五話
それからのボクたちはいろいろなことを試した。そのほとんどはくだらないことだだけど、彼女は楽しそうに笑っていた。
ある日の帰り道。いつもみたいに放課後教室で魔法を試した後、二人で並んで歩いていると彼女が真剣な表情で話し始めた。
「ねぇ。アナタは怖くないの?」
「え、どうして?」
「だって、こんなのおかしいじゃない。なんだってできる。火だって出せるし、水も出せる。使おうとすればこの力は犯罪にも使えるのよ?」
どんどんヒートアップしていく彼女。それもそうだ。確かに彼女はなんでもできた。きっと、魔法を使っていくうちに楽しさの裏にこう言った怖さや不安な気持ちもどんどん大きくなっていったんだろう。
ボクはそんな彼女に気づくことができなかった。
「怖くないよ。」
「なんでそう言い切れるのよ!」
「だって君だから。きっと君はこの力をそんな風には使わない。それが分かっているし、何より君は楽しそうだから。」
「そんな風に使っちゃったらどうするのよ!」
「使わないよ!」
ボクの方もヒートアップしてしまう。冷静じゃなくなる。大きな声を出した自分にびっくりした。
そして、ボクは彼女を抱きしめる。
「やめて!!」
抱きしめた腕を振り解き、彼女はこちらを見つめる。その瞳は泣いていた。抱きしめたボクは何故自分がそんなことをしたのかも分からずただ、立ち尽くした。
そして彼女はぽつりと呟く。
私 使ったの
「え?」と聞き返す。
「アナタが軽蔑するような魔法の使い方を私はしてしまったの!!」
そういうと彼女は走り出し、静止しようとしたボクの手は虚空を掴み、ボクはポツンとその場に残された。
軽蔑されるようなこと。彼女は一体どんなことをしたのだろうか、ボクと一緒にいた時にはそんな風に魔法を使ったことは一度も無かった。
そして、ボクは思い出す。咄嗟のこととはいえ、彼女を抱きしめたことに。
やっぱり拒絶されちゃったな。とても悲しい気持ちになる。
だけど、ボクが悲しんでいる場合じゃない。きっと彼女はもっと辛い思いをしている。何をしてしまったのかは分からないけれど、話をすればきっと大丈夫。そう自分に言い聞かせた。
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