9/14
九話
約束の日は…あっという間に訪れた。
私…美空夏海の命はもう長くない…自分でも、はっきりとそれがわかる。約束の花火の日まで生きられたのはきっといるとしたら…神様が最後に許してくれた奇跡なのだろう。
生まれた時から病気がちで、いろんな病院に行っては家に帰って…。そんな私を、きっと家族は邪魔に思ったのだろう。もうずっと、顔を見ていない…。
「千春…。」
彼女のことを思うと、胸が密かに暖かくなるのを感じる。これがきっと友情から来るものではないことは、私が一番わかってる。
伝えよう、最後に、言おう、今夜必ず…。
考えただけで心臓の鼓動が高鳴るのを感じるけど…大丈夫なはずだ、きっと夜空に一瞬だけ咲く華たちが…私の胸の鼓動の音をかき消してくれるから。
夜の廊下が、いつもより暗く感じる。そんなはずもないのに。
千春の病室の前の扉に立ってその扉をいつものように叩く。
「千春ー!きたよーー!」
いつものように『友達』として。