第11話 そして、始まりの日 その5
『私達を召喚させてほしいの、大急ぎで!』
『 … 私の魔力量では、無理です!』
『だから、五月にお願いするの』
『ふへ?』
へんな音を出してしまった。
『五月に意識させないように召喚できるかな?方法は、任せるから!』
『相変わらず、無茶を仰る。普通の人間は、魔法使えませんから!』
現代の人間は、魔法制御が出来ないので魔力量が有っても使えないのだ。
その魔力量も、ほとんどの人間から失われて久しい。
極一部、魔法が使える人間は、精霊の助けを借りて魔法を発動させている。
でも、それでは五月様の魔力量を持ってしても、召喚魔法は発動しない。
『使えるの!私が五月に、魔法陣教えてあるから!』
もっと無理!
普通の人間に、意識させずに、魔法陣使わせて、召喚魔法を発動させる?
どうやって?
いや、もっと、突っ込みどころはあるけど。
いつ、どこで、教えたのかな?
『大学図書館!』
あ、声に出てましたか?
−ー−ー−ー−ー−ー−ー−ー−ー
大学図書館に通い詰めた約一年間を、たった今、何故か、鮮明に、思い出した。
黒歴史を封印していたつもりだったのに。
中でも、魔法陣を調べる過程で、某大○帝国貴族家門外不出の資料の現物を貸し出してもらえることになったことを、思い出した。
厳重に封印されて届いた資料を、大学図書館の特別室で、司書立会で閲覧した。
コピーや撮影不可で、監視カメラに映るのも駄目との指定だった。
資料の最後のページをめくった時、そこに存在しないはずのページの続きが見えてしまった私は、その内容を貴族家当主様を通して、帝国の王室に献上することになった。
結果、大発見だったらしく、どういうわけか、その功績で帝国の爵位を賜った。
辞退したかったのだけど、不敬になるだの、紆余曲折あって、私が結婚するまで公表しない条件で受けた。
そんなもん、公表されたら、普通の恋愛なんか、無理に決まってる!
真っ黒な、これ以上ない、ホンマモンの黒歴史だ。