第12話 魔法陣 その1
図書館の、いつものカウンターで、馴染みの司書さんと資料請求の打ち合わせをしていた。
銀髪ロングのカノジョはキャサリン、某大帝国からの留学生。自国で司書資格を取ってあるらしく、ここでアルバイトしている。
私と同い年なので、飛び級でもしたのかな?
最近、私がカウンターで彼女を独り占めしている時間が多いので、一部男子学生から恨まれているとかいないとか。逆に、彼女目当てで私に接触してくる人が男女問わずいる。
「古い時代の魔法の資料ですか…」
書庫内の資料が出尽くしたころ、提携施設からの取寄せの相談が行き詰まっていた私達。
「五月、私の遠縁の貴族家当主の蔵書を見せてもらえるか聞いてみるね!」
とんでもないことを言い出した。
「キャシー、どういうこと?」
いま、わたしのあたまのうえには、はてなまーくがたくさんういていることだろう。
思考が棒読みになるくらい衝撃的な事を言い出した。
日本語が堪能なキャサリン、日本のアニメやラノベのファンで、のめりこんだ結果、留学までしてしまった。
そんな、彼女の口から『貴族家当主』?
貴方、貴族だったの?
貴方、お姫様だよね!
「ちがうよ、私の家は、少し前から平民だよ!」
さらっと、トンデモナイことを言う。
「親戚に、伯爵家当主がいます。私の家は、今は普通だよ」
少し前は、普通じゃなかったってことだよね。
「早速、連絡取ってみるね!」
いいのかな。やっぱり、普通じゃナイヨネ。
時差は、どうなってたんだっけ。
まわらないあたまを、グルグル回しながら、待つこと暫し、
「返事、来たよ!希望通り貸し出してくれるって」




