには、とばっちりが来ないように祈るばかりです。




