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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第3章 商人の国 ~遺跡を探検するピアニスト~
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55話 邂逅3 遺跡にいた先客

3人、遺跡探検を始める。




「2人共、入る瞬間気を付けろ」

「「はーい」」


 響介を先頭に警備室へ入る3人、警備室の中は意外と広くライミィでも問題無く動ける位の広さで、想像していたより電力が生きていたこともあり室内が明るく中の全容が良く分かった。

 ある程度の人数が警備員として勤めていた様で10以上の汚れたロッカーやボロボロになった自販機らしき機械や大きな机には沢山の朽ち果てかけの書類が乱雑にあり、部屋の奥には10個以上のモニターが今も稼働しており、その近くには先程のロックコントロールマニュアルに書いてあった遠隔操作の為の装置を見つけることが出来た。


「これかな?さっきキョウスケが見つけたのに書いてあったの」


「これだろう。だがこれもだが何でこの遺跡の設備は稼働してるんだ?」


「この遺跡雷属性のマナが結構蓄積されてるみたいだからそれで動いてるんだと思うよ」


 魔力感知が出来るライミィが言うなら多分そうだろうと納得する響介。それなら動力もどうにかなりそうだと思っていると横でエリーがロックコントロールの遠隔装置をまじまじと見ていて


「お兄ちゃん、お姉ちゃん、これいじっていい?」


「「待ちなさいエリー、今確認するから」」


 エリーが目をキラキラさせていじろうとしたのを響介とライミィがすかさず止めに入る。


「確認してからいじくって遊んでいいからな、ちょっと待ってくれ」

「いい子だからちょっと待っててね」


「うん♪」


 持ち前の知的好奇心を発揮させていじりたくてウズウズするエリーの為に制御盤を確認する響介とライミィ。制御盤にある切り替えスイッチの扉はモニターに表示されており


「この赤と青のランプ点いてるのは?」

「赤がロックされてる扉だな、それで例の所は」


 話していた所の扉、地下2階兵装実験場を見つけ試しにスイッチを切り替えてみると


「あれ?」


 スイッチを切り替えても画面の扉は反応がないことに首を傾げるライミィ。


「やっぱり供給が途絶えてるな、なら」


 ライミィと頷き合い


「エリーお待たせー」

「赤ランプのところ全部いじっていいぞー」


「わーい♪」


 楽しそうにスイッチをパチパチと切り替えていくエリーを見ながら響介はふと視線を机に向けると古びた紙束が目についた。


「どうしたの?」


「いや、これが目についてな」


 響介は机から目についた何枚かの紙束を取ってみるとボロボロに風化していたが辛うじて読むことが出来た。内容としては警備員の手記のようで


「『また王国から人造人間(ターロス)達の追加で今日も研究室と技術室の奴らは徹夜みたいだ。魔族との戦いが激しくなって人造人間(ターロス)の需要が増えて魔道師ギルドと武具ギルドの連中は喜んでいると聞いた』」


「『今日も研究員休憩室で雑魚寝している研究員を起こす事から1日が始まる。たまに技術室長が動力室のカードキーを持ったまま寝ている事があるから気をつけるよう報告が上がっている』」


「『今日もスヴェン所長が警備室長の管理していた倉庫の鍵を持って行ってしまった。一体、あの倉庫何をやっているのだろうか?鍵を持っていく時いつも切羽詰まったような表情をするものだからもっぱらの噂になっている』」


「……」


 これを響介が読んでいると満足したエリーが2人の元へ


「楽しかったー」


「気は済んだ?」


「うん♪」


「よし、次に行くか」


「「おー」」


 3人は警備室を出て第2階層へと向かう最中に十字路の所で響介の足が止まる。


「どうしたのキョウスケ?」


「ここに用がある」


 響介が止まったのは研究員休憩室、そのまま部屋に入るといくつかのベッドがある簡素な部屋だった。そこで響介はさっきのカードキーを手に取り


「2人共、この部屋でこんなのを探すのを手伝ってくれないか?」


「それって、カードキー?」


「ああ、多分あるはずだ」


「オッケー。探してみよう」

「わかった」


 そうして部屋を捜索、すると


「お兄ちゃん、見つけたー」

「キョウスケあったよ!」


エリーとライミィから続けて声が上がった。


「サンキュー、読みが当たった。2枚有るってことは、2人共ちょっと見せてくれ」


 ベッドを物理的にひっくり返して探していた響介はライミィ達が見つけたカードキーを確認する。それは



響介達は動力室のカードキーとカードキーlevel2を手に入れた。



 動力室用と書かれたカードキーと室長用と書かれたカードキーの2枚だ。そこでエリーに疑問が


「なんで、分かったの?」


「さっきエリーが警備室でパチパチしていた時にまだ読める書類にあったんだよ。『徹夜続きで技術室長が休憩室で鍵持ったまま寝てる』ってな、だからあるかなと思った位だ」


「エリーが見つけたのは動力室のカードキーだけど私が見つけたのは?」


「技術室長のカードキーだな。最初に見つけたのよりセキュリティが高い部屋に入るのに使う奴、両方あったのは僥倖(ぎょうこう)だ。これでこの施設の部屋にはほとんど入れるだろ」


