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13.強者同士の激突とコソ泥

ふぅ、何とかここまでは捕まらずに来ることができた。


 私は今、以前気絶した時に来たドラゴンの住処に続く洞窟にいる。住処に入らず洞窟に居る限りドラゴンが攻撃してくることはないだろう。もししてくるのならば、私が以前意識のない間に襲われている筈だ。


 3人組は私の位置を補足しているので、私を追ってくるのならばここに来る筈だ。追ってきた彼らをドラゴンにぶつける。もしドラゴンの気配を察知し来ないのならばそれでもいい。存分に傷を癒し彼らから逃げることができるようになったらそのまま逃げればいい。


 この洞窟は1本道で前後を見渡すだけで敵に気付けるのも、私にとっては都合がいい。気配感知で察知できない彼らの接近も分かりやすいというものだ。彼らが姿を隠せるアイテムや魔法を持っていた場合はお手上げだが、流石にないと信じたい。


 しばらく待っていると、コツコツとした足音が響いてくる。前方には暗くて分かりづらいが人影も見えてきた。


――来た。


 飛び上がりドラゴンの方に向かう。ドラゴンがいることは気配感知で確認済みだ。3人組とドラゴンをぶつけようと思ったが、ドラゴンが留守でしたー、なんて間抜けなミスは冒さない。心配事があるとすれば、ドラゴンと3人組をぶつける前に私がドラゴンに灰にされないかと言うことだが、正直厳しいかもしれない。万全の状態なら大丈夫だろうが、羽が2枚切り落とされ残った2枚も1枚は半分程無い今の状態では危ないものだ。

 だが危険は承知の上だ。やらなきゃ3人組にやられるのなら、やってやるさ。


 覚悟を決めて洞窟の奥へと進む。3人組もこちらが移動したことを感知したらしく、走って追いかけてくる。あちらもいい加減この追いかけっこを終わりにしたいのだろう。私もだ。


 前方に光が見えてくる。もう少しだ。


風の刃(ウィングブレード)


 後方から戦士の技が迫ってくる。もう慣れた、1度くらい余裕で回避する。


「アイスランス」

ぐっ!! 危ないな、もう。


 回避した先に魔法使いの魔法が時間差で飛んでくる。身体を捻ってぎりぎりで回避する。かなり危なかった。私が彼らの攻撃に慣れて回避しやすくなったように彼らも私の行動に慣れてきている。この場所に来ていなければ、逃げきれず殺されていたかもしれない。

 私は自分で想定していたよりも危ない状況だったみたいだ。


だが、賭けは私の勝利だ!!!

ざまあみろ、追撃者共。


 私を狙った風の刃が寝ているドラゴンに向かって飛んでいき命中した。ドラゴンの瞼が開いていく。私は今の私に出せる全速力で上空に飛んでこの場を離れた。

 そしてドラゴンが目を開いたとき目の前にいたのは、私を追ってきた3人組だった。


 ドラゴンが咆哮し3人組に敵意を向ける。3人組は予期せぬ遭遇に戸惑っていたが、すぐに落ち着きを取り戻しドラゴンと対峙した。冷静で素早い判断だ。


 そして激闘が始まった。


*****


 ドラゴンが火を吐き3人組を狙う。

 僧侶が唱えた魔法によりブレスが防がれる。

 戦士の技がドラゴンの鱗を切り裂き、魔法使いが追撃する。

 傷を負ったドラゴンだが尻尾で戦士を払いのけた。

 ダメージを負った戦士を僧侶が魔法で癒しすぐに戦線に復帰させる。


うーん、上手く実況できているだろうか。

 

 私は今、狙い通りぶつけ合わせた両者の戦いを見守っている。

 さっさと逃げろよと思う自分もいるが、また命を賭けたギャンブルに身を投じてしまった。


いやだって彼ら思ったよりも実力拮抗してるんだもの。

このままいけばどっちが勝っても、全力の不意打ちで残った方仕留められるかなって。


 自分自身にそう言い訳をする。

 最初は逃げるつもりだったが、ふと生き残った方瀕死にならないかな? 瀕死になったら、私でも全力で攻撃すれば止めさせないかな? 止め刺せば進化できないかな、と私の中の悪魔が囁いてきた。その甘言に従い戦いを見守っていれば、互角の戦いが繰り広げられているではないか。


