第31話 覚醒? その5
気分は最悪なれど、なんとか無事に着陸。外に出る前に、ショップでスニーカーを買い履き替える。早朝にもかかわらず国際空港のショップは24時間やってるから便利よね。
キャシーは、何も言わずに従った。
これから、走り廻るかもしれないからね!
スノーとネーロに追手がいないことを確認してもらい、タクシー乗り場へ。
歩きながら、
「お屋敷まで、どれくらいかかる?」
「1時間くらいよ。」
「何処か観光地挟んで遠回りしてくれる?直行しないで反対側から向かう形で!」
空港から伯爵領に直接向かうと、途中で私だと気付かれるかもしれないからね!
今度は、用心しすぎとは言われなかった。
車窓から景色を眺めつつ、この後の事を考える。私が狙われる理由が思いつかない。
伯爵様にお呼ばれした事に関係するんだろうけど、明らかに命を狙われてるからね。しかも、機長他クルーだけでなく、リムジン運転手も巻き添えで関係なく。
あのまま離陸してたら、爆発時はまだ陸地上空だから地上の巻き添えも十分考えられたしね。
あっ、もし整備無しで給油だけだったら爆発物仕掛けられないからリムジンにも細工されたのか!
最初に思ったより、敵は大掛かりだね?
より、慎重に動かないと。
ようやく、無事に、伯爵様のお屋敷へ。
タクシーのドライバーは、お屋敷にビビってて申し訳なかったな。
裏門の前で、執事に連絡繋いでもらったら、伯爵様と一緒に飛んできたよ。文字通り空を飛ぶ勢いで。
「よくぞ、無事で!」
「あ〜、キャシーの(私が言う通りに動いてくれた)おかげです!」
ジト目で私を見るキャシー。
まあ、半分位は合ってるからね。
「それより、急ぎ確認したい事が有ります。」
伯爵様を一目視ただけで、解ってしまった。
その、病の深刻さを。
これが、私を呼んだ理由だとは思えないけれど、至急対処しないと命に係わる。
でも、直近にCTとMRI撮った形跡有るんだよね。そんなことも、解るようになってしまったんだよね、私。
主治医、藪だね?
応接室に案内され、テーブルに向き合い、給仕された紅茶を一口。
「急を要するので、先に私の質問に答えてください。最近、健康診断受けましたよね?結果はいかがでしたか?」
伯爵様は、ここまでの事件について聞かれると思っていたところ、何の脈絡も無い質問に面食らったようだが、
「………異常無しと、報告を受けている。」
とお答えになった。
「検査結果とCT・MRIの画像を今すぐ取り寄せて頂けますか?秘密裏に、大至急で!」