第34話 使い魔たちの事情 その1
『王女様…………』
『………………王女様ってばっっ!』
『………………っスノーっっ!!』
『っうわっっ!て、私かっ!!』
『そうですよ?立場をお忘れですか?』
『………スッカリ忘れてたかもしれん。』
『………今後、『スノー』と呼び捨てにさせていただきます。で、どうするのですか?これから。』
『……………………』
そう、私達の目的は、我が世界の復活だったのだが………
やっと、見つけた、鍵となる五月様を取り込もうとして、逆に使い魔として取り込まれてしまったのだから。
世界から時が失われてどれくらい経ったのかすらわからない程の、時間の感覚が喪われた世界。
そう、我が世界は時間が意味を失ったのだ。
空間に存在するだけになった我々は、時間を動かそうとして、出来なかった。
誕生も無ければ、死の概念すら喪われた世界で、ただ存在するだけだった。
新たな誕生を求めても生まれた瞬間に消失し、死を迎え滅失しても直ちに復活する。
全てが止まってしまった世界。
復活の為の研究すら、成果を生み出した傍から消失した。
だが、魔力を持つ者だけが、記憶を保持し、記録を残す事が出来た。
彼らの研究により、この世界には存在しないほどの大きな魔力を使って強制的に時を復活させる事が出来る可能性があることが、解った。
この世界では解決出来ないと悟った我々は、他の世界に活路を求めた。少数だが、魔力を用いて異世界へと転移し戻ってきた者たちが、かつて存在したのだ。
彼らが開いた異世界へのゲートを通じて、情報を集めた。
結果、やっと、見つけたのだ。
我らの希望、五月様を。




