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瞬華  作者: 彩川 彩菓
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五話

「…はる?…千春ー?大丈夫ー?」

「…えっ、あ、ごめんぼーっとしてた。」

「大丈夫なのー?具合悪い感じ?」

「んーん、ちょっと思い出に浸ってただけ。」

思い出、といっても一週間前の出来事だが…と、頭の中で私は補足する。夏海と初めてしっかり話した時のことを思い出してた。なんて少し照れ臭くていえない。

「んー、そっかー。あ、ここわかんないから教えて。」

「あ、ここは…」

一週間、たったの七日で私達は驚くほど仲良くなった。少なくとも一緒に勉強するくらいには…。


入院生活が驚くほど長い、といっても私も勉強くらいはしたい。それに勉強ドリルとかを送ってくれるのはきっと数少ない両親と私のつながりなのだから。大切にしたい。


「あーほんとだ。そういうことなんだね!ありがとう千春。」

「う、うん」

何かあるたびに元気にこちらに微笑みかけてきてくれる夏海。こんな子に私は冷たくしていたのか、そう考えると情けないやら悲しいやらで胸がちくちく痛む感じがする。

「千春ー?やっぱりしんどい感じ?」

そんなこちらの心情を知るはずもない夏海はヒョイっとこっちを覗き込んでくる。心臓がドキリと跳ねる。なんだろうか、この感覚は。

「別にそういうわけじゃないけど…。」

正直にいうわけにもいかないので適当に話を逸らす、そうすると夏海はそれ以上追求するでもなく一言「そっか。」とだけいってくれた。

その気遣いにまた胸が苦しくなってくる。

申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

「あー!そうだ千春!夏ってここから花火見えるってほんと?」

「えっ?あ、う、うん、結構遠いけどあそこの方に見えるよ」

窓から空の向こうを指差す、微かな光、一瞬で咲いては消える華であるが私の密かな楽しみだ。

「いつ上がるのー?ねーねー!一緒に見ようよ!」






「えっ?」



思っても見なかった申し出に、私は思わずポカンとしてしまった。


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