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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第1章 始まりはいつも突然に、またの名をホットスタート
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7話 不穏 蠢く男

響介、感覚を掴む




 気功術を取得してから俺は朝の散歩の他に行う日課が増えた。


「ふうぅぅ……!」


 俺は静かに息を吐き集中する。この前気功術を試した時握り拳と掌底では飛ばせる距離や範囲が違う事に気が付いた。なのでそれを踏まえてあることをイメージし


「はっ!」


 拳を打ち出すと音だけでなく気の衝撃、俺はこれを『功弾』と呼んでいるものだが今回俺は


「よし!上手くいった!」


 上手くいったのは功弾を手をイメージして飛ばした事だ。俺の手よりも一回り以上大きい気で出来た手を作る事が出来た。今の飛距離は大体10メートル程、集中を切らさなければキープ出来そうなのも大きな収穫だ。早速今日の狩りにでも


「キョウスケおはよ~、朝早いね…」


 と、考えていたら上の方から声をかけられて集中が切れてしまい功弾が消えてしまったが気にせずに


「ライミィおはよう。昨日は随分遅かったみたいだな」


 居住の穴からライミィが眠気眼を擦りながら出てきた。連日オリビアさんから魔法の勉強を教わっていた様でかなり遅くまでやっていたようだった。


「うん、まだ眠い……」


 ラミアは下半身蛇なのか体質も蛇寄りらしい。変温体質で朝が弱い様で特にライミィは弱い。ほっとけば昼まで寝てるとオリビアさんも言っていた。

 最初の日に起きた時にライミィに抱き枕の様に抱き付かれていたのは正直焦った。立派な事案案件である。それ以来寝てる時もスキル全開状態で寝ている。


「寒い、キョウスケ暖めてー」


「朝風呂にでも入ればいいだろう?」


 寝起きなのか頭が回ってないようで俺を要求してきた。俺は少し呆れながら答えるも


「キョウスケの体温で暖まりたいのー」


 この子はまたそんな事を、俺はため息混じりに


「俺だから良いものを他の男なら襲われるぞ」


 本当にそこだ。今の所俺の中の理性と本能は理性がマウントポジションから本能を一方的にボコ殴りにしている。女の子を、ライミィを傷つけたくないという思いからだ。

 それに古風な考え方かもしれないがそういう事はキチンと責任が取れる様になってからだと思ってるのもあり、さらに理性が殴るのを加速している理由でもある。それを知らずに


「別にキョウスケになら何されてもいいのに…」


「女の子がそう言うこと言うんじゃありません!」


 そんなのお構い無しのライミィだ。流れる様な綺麗な金髪のロングヘアで恵まれた美形の容姿に宝石のような澄んだ紫の瞳、下半身蛇とは言え上半身のスタイルは抜群に良い。多分人間化したらトータル的にスタイル抜群の美少女だろう。まあ、俺は蛇の体も白くて綺麗だと思うが。

 それに内面も頑張り屋で良い子だ。だからこそこの子には一時の気の迷いで後悔してほしくない。


「朝から熱いわねぇ」


 そんな事をしてたらライミィの横からオリビアさんが出てきた。ライミィと違いオリビアさんは朝が強いらしい。


「少し早いけどご飯よ、ライミィも顔洗ってらっしゃい」


「はーい」

「わかりました」


 そうして俺は登りながらふと思う。どうしてここまで俺はライミィを気にかけているんだろう?






「そっち行ったわよライミィ!」


「そこ!」


 素早く狙いを定め弓を射る。弓を射った瞬間矢は弾丸の様なスピードで放たれ逃げようとしていたノルラビットに命中し見事仕留めた。


「グットキル!」


「調子良さそうね。ライミィ」


 魔法射手(マジックアーチャー)は魔法と弓矢両方扱う者を差すがライミィの場合はその他にも矢に魔力を込めて射る。今のも風属性の魔力を矢に込めて使用した事により普通の矢を何倍もの射出速度となって射抜いていた。


「……」


しかしライミィは浮かない顔をする。


「どうしたのライミィ?」


「うん、ちょっとね」


「キョウスケのことでしょ?どうしたのよ?」


「どうしたらキョウスケに手を出して貰えるんだろうって」


「「ああ~」」


 2人のラミア。ベラとアヤメは納得したように声を出す。


「キョウスケって堅物よね~」


「うーんあれは堅物ってよりは」


「よりは?アヤメさん何?」


「あれはライミィの事気にかけているというか大切にしてるって言えば良いのかしら?」


「大切に?」


「ああ、なんかわかるわ。あの子不器用だし」


「でも、私としてはキョウスケからも抱き締めて貰いたいの」


とぷくーと頬を膨らませて不満を言う。

が、ベラとアヤメはライミィに聞こえないように


「それほど大切にされてるのにね~」


「ライミィは即物的過ぎるわ」


「何何?ベラさんアヤメさん何話してるの?」


「「何でもないわよー、さあ帰るわよ」」


「もー!」


 ライミィをからかいつつ3人は獲物を持って集落へ帰るのだった。








 所が変わり何処かの洋館。なにやらぎゃあぎゃあと人間ではない何かがいきり立って騒いでおり、その何かを館内から見ている男。

 お世辞にも恰幅が良いとは言えないほどだらしのない肥満体なその男の他に


「で、お前達は何の収穫もなかったと?」


4人の男達が脂汗をかいてつっ立っていた。ライミィを拐おうとして響介に叩きのめされた男達だ。そしてその太った男に脅えているのか1人が震えた声で


「はい、ラミアが居るって森を調べましたが、ラミアなんかよりも恐ろしい魔物が……」


「これよりもか?」


窓を指差した男。その先には


「キシャーー!!」

「グルルル……!」


「ひい!」


 数多くの魔獣が数多くいた。その1体が男達に気が付き目が合った。そのギラギラした目は男達をエサだと思ったようだが


「このガラスには魔法で強度を増している。庭の魔獣共では壊せん。まあ、お前達は用済みだ」


男が手を上げると男達の床が抜け下に落ちていった。そしてそこいたのは


「グルルル」


「な、なんでこんなのが!?」

「た、たすけ、助けてぇーー!?」


 男達の断末魔が1人、また1人と聞こえると同時にクチャクチャと咀嚼する音が聞こえ次第に無くなり


「全く冒険者など当てにならんの金を払って損じゃな」


不機嫌に吐き捨てる男。そして


「まあ、あの森に、ぐふ、ぐふふふふ」


 気味の悪い笑い声の上げ、落とし穴の中を見る。さっきの男達は見るも無残な姿となって中にいた魔物に食べられている。


「よーしよし、いいこ達だぁ。お前達次出してなるからな。ぐふふふふ」


終始気味の悪い笑いを浮かべる男だった。






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