14.進化ツリーあっていますか?
さて、奪ったドラゴンの心臓だがどこで食べようか?
進化中は無防備になってしまう。
あの僧侶に付けられたマーキングが外れていない可能性がある以上、できるだけ遠く且つ居ると分かっても手を出しづらい位置で食べたい。
そんな都合のいい位置あったかな、と思考を巡らせていると湖が目に入った。
湖か、そう言えば私呼吸はしていないな。
水中でも問題ないだろうか?
気配を探り、湖の中に危険な魔物がいないことを確認してから潜ってみる。
うん問題なく活動できるようだ。悪くないのではないか。
あの3人組は人間種だ。前世とは乖離がある可能性もあるが、呼吸はしていると思う。湖の中にまで追ってはこないと信じたい。それでも念には念を押してこの湖は火山から近いから、もう少し遠くの深い湖にしよう。
その後しばらく捜索を続けると、条件にあう湖を見つけた。やや濁った色なのが綺麗好きな私としては気になるが、この程度なら許容範囲内だ。ただ心臓は湖の外で食べよう。
ここまで持ち運んだ心臓を捕食する。
うーん、デリシャス!!!
噛み応えがあって、噛む度に魔力が溢れ出てくる。
心臓は美味だった。精霊やドワーフとはまた違った味わいだ。味のするものとしないものの違いがまだ分からないが、味のするものは総じて美味だ。嬉しい。
1口また1口と食べ進める毎に力が身に纏わりついてくるのを感じる。
やはり力の上限に達してしまったのか、今はこれ以上力が増さないらしい。しかし溢れた力は無駄にならずにどこかに溜められているみたいだ。町で襲撃したドワーフの分もそちらに溜まっている。感覚でその事実が分かる。
全て食べ終えるとすぐに眠気が襲ってきた。以前進化した際と同じ感覚だ。
どうやら期待通り進化の条件は満たしたらしい。
湖に飛び込み見つからないように隠れる。
さて、どんな姿になるかな。願わくば気味の悪い姿で無ければよいが。
力はせめてあの3人組と戦えるぐらいは期待したいな。
気分も身体もどちらも沈んでいくの感じながら、進化先の姿と力を想像して笑みが止まらなくなる。
*****
よし、起床!!
意識が戻ると共に勢いよく飛び起きる。よく寝た気分だ。
転生してからは眠る必要がないので自分から寝たことはなかったが、やはり寝ると気分がスッキリする。これからは適時取るようにした方が良いのかもしれない。安全が確保できればだが。
んっ!?
うわ、気持ち悪。頭の中に情報が流れ込んでくる。
何これ、知らないんだけど。
前回の進化の時とは違う現象が起きる。頭の中に前回は自分で探った進化してからできるようになったことの情報が流れ込んでくる。基本的な内容だけだがありがたいのは確かだ。
でも感覚が凄く気持ち悪い。もし前世でパソコンに意識があったらこんな感覚だったのだろうか、など下らないことを考えてしまう。身体が作り変えられる感覚もそうだが、進化の際には必ず不快感もセットになって付いてこないといけない法則でもあるのだろうか。
もっと気持ちよく進化させてほしいものだ。
情報のインストールが終わった後もしばらく気持ち悪さが続いた。
いつまでも水中にいる理由もないので、浮上していく。
水面から飛び出し地上に着地する。
前回は姿の確認が最後になってしまったが、今回は早めに確認できた。
水面に映っていたのは、人型の姿だった。
角の生えた頭、端正な顔立ち、細見だが均整の取れた身体、当然の如く存在する両手両足。背中から生えた1対2枚の翼。そして全体が半透明だ。……そう、半透明だ。
いやこれ幽霊じゃないの!?
向こう側の景色が透けて見えるんですけど?
まずそこに驚いてしまう。進化前の私は精霊だった。3人組が確かダークスピリットとか何とか言ってたし、予想はあっていたみたいだ。
しかし精霊から幽霊に進化って。確かにどちらとも霊の漢字は付くけど、何か違くない? と疑問を抱かずにはいられない。
まぁそれは一旦置いて見た目の評価に移るとしよう。
見た目については進化前の印象を残しつつも順当、、順当? に進化していて助かった。おたまじゃくしと蛙の中間形態のように、球状の身体に手足が生えた気色悪い姿になることも少し想像してだけに、そうならなかったことは素直に喜ばしい。
しかし女神曰く力を付ければ人型になるとのことだったが、球体から人型になるのも過程を吹っ飛ばした感が凄い。
いやでも前世でも突飛のない進化をすることはゲーム中でもあったし、現実でも芋虫から蝶になるのは前と後で全然違う印象があるからおかしくはないかもしれない。人間は進化しないから分からないな。
いいね、気に入った。
かっこいいじゃないか。
飛行は進化前と変わらずできるので浮かび上がり水面を鏡代わりにして、くるくる回りながら自分の姿を確認する。飛行が変わらずできると言っても羽を動かす必要がなくなり、無条件で浮けるようになったので前よりも自由に動ける。
段々楽しくなってきてポージングまで決めてみる。
誰かに見られたら黒歴史確定だなこれ。
中々かっこいい姿だったので、つい興が乗ってしまった。頭の角ももはや羽とは呼べない翼も男心がくすぐられて気に入った。
しかし私はこんな顔だっただろうか?
いや絶対違うな。
水面に映る顔を見てそんな感想を思う。端正な顔立ちだ。前世では見たことのないレベルでかっこいい。前世の顔はもうほぼ覚えていないが、こんなにかっこよくはなかった。高い顔面偏差値を手に入れると予想以上に嬉しいものだ。
存分に堪能したので、見た目についてはまた後にしよう。気に入りすぎてナルシストになってしまいそうだ。
次は、身体機能についての検証だな。と言ってもインストールされた情報で既に分かっていることも多いのだが。
まずは身体についてだが、見た目通りの幽体みたいだ。
だが説明するのは難しいが実体もある。今だって地面に立っている。
物を通り抜けることはできるし、こちらから相手に触れることもできる。魔力を使えない相手には無敵みたいだ。ただ魔力を纏った物は通り抜けられず、攻撃なら被弾してしまう。
これが実体があると言うことなのだが、ややこしいもので実体化できるとは違うらしい。ただ私はまだ実体化できないので実体化の説明は省く。
身体能力はかなり上がった。戦士ドワーフ以上の怪力と抜群の運動神経、高い視力と動体視力も手に入った。前世では運動神経も悪かったし視力も悪かった私としては、嬉しいことこの上ない。
手が生えたことでできることの幅が大幅に増えたのも嬉しい。何だかんだ、球状の身体と羽だけでは困ることも多かった。
飛行能力に関しては、速度は少し速くなった程度だが最大高度が高くなったし前述のように自由度が高くなった。翼は飛行に用いることもできるがメインは武器らしい。
そして一番変わったのが、魔力量だ。かなり増え以前の10倍以上の急成長を遂げている。火山のドラゴン4分の3頭分くらいか。
その影響で使える技も増えた。魔力壁を展開する技や相手から魔力を吸収する技が使えるようになったことが分かる。以前から使えたブレスもそのまま使えるらしい。
ただしこちらは手からも撃てるようになり、威力や出し方が自分で選べるようになった。それに伴い弾数制限も撤廃されたみたいだ。魔力が切れるまで撃てる。
これ程の急成長を遂げた理由は、溜め込んでいた経験値が多かったからだろう。後で練習が必要な事も多くあるが、今はこの成長が喜ばしい。
まだ火山のドラゴンよりは強くないが、それでももう充分だ。3人組へのリベンジやドワーフの襲撃はやらなくていい。
これ以上ここに留まる理由もないので、私は新天地を目指すことにした。
主人公2回目の進化。
人型になる前の中間形態も考えたけど、イマイチ話が作れそうになかったから没になった。
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