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そして、運命は廻りだす。

力を失い、セターレが落下。

重力に身を任せて『聖なる大地(バハラジラ)』に墜落した彼を、チミーは慌てて追いかけた。


聖なる大地(バハラジラ)』に横たわるセターレ。

チミーが顔を覗かせると、セターレはどこか吹っ切れたような表情を見せていた。


「儂の、負け.....のようじゃな。」


そう呟くセターレの表情に、僅かな心残りを見たチミー。

察した彼女は大きく頷き、穏やかな表情でその正体を言い当てる。


「分かってるよ。アンタが倒れた今、この星の未来はどうなるのか...でしょ?」


『管理者』ほどの力を持った者が倒れたとなれば、ギルガンの侵攻も勢いを強めるだろう。

その他にも、この星には解決すべき課題が沢山ある。

セターレは、その後の未来を憂いていたのだ。


彼が静かに頷き、少しの沈黙が漂う。


「『管理者』がいなくなれば、アンタがこんな事を引き起こさなきゃいけないほど酷い事態に陥ると予想される。......だったら。」


燃え盛るような紅蓮の目で真っ直ぐにセターレを見下ろし、チミーが強く宣言した。


「私が、『星の管理者』になってやるわ!この星の未来を、絶望に落とすなんてしない!」


その言葉を聞いたセターレは少し目を見開いて驚いた後、不安を抱えた表情を安心へと変貌させる。


「お主であれば、安心じゃな.....。」


チミーは腕を持ち上げ、手のひらを開いた。

開いた手のひらからは、(まばゆ)い黄金色の光が湧き出ている。


「これで、最後。アンタの『核』に触れて、『運命を廻す者ローリング・デスティニー』で『運命の中心』を書き換えるわ。」

「うむ。」


セターレの空いた胸部に手を触れ、チミーは『運命を廻す者ローリング・デスティニー』を発動した。


黄金色の光が、セターレの全身を包み込み、やがて周囲の空間へと広がっていく。

『世界』を操る者が倒れ、『運命』が変わる瞬間だ。


その眩い黄金の光はどんどん広がっていき、セターレの居る大地から『聖なる大地(バハラジラ)』、そして地上にいた人々にまで見えるほど大きくなる。


その光を見た者達は敵味方関係なく戦いを忘れ、魅了されるように光をぼんやりと眺め始めた。

『世界の運命』が変わり始めた事が、直感的に分かったのだろう。


しばらくして光が消え、『運命の変更』が完遂された。


「!」


消え去っていく光の粒子と共に、『聖なる大地(バハラジラ)』が崩れ始める。

その中で、『聖なる大地(バハラジラ)』から地上に向かって伸びる一筋の光を見つける。


それは『運命を廻す者ローリング・デスティニー』を使い果たし、力尽きて気を失っているチミーの姿だった。

身体中に傷を負い、地面へ向かって自由落下を始めている。


ぼんやりと眺めていただけだった地上の者達の中で、『6番目の観測者』クルグラが叫んだ。


「新たな『管理者』様だ!!!死なせるな!!」


そう言ってクルグラが駆け出し、それを見た者達も一斉に目を覚ましたように顔を上げて追従する。

しかし、遠い。


実力者揃いの者達とはいえ、消耗し切った体ではどう考えても間に合わない。

チミーが地面に落ちる寸前、クルグラは思わず目を瞑った。


その耳に、優しい着地音が響く。


「あれ....?」


確かにチミーは昏睡した状態で、クルグラ達は間に合わなかった。

あれほどの勢いで落ちた事に反した軽い着地音に違和感を感じたクルグラは、目をゆっくりと開く。


「この子なら平気だよ。」


視線の先に立っていたのは、『第7の観測者』。

チミーに『反転の宝珠』を託した女だ。

チミーを軽々と横抱きした状態で、クルグラの呆然とした表情を嘲笑う。


「....ってクルグラ、もしかして死んじゃったと思った?大丈夫、大事な『後継者』サマだからね。」


ただ眠っているだけのような、穏やかな表情のチミーを覗き込み、彼女は微笑んだ。


この小さな少女が『運命』を変えて星を救い、そして新たな『星の管理者』となったのだ。

『星の管理者』に従う『観測者』達は戦う理由を失い、長かった戦いは終幕を迎えた。








「ん....」


眠っていたチミーは、真っ白な病室で目を覚ます。

ぼんやりと天井を眺めていた後、気配を感じて隣を見た。


「おや、おはよう。『管理者』サマ?」


傍らには、『7番目の観測者』が椅子に腰掛けていた。

優雅に珈琲を飲んでいた彼女はチミーの目覚めに気が付くと、ニヤリと嬉しそうな笑みを浮かべる。


その光景を見て、ある程度状況を察したチミーが口を開いた。


「人類は、この星は.....助かったの?」

「当然。君が眠りについてから丸2日、今でも人類は平気な顔して生活しているよ。」


『観測者』の頷きに、チミーは満面の笑みと共に安堵の息を吐いた。


「良かった.....。」


丸2日眠っていたと聞いたが、まだ体の疲れは取れきっていない。

安心と疲労で力の抜けた体をベッドに預けると、ちょうど病室の扉が開いた。


「あっ」


現れたのはユウリとライカ、そして桜の3人。

起きているチミーと目が合った3人は、驚きと喜びの混じった表情でベッドに駆け寄った。


「チミーちゃんっ!!!」

「ちょっ....!?」

「ようやく起きたんですね.....!」


3人に飛び付かれ、脱力しきっていたチミーの体が悲鳴を上げる。

2日も眠っていたのだ、そりゃあ嬉しくもなるだろう。


2日ぶりの再会に喜び、話が弾ませるチミーと3人。

そんな彼女らが気付かないうちに、『観測者』は病室を出ていた。


彼女は廊下を悠々と歩きながらコインを弾いた後、軽く息を吐くと共に呟く。


「一件落着、って感じだね。」







チミーが目覚めてから、約1ヶ月後。


まばらな会話が静かさをかき消している教室の扉が、大きな音を立てて開いた。

教室内にいた生徒達は、扉を開けた人物を確認すべく顔を向ける。


白い絹のように艶やかな肌。

黒くて短い、毛先が外に跳ねた髪。

そして目元を隠す、特徴的なゴーグル。


元気よく教室に入ってきたのは、チミーだった。


ようやく学校に現れたチミーを見て、嬉々とした表情に変わっていく星羽や酒城を中心としたクラスメイト達。

皆に応えるようにくるりと一回転した後、チミーは決めポーズを取った。



「おはよう!」




超能力を持った少年少女が集められた学校に、突如転校してきた少女、染口チミー。

彼女を発端として始まった事件はやがて世界を巻き込む一大事件と発展していき、彼女自身がそれを集結させた。


『星の管理者』になろうとも、彼女の日常は続いていく。


運命は、彼女を中心に廻り始めるのだ。

ここまで『廻るディステニー』を読んで頂いた方、ありがとうございました。

数年ぶりの再編版となり、色々と変更した部分もありましたが如何だったでしょうか?

良ければコメントやブックマーク等、反応頂けると嬉しいです。


自分自身の実力はまだまだ未熟だと自覚しており、もっと勉強を重ねていきたいです。

ただ、再編版とはいえ95話の長編を、毎日落とす事なく完走できたのは一つの区切りとして達成できたのではないでしょうか。

既に廻るディステニー、第2第3章の構想自体は存在しているため、数年後になるかもしれませんがパワーアップした廻るディステニーをお見せできれば良いなと思っています。


ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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