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六話



次の日の朝。いつのまにか二人の待ち合わせ場所になっていた二人の家のちょうど間の公園で彼女は待っていた。



「「昨日は」」



二人同時に話そうとしてしまう。何だかまた気まずくなる。

すると、彼女の方が話し始めた。



「昨日はごめん。もう気にしないで。」

「え?」



「もう魔法は使わないことにしたの。」

「どう……して?」



昨日の彼女と打って変わって冷静に見えた。笑ってみせているけどどこか不安定にも見える。



「昨日…」

「言わないで!!」



今度は強く止められる。「もうおしまい。」そう言ってまた彼女は笑った。ボクは納得がいかなかったけれど、これ以上言っても彼女は聞かないと思い諦めざるを得なかった。



「それよりアンタ私のことを抱きしめたわよねぇ?」

「え?昨日のことはもう言わないんじゃ」



「それとこれとは話は別よ!この変態!!」



思いっきりビンタを喰らわされる。痛いし理不尽だった。けど、そこにはいつもの彼女がいて、彼女は笑っていた。



彼女が使った魔法は気になるけれど、忘れることにした。彼女はもう魔法を使わないと言ったのだから、ボクはもうこれで良いと思った。



確かに魔法は便利だったけれど、人間が簡単に使って良いモノじゃないんだ。



他愛もない話をしながら二人で並んで歩き、学校に着く。今までの日常が戻ってきたようだった。



教室の戸を開き、彼女が「おはよう」と言う。



誰もなんの反応もしない。

急に背筋に寒気が走る。おかしい。彼女はボクに対してはツンツンだがクラスメイトに対してはとても友好的でクラスでも人気者のポジションにいたはず。



そういえば彼女が最近友達と話しているところを見たか?否。

彼女が話しかけられているところは?否。

ならば授業中に先生に指されているところは?否。



隣にいる彼女はもう一度「おはよう」と言った。

しかし、誰もこちらを見るどころか反応すらしない。



「なんでそこにいつまでも突っ立ってんだ?」



友人がまるでそこに彼女がいないかのように。見えていないかのようにボクだけに話しかけてきた。



「何言ってんだよ!隣に彼女が!」



「彼女?」そう言って友人はボクの隣を見る、するとまるでいま彼女のことを視認したように驚く。



「うわっびっくりした!この子と一緒に来たのか?見ない顔だけどどこのクラスの子?」



友人はまるで初めて会ったかのように彼女に向かって声をかける。



そんなはずない。もう二学期で友人と彼女は面識があっていつも恋人だのとからかってきていたはずなのに。



たまらずボクは教室を逃げ出した。

静止する友人も、悲しそうな顔を伏せる彼女も置いて。


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