「やったね!」

「わーい♪」


「よし、進むぞ!」


「「おー♪」」


 こうして3人は第2階層へと向かう。意気揚々と第2階層に足を踏み入れた響介達だが


「…!」


 先頭を歩いていた響介が突然何かに反応して止まり小声で


「ライミィ、また人間になってくれ。エリーはフードを被れ」


 後ろのライミィ達に手早く伝えるとライミィとエリーは言われた通りに行動する。2人も何か察した様で、また響介が小声で


「何かいるぞ、喋り声だ」


「いるね、熱の感じも人っぽい」


「でも匂い、人間じゃ、ないよ?」


「何?」


「でも、エルフでも、ない。お姉ちゃんみたいな、ラミアの匂い、でもない。獣人でも、ない」


 エリーのこの言葉から響介は現時点で導き出したのは


「魔族か?」


 一番可能性が高いのは魔族だ。

 魔族とはかつて邪神に使えていた種族でありその総称である。しかしダークエルフの様に黒い肌をもつ人間や亜人のような風貌で魔力が高いのが特徴の者やトロールやオーガと言った力強い鬼人族、一部の獣人など多義に渡り分類に曖昧な部分がある。


「魔力が混じった、変な匂い」


 エリーがこのような反応をしているという事は恐らく魔族の可能性が高い、喋り声からして女が2人のようだが、幸いにも向こうはこっちに気が付いていないようで


「場所的にはこの間調査隊を助けたあの大広間辺りだよ。どうする?」


 ライミィが熱探知から場所を特定する。以外と近くにいるからか響介は少し考えて


「近付いて様子見るか。ヤバいと感じたら直ぐ逃げる」


 それを聞いて頷くライミィとエリー。3人は隠密スキルを使い大広間の前まで接近する。ぶっちゃけ戦力的にはこちらが圧倒的に上だが何故魔族がこんな人族の国にいるのかが気になった3人は響介を先頭に接近して様子を見ることに。

 大広間にいたのは共に褐色肌の人間らしき女とエルフっぽい女だった。3人は手前の物陰に隠れ響介は聴覚スキルを使って会話を聞いてみる事に






「本当にここにあるのかしら?瓦礫ばっかりじゃない!」

「うだうだ言わず探せ!せっかく人払いが出来たってのに」

「あの女上手くやってくれたわね。でも何処に行ったのかしら?相当ここに執着してたようだけど」

「そんなのどうでもいい。それよりも早く例の物を探すわよ」

「そうね、ついでにあの女に渡した邪神魔具を回収しなくちゃ」





 …どうやらジュリアをけしかけたのはこいつらのようだ。それに目的も分かった。

 ここにある何かを探しているようだ。引き続き聞き耳を立てていた響介だったが


「誰だっ!」


「ッ!?」


 ここで響介はしくじったと思ったと同時に相手の正体が分かった。

片方はダークエルフだ。多分匂いで気付かれた。


「どうした!?」


「人間がいる!それに何か別のも!」


 完璧に匂いで気付かれたようだ。すると空気の音が変わったのを聞き逃さなかった響介は魔法が飛んで来ると判断し


「2人共!俺の後ろに!」


 その直後、強烈な氷の槍が響介達に何本も飛来し降り注いだ。隠れていた瓦礫を貫通し砂ぼこりが立ち込める、しかし


「とんだご挨拶じゃねえか」


 中から響介の声だ。それに対して驚きを隠せない2人が砂ぼこりがはれて見たのは


「だが、(たま)取るにはまだまだ甘い」


 玄武甲盾で受けきる響介の姿だった。予想外の光景に、見慣れないものに魔法を完璧に防がれた2人は、特にダークエルフの方は信じられないといった表情をしていると


「「ぶっ!」」


 突如2人は自分の顔面にビンタされたような衝撃が走り後ろによろける。先程から何が起こっているか分からないが


「てめえら張るぞ?」


 目の前の響介からなのは間違いない事だった。




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