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六話
「ね!いーでしょー!ねー!」
「あーうんうん。考えておくから。」
いけない。思わず話をそらしてしまった…。友達…に何かに誘われたりすることに慣れていない…照れ臭くてつい曖昧なことを言ってしまった…。
「んーわかったわかった。」
もうひと推し来てくれたらのれたのだが…。夏海はそれ以上言わなかった。そうだ。ここからは自分でなんとかするしかないのだ。自分で誘いたいなら誘う。それしかない。
静寂、無言だけが訪れてペンを動かす音と秒針が回る音だけが部屋に響いていた。
「あ、私もう時間だからそろそろ行くね。」
「あ、もうそんな時間?」
「うん、じゃあ、また明日ね〜。」
「ん、また明日。」
夏海は早々に道具を片付けると部屋から出て行ってしまった。無言、静寂は変わらないが妙に部屋が寂しくなった気がする。
「はぁ…だめだなぁ…私…」
静寂が。病室を支配していた
秒針だけが、私の耳に届く音だった