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17.絵面の改善

よし、やった

成功だ


 この町を見つけてから早2ヵ月。私は修行によって新たな技を身につけることに成功した。

 今私の周囲を飛びまわっているこの精霊達がそうだ。

 いわゆる分身である。


 いや、まぁ普通分身といえば、同じ姿のものが増えるのかもしれない。私のこれは、転生した直後の姿とそっくりで今の私とは似ても似つかないが、私が身体を分けて産まれたのだから分身で合ってると思う。


 この技を思いついたのは、修行中に失敗した時である。その日私はいつものように魔力を込めて修行に勤しんでいたが、予想外に大きな地震が起きて驚いてしまった。その結果、魔力の制御を誤り大量の魔力を拳に集めてしまった。


 そしたら、何と拳が風船のように膨らんでいくではないか。何が起きているのか、全然分からず魔力を分散させようとしても焦って上手くいかなかった。


 そのまま拳は膨らみ続けついには、


 パンッ!!


 と音がして爆発し弾け飛んでしまった。その爆発の威力は大したもので、私は術者だからかダメージを負わなかったが、周囲には散弾銃が打ち込まれたような跡が弾け飛んだ私の肉体によって刻まれた。

 これには大変驚愕した。

 いきなり拳が膨張したこともそうだし、結構な威力の技になったのだから驚いて当然だ。だが、すぐにそんな事は気にならなくなった。爆発で飛び散ったのは私の肉片である。


 つまり私の拳から先は失われた。

 それはもう焦った。

 そして咄嗟に、戻れ、戻れー!! と念じたら周囲の穴から肉片が這い出てきた。


 正直に言って、気持ち悪かった。

 這い出てきた肉片は、空中を飛び私の元に集ってきた。


あー、これでくっつく

よかったー


 と何故か拳が元通りになると確認し、拳を見るとそこにはなんともう新しい拳が生えていた。


えっ!?


 と思い何度も確認したが、拳は確かにあった。

 拳が元通りになったことを喜ぶ反面、じゃあこの肉片どうしようかと悩んだ。

 私の周囲には、飛び散った肉片が漂っており、それは私の意志で動かすことができた。というか離れて尚私の身体の一部である感じがした。


 自分の思いどおりに動かすことができるし、繋がっている感じがしたのだ。

 手がもう一本増えた感じとでも言えばいいのだろうか。とにかくそんな感じがした。


 肉片の対処に悩みながら、肉片を動かして遊んでいたら結構楽しくなってしまった。

 後方宙返りとかさせている時にふと、私の身体に戻れと念じたら一体化しないかなと思い実行してみると、見事肉片は私の身体へと戻った。


へぇー、こんなこともできたんだなぁ。

前世の意識に引きずられていたなぁ。


 前世では身体の一部が千切れたことなどなかったため、千切れた部分は動かせないものだとばかり思っていた。転生してからしばらく経ったが、まだまだ知らないことも多い。与えられる知識も中途半端だから、大変だ。


 先ほどの現象に興味を持った私は、今度は意図的に一か所に魔力を集めそれを身体から切り離すことを意識してみた。すると、思った通りに肉片を身体から切り離すことができた。


 先ほども思ったが、痛みは全くない。誰かに斬られるのと自分で切り離すのは随分違うようだ。

 今度は、肉片のままではなく形を変えるように念じてみる。


 おおっ!! 微妙に再現しきれていないが手の形にすることができた。指の形が少し歪で、ものは持てないがパンチくらいならできそうだ。遠隔だが本体の私と繋がっているため、魔力を込めることもできる。


 さっそく近くにあった岩を殴ってみたが、粉々に砕くことができた。威力は身体に生えている腕から繰り出されるパンチと変わりない。


 棚ボタ的に発見した能力だが、中々使えそうだ。これを使いこなせばできることも増えるというものだ。今抱えている問題も解決できるかもしれない。


 そうして特訓を続け今ようやく欲しかった形に落ち着けることができた。この精霊の形の分身なら問題も解決することができる。ちなみに精霊の形をしているが、自我はなく私が意図して動かしている。精霊の形になったのは成り行きで、色々形を変えていたが精霊の形が作りやすく制御しやすかった。


 これは余談だが分身の形を変えられるなら、本体である私の形も変えられるのではと思いやってみたらできた、がなんか気持ち悪かった。ただ自由度は分身よりも高かったため、色々練習している。


さて、ではさっそく試してみるとするか。


予め用意しておいた女性に向き直る。この女性は、バカップルの片割れだ。一緒にいた男性が「俺この依頼を終えたら、君に伝えたいことがあるんだ」と言う特大の死亡フラグを建てている場面に出くわしたので、運命が彼らを殺せと言っているように感じて襲撃した。


 この町に来てからは戦った中では一番強く、恋人だから連携も上手かった。ただ一々発言が「俺の愛するカレラに何を!!」や「かっこいい貴方を見せて」だったのはどうかと思う。

 特に「愛によって(ラブ・)威力を増す剣(バースト)」というふざけた技で大ダメージを負ってしまったのは、屈辱的であった。


 あまり屈辱的だったので、怒りのままに反撃したら威力が上がり過ぎて男性は消し飛んでしまった。食べられなくなってしまい、経験値が減ってしまったとすぐに後悔するはめになった。女性は消し飛ばさないように気を付けて殺した。

 何とか二人共殺せたものの、凄く心に引っ掛かるものがあった。


 そうして殺した彼らだったが、残った女性の遺体を練習に使わせてもらうことに思い至り今に至る。私が改善したかった問題、それは絵面だ。


 私がこのような人型になる前、The魔物という感じの姿だった時は人を食べていても何も思わなかった。ただ人型になってからは、人型が人食べるって絵面悪くないか? と疑問を抱くようになってしまった。


 別に前世でも、食人族の話は聞いたことがあるのでおかしくはないのかもしれないが、私の心が嫌だった。それに魔物だった頃と口の大きさが違って全然食べ進めることができない。食べるのに以前の数倍の時間がかかってしまっていた。


 そのため食事の改善方法を進化した直後から探ってはいた。ようやく見つけたのが分身による食事だったわけだ。


じゃ、さっそくイタダキマス


 分身を女性の遺体に向かわせて貪り食らう。

 おお!! 凄い、どんどん減っていく。

 本体で食べる時とは段違いのスピードで食べ進めることができる。分身と私は繋がっているために分身で食べたものは、私にも流れてくる。結構強かっただけに、かなりの力を得ることができている。


うーん、男性の方を消し飛ばしてしまったのが残念だ


 ものの数分もしないうちに、女性を食べ終えることができた。これなら、これからの食事の方法として充分だ。やはり魔物が人間を食べている方が絵面としてもいい。自然な感じがする。


 それにしてもこの町に来てから、もう15人以上の人間を戦い殺したがその結果最初に比べ大分戦闘技術も上がってきた。人間よりも魔物と戦うことの多かった火山付近では得られなかった経験だ。

 強い人間と戦った時程、学ぶことも多いし得られる経験値も多い。


そろそろ避けていた強そうな奴らと戦うべきかもしれないな


 そう、決意を新たにした。

書いてて思うことは、まだ名前のない主人公倫理観すげぇなぁーってことです。


高評価、ブクマを頂けると作者のモチベが上がります。よろしくお願いします。

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