第4話 終わりの日と、始まりの日 その3
6時前に駅前へ。
途中で、荻野くんに声を掛けられた。
「これ、頼まれた退職金の見込み、非公式だけど」と封筒を渡された。
ありがたく受け取り、バッグに納める。
店に入ると、予約してたらしく、個室に通された。
「五月、おひさ〜」手を振るのは、幸子。名前の通り、今幸せいっぱいでうらやましい。来年、結婚が決まっている。少し前までは、私もそうなるはずだったんだけどな。
「よう!」
手を挙げる、渡辺くん。オタクっぽいけど、仕事は出来るスーパーサラリーマン。スポーツも万能。
この二人は、同じビルで働いているがフロアが違うので久しぶりに会う。
「あと、裕子さんが来る。他は、今日近くに居なくて…」
私と同期は6人。突然の声掛けで集まってもらったので、感謝しないと。
同期の中では、裕子だけが私の元彼と面識ある。学部と校舎は違うが同窓で、就活中に知り合って仲良くなった。当時、彼女はフリーだったので、同じくフリーの男女誘って私と元彼主催で合コンしたこともある。
あ、思い出したら、悲しくなってきた。
荻野くんのスマホが震える。
「裕子さん、あと十分位だって。先に注文しちゃうね」
お通しと、サービスのウーロン茶のピッチャーがテーブルに置かれる。
アルコール頼まない人はワンドリンク注文必須だが、有難いサービスだ。
ファーストオーダーが揃ったところで、裕子到着、開口一番、
「五月、これ、ほんと?」
タブレットを差し出した。