表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/96

ようやく、目的が達成できるね

「なんで私の名前を.....?」

「そりゃあ何でも見通せる『神の目』ですからね。人の顔と名前ぐらいは、ほとんど知ってますよ。」

「えぇ....」


あっさりとそう答えた『神の目(ゴッド・アイ)』に、チミーは怪訝な表情を浮かべる。

そんな中、茶髭を生やした騎士の男.....シスニルが『団長』と呼んでいた男性が、彼に声をかけた。


「では、私はこの辺で。」

「ええ。ありがとうございました。」

「僕も戻るね、染口さん。」


教会を出ていく団長に便乗する形で、シスニルもその場を後にした。

残ったのは、『神の目(ゴッド・アイ)』とチミーの2人のみ。


早速、『神の目(ゴッド・アイ)』が口を開いた。


「探してほしい人がいる、んだっけ?」

「はい。」


そう言ってチミーは『神の目(ゴッド・アイ)』に『吸血鬼の男』の事を話した。

チミーの話をじっと聞いていた『神の目(ゴッド・アイ)』は、話が終わると軽く頷く。


「なるほど。大柄の男性で、体が丸く見えるほど発達した筋肉を持つ『吸血鬼』か......。探してみるね。」


そう言うと『神の目(ゴッド・アイ)』は掛けていた眼鏡を外す。

見開かれた眼があおいに発光し、遥か遠くを見つめているかのごとく虚ろに変わる。

これが『神の目(ゴッド・アイ)』と呼ばれる能力なのだろうか。


数秒経った後、『神の目(ゴッド・アイ)』の眼が元の色に戻った。

しかし『神の目(ゴッド・アイ)』は目を瞑り、首を横に振ってチミーに伝えた。


「...見つからないな。」


あらゆるものを『視る』事ができる筈なのに、見つからない。

そんな結果に疑問を抱きつつ、チミーは『マスク』の事を話し始めた。


しかし、こちらもノーヒット。

あの2人の情報は、『神の目(ゴッド・アイ)』の力を借りても一切入らなかった。

神の目(ゴッド・アイ)』は顎に手をやり、険しい顔を浮かべる。


「おかしいな。全く見つからなかった。」

「ホントに能力が機能してるんですか?」

「してるはず.....なんだけどね。」


2回も連続で外した『神の目(ゴッド・アイ)』の能力自体を疑うチミーだが、ここまで信頼されている彼の能力に嘘は無いだろう。

だったら何故?


疑問は残るが、今ここで考えても答えは見つからないだろう。

そう判断したチミーは『神の目(ゴッド・アイ)』に礼をした後、帰るべく踵を返した。


「ありがとうございました。また何か分かったら教えてください。」

「ごめんね、気を付けて帰ってね。」


神の目(ゴッド・アイ)』の能力でも見つからなかった『マスク』や『吸血鬼の男』.....

一体何者なのだろうか。





扉が閉まり、『神の目(ゴッド・アイ)』以外に誰もいなくなった教会。

神の目(ゴッド・アイ)』が小さなため息をついた後、独り言のように口を開いた。


「....やれやれ。彼女が『嘘を見抜く能力者』とかだったら終わってたな。」


そう言って車椅子越しに振り返った『神の目(ゴッド・アイ)』の視線の先に立っていたのは、チミーが探していた『マスク』だった。


いつの間にか壁に背を預ける形で立っている『マスク』が、軽くシルクハットを持ち上げて『神の目(ゴッド・アイ)』に近付く。


「それで、彼女は君が探していた人で間違いないか?」

「ああ間違いない。前回は『過剰損耗(オーバーヒート)』が原因で退散せざるを得なかったが、今回の奴に味方はいない。」

「ようやく、目的が達成できるね。」


神の目(ゴッド・アイ)』の言葉に、ふっと笑い声のような電子音を鳴らす『マスク』。

チミーが歩いて行った方向を睨み、どこからともなく刃付きの円盤を1枚取り出した。









教会から外に出たチミーは、庭に設置されているベンチに座っていたシスニルを発見する。

その兜で覆われた視線の先には、ひたすらにトレーニングを行っているライカがいた。


「あの、シスニルさん。」

「うん?」


チミーの声と足音に気付いたシスニルは上半身を後ろに回し、半身になってチミーの方向を向く。


「結局、探していた人は見つかりませんでした。これから帰ろうかと思って。」

「あぁ、なるほどね。」

「....心配なんですか?」


帰りの挨拶をするだけのつもりだったが、シスニルの様子を見たチミーはそう問いかけた。

ライカを眺めるシスニルの後ろ姿に、不安を感じたからだ。


「...少しね。あの子、自分の実力に自信が無いみたいで。」


シスニルは、少し暗い声色でそう呟く。


「1回、運悪く試験に落ちちゃった事が響いているのかな。体力も技術も充分備わっているのに、本来の実力を出し切れていない。」


ため息をついて俯くシスニルを見たチミーは、何か閃いたように顔を上げた。


「そうだ。もう少しだけ、ここに居させてもらってもいいですか?」

「構わないよ。...ちなみにどうして?」


帰ろうとしていたのに、急に残ろうとするチミーへその行動の理由を問うシスニル。

重い剣を素振りするライカの姿を見ながら、チミーは答えた。


「ライカちゃんと、少し話がしたくって。歳の近い人と話をすれば、少しは気持ちが楽になってくれるかなーって思って。」

「確かに、ライカは歳の近い人間と交流する事がほとんど無いからね。...いいと思うよ、彼女の力になってあげて。」


そうシスニルに送り出され、ちょうど休憩に入ったとみられるライカの元へ走って行った。


「こんにちは。」

「あっ...こんにちは。」


ベンチに座り、小手を外して間食のサンドイッチを取り出していたライカに、チミーが声をかける。

ライカは突然現れたチミーに少し驚きつつも、挨拶を返した。


「隣、いいかな?」


少しぎこちなくライカに尋ねるチミー。

近い年齢層とはいえ、初対面の人に話しかけるのは少しだけ緊張する。


「いいですよ、全然。」

「ありがとう。」


チミーはライカの隣に座った。

ライカは手に持っていたサンドイッチとは別にもう1つ、サンドイッチをバスケットから取り出してチミーに渡した。


「良かったら、食べますか?」

「いいの?ありがとう。」

「えっと...『神の目(ゴッド・アイ)』に会いに来たんですか?」

「あぁ、うん。」


『マスク』達が見つからなかった事を思い出し表情を曇らせるが、すぐに表情を戻して話をした。


「ある人を探していてね。その手がかりを得るために来たんだけど、見つかんなかった。」

「...大切な人なんですか?」

「ううん、むしろ逆かな。」


ライカの問いに、チミーは首を横に振る。


「分からないけど、私の事を恨んでいるみたい。...殺したいほどに。」


チミーが口にした言葉に、ライカは目を見開いた。

ライカの動揺を察知したチミーは、大丈夫だよと言うように笑顔を向ける。


「けど、奴が何者なのか、なぜ私を狙っているのかを知りたい。『6年前』...奴はそう言っていた。」

「心当たりは...あるんですか?」

「うん。あの日のことは今でも忘れられない。」


そう言ってチミーは、遠くを眺めながらライカに語り始めた。




『6年前』の出来事を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