第17話 魔法陣 その6
「五月は、魔法が使えるのか?」
「魔法をどう定義するかで、お返事が変わってきますが?」
少し、首を傾げながらお答えする。
「私が持っている能力は、他者に作用する事はありません。今回は、『キーワードである魔法陣が分かったので、暗号を解けた』と考えていただくのが一番近い考え方ではないでしょうか?」
私の、厨二病全開の回答に、再び唖然とする伯爵様。
「よくわからないが、わかった。話を進めさせてもらう。報酬を約束するので、急いで書き写しを。作業は、キャサリンを助手に付けさせてもらう。学長に話して、二人とも講義は出席扱いにさせておく。」
伯爵様、学長とお知り合い?
細かい条件は、キャシーに全権を委任するとの事。
結果、用紙が届き次第、この特別室に缶詰めで作業する事になった。
どうやら、私の与太話を全面的に信用してくれるらしい。
キャシー、貴方、私の事を伯爵様にどんな風に伝えたのかな?
伯爵様は、私に個人メールアドレスを伝えられ、私の連絡先を控えてから、お帰りになられた。
特別室に、取り残された、キャシーと私。
「色々と、聞きたいことがあるんだけど!」
「偶然ね、私もよ!」
相変わらず、ノリのいいキャシー。
「伯爵様の後ろに控えていたお方は誰?」
「そっちか〜い!」
ズッコケる、キャシー。本当に、ノリがいいね。
「紹介されなかったから、護衛の方かと。」
「ざんね〜んでした〜、末の〜息子さんで〜す!まあ、護衛も兼ねてますね。お強いですから。紹介してほしかった?」
前半、元ネタが何かわからなかった。
誰か教えて!
「もし、五月が望めば、すぐにでも婚約出来るよ!あなた程の能力が有れば貴族家選り取り見取りで!」
「どゆこと?」
「やっぱり自覚無いんだね。」
「いや、今まで能力を隠してたから。隠さなかったら、私は子供の頃に壊れてたかもしれないから。」
「話を戻すけど、貴族家の婚姻は当主同士で決めます。貴方は平民だと思うから、伯爵様と五月が同意すれば直ぐにでも婚約成立するよ!伯爵様、五月を攫ってでも連れて帰りたかったはずだよ!個人メールアドレスを家族以外に教えるなんて、多分貴方が初めてだよ!私も知らないもん!」
キャシーさん、お声が大きいですう〜。