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第20話 そして、始まりの日 その6
「え!やめちゃうんですか?」
思わず、声が大きくなる私。
「はい、残念ながら…」
答えるオーナーの大樹さん。
年末から通い始めて1ヶ月弱。
私以外にお客様を見たことが無い事を不思議に思い始めた頃の、突然のお知らせ。
毎日のように通った猫カフェ『モフモフ!』
猫様達の個性も解るようになってきた今日此頃。
「すぐにではないのですが、準備でき次第、妻の地元に帰る事になりました。」
経営が苦しいのかな?
一度、「お客様少ないですね〜」と何気なく聞いてみた時、
「そうなんですよ〜」
と、明るい返事だったので、あまり心配はしてなかったんだけど。
ショックが大きいです。
ここが無くなったら、ワタシ、ドコへ行けば良いの?
猫様達の行き先は?
「あ、みんな連れて行きますよ、勿論。」
当然デスヨネ。
でも、私の行き先は?
「そっか〜、何でしたら、此処をお譲りしましょうか?」
「へっ?できるんですか?!」
「ここは、私の持ちビルですから、居抜きでできますね〜」
「もらった!」
即決した。