【年賀状エッセイ】脱兎田 米筆さんについて
私はメンヘラ的な暗いものなんて嫌いだ。
もっと明るく、サラッと行こうぜとか思ってしまう。
暗くてじめじめしていて、しかも大した事件の起こらない物語なんて、忌避してしまうほうだ。
脱兎田 米筆さんの作品は、大概にして暗い。
いじめられていた恋人が飛び降りるのを見送ったり、奇病に侵された恋人が竜になって飛んで行ったり、肉親への性欲に悶々としていたり、好きだった女の子が新興宗教団体の集団自殺に巻き込まれたり、リストカットを見せつける彼女が登場したり、彼女に付き合う代わりに一緒に父親を殺すことを頼まれたり、する。
しかし、浸れるのだ。
一緒に暗くなれば、出て来た時には、薄黒くしっとりとしたシャワーを浴び終わったように、清められている。
中には明るいものもあって、それも面白い。
明快で密度のある文章力が素晴らしいのだ。
私はメンヘラ的な暗いものなんて嫌いである。
脱兎田 米筆さんは、おそらくは作者さん自身が暗いというか、恥ずかしがり屋さんである。
感想を書いても返信はないと覚悟しておいたほうがいい。
でも、間違いなく優しい方である。
私が彼の作品を盗作してもよいか? と無礼なメールを送ったところ、「全コピペでも構いませんよ」という愉快な返信を頂いた。
私がなろう作家さんの中で一番新作を楽しみにしてしまう作家さんである。
そんな脱兎田 米筆さんの作品の魅力をどうか多くの方に知ってほしい。
お勧め作品が多すぎて困る。
とりあえずダーツで選んでみた(嘘)。とっても暗さに浸れるこちらをどうぞ↓
URL=https://ncode.syosetu.com/n7671ha/
『枷』