第38話 覚醒? その9
「説明の前にお聞きしますが、何故そこまで私を信頼して戴けるのですか?」
顔を見合わせる二人。
コップを指さし、
「五月?これを目の前で見せられて、何を信じて何を疑えと?
………………これ、『女神の奇跡』以外の何物でもないわよ?」
「…………………」
ウンウンと、激しく首を縦に振る伯爵様。
「………これは、何かね?」
「………ナノレベルサイズの魔法陣です。」
絶句する二人。
「………言葉としての意味は解るが、どうゆうことかね?」
「魔法書に有った、立体的な魔法陣の作用を応用しました。治療用のナノマシンが一番わかり易い例えでしょうか?極小の魔法陣を液状化して、癌細胞と置き換わる様に指示してあります。その後、再生して正常細胞に置き換わった所から魔法陣が消滅していきます。」
「…………………」
「…………………」
「つまり、癌が、完治するという事です。」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
「2週間もあれば、完治するでしょう。副作用の説明をしても宜しいでしょうか?」
「…………………有るのかね?」
「はい、魔法陣が白血球の様な作用をしますので、簡単には死ななくなります。病気には掛かりにくくなりますし、再生の設定もしてありますので手足を切り落とした位なら再生します、切り傷が治るように。まあ、天寿を全う出来ると思って頂ければ?あっ、体内に残されたナノ魔法陣は、生体反応が消えると滅失するように設定しました。そうしないと、ゾンビとして復活しかねませんからね?」
二人とも、顔色が、青くなったり赤くなったり黄色くなったり、信号機かっ!
喜んで良いのかどうか、戸惑っているのかな?
理屈の上では頭だけ残ってれば再生出来そうだけど、流石に試せないからね!
あっ、移植用の臓器、取り放題かも?
伯爵様は、今回、今気付けなければ間違いなく余命宣告だったろうし、キャシーは将来子供を望めなかっただろうからね?
さて、それでは、今回の黒幕を追い詰めるとしましょうか