 これは残ってみてもいいんじゃないかと思い、そのままここに居る。

 しかし、もう何時間も戦っているのによくまだあんなに動けるものだ。特に人間の方は、前世の価値観に引っ張られてしまい驚愕の度合いが大きい。改めて前世との違いを認識させられる。戦いが長引いたため、途中から切り落とされた羽は完治し、完全に切り落とされた羽も根本は復活した。


 飛行能力は戻り切っていないが、不意打ちには十分な速度が出せるだろう。

 

*****


 あれからまた30分程の時間が経った。長かった戦いもいよいよ決着が着きそうだ。


 「「吹雪の乱剣(ブリザードストーム)!!!」」 


 戦士と魔法使いの合体技が炸裂し、ドラゴンの身体が深く大きく切り裂かれる。血が大量に吹き出しドラゴンの目から命の輝きが急速に失われていった。

 勝ったのは3人組の方だ。


 しかし、あんな技があったのか。相当体力を消費するらしく発動後は苦しそうにしている。もし私に対して使われていたら死んでいたな、そう考えると彼らにあんな技を使う必要なく勝てる相手と思われていたのは幸運だった。


奴ら、私のこと強いって評価してたが全力を出す必要は全然ないって舐めたたな。

あってるし、助かったけどむかつく。


 幸運だったの事実だが、舐められたのは琴線に触る。何だか悔しい。すぐに見返してやる。


 大技を決めた2人に対して僧侶が回復魔法を掛ける。

 勝った3人組だが全員疲労の色が濃い。私を襲ってきた時とは比べ物にならない程弱っている。私が側に居ることにも気付いていないようだ。今なら不意打ちが決まるだろうか?


 だが3人共無事だ。誰か1人くらいは死ぬか戦闘不能になってくれると思っていたが、また当てが外れた。3人組に対する戦闘力の見通しが甘かったな。そもそも3人組は、私の感知では1人1人の強さはドラゴンには遠く及んでいないし、実際それはあってる。


 だから勝つのはドラゴンだと考えていた。だが勝ったのは3人組で私の予想と全くの逆だった。コンビネーションや技術といった部分の評価を考慮して相手の強さを見極めないといけない。


 人間種に対する私の考え方は色々間違っていたようだ。間違った意見は修正が必要だ。彼らの可能性を考慮して不意打ちで彼らを襲うことは中止する。

 けれど何もしないで逃げるのも癪だ。あの様子では私の追跡は無理だろうし何かはすることにする。


うん、素材を貰っていこう。


 ドラゴンの解体を始める3人組を見てそう決定する。あれ程のドラゴンの素材なら食べるだけでも進化が期待できる。高速で素材を奪い、高速で離脱できるように魔力を溜めて急加速の準備をする。3人組に気付かれないように可能な限り、ゆっくりゆっくり魔力を溜める。


角、固くて食べられそうにないな、次。

肉、悪くはないがもっと別に良い部位がある気がする、次。

目玉、魔力を集まっているのを感じる。あれにするか?


 次々と解体されていくドラゴンの部位を見ながら品定めをする。目玉が中々よさそうだ。あれにしようかと準備をしたところで、3人組の様子が変わる。何やら喜んでいるようだ。そんなに良い部位があったのだろうか?

 疑問を感じて襲撃を止め3人組を見守る。続いて、ドラゴンの身体から取り出されたのは心臓だった。


心臓!! 桁違いの魔力が集まっているのを感じる。あれだあれにしよう!!


 それまでの部位と桁違いの魔力が集まっているのを感じる。あれに決めた。決定と同時に行動を開始する。


 急加速を使い一瞬で心臓の元まで移動する。急に表れた私の存在に驚愕している3人組の顔が見える。そう言えば彼らの前で急加速は使っていなかった。使う余裕が無かったからだが、初見殺しとして最も効果的な場面で使うことができた。


 落とさないようにしっかりと心臓に噛みつく。大きすぎて口に収まりきらない。もう一度急加速を使用してその場から離脱する。


「待ちなさい、アイスランス!!」


 魔法使いが魔力を振り絞って魔法で攻撃してくるが、魔法よりも私の速度の方が速い。当たらない。

 私はドラゴンの心臓を奪いそのまま逃げ切ることに成功したのだった。

高評価、ブクマを頂けると作者のモチベが上がります。よろしくお願いします。

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