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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第3章 商人の国 ~遺跡を探検するピアニスト~
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54話 遺跡再び LET'S探検

3人、休みをのんびりと過ごす。




「点呼を取る!番号!1!」

「にー♪」

「さーん♪」


 鬱蒼とした森に日が昇りかけている中、朽ち果てた建物を前にして点呼を取る場違いな元気な声が響き渡る。


「よぉし!今から我々は、このプトレマイオス遺跡に入り、探検を始める!準備はいいか!」


「「おー!」」


「「「ウラアァァーラァーーラーー!」」」


 まるで海へダイブしてモリ漁をするような聞いたことのある雄叫びを上げ3人はノリノリで遺跡へと突っ込んでいった。もし響介の知人がこの響介のはしゃぎっぷりを見たら恐らく三度見はするだろう。

 懐中時計で現在0630。

 朝っぱらからテンション高めに響介達はそのままプトレマイオス遺跡のエントランスへ


「いやー、楽しかったー」


「お気に召したようで良かったよ」


「ウラー」


「エリー、気に入ったのか?」


「うん」


 ここには自分達しかおらず隠す必要がないのでエリーはフードを外し楽しそうに耳をピョコピョコさせる。そんなエリーを見て響介とライミィは思わず和んでしまう。一見無用心に遺跡に入っているように見える3人だが索敵は一切手を抜いておらず実際入る前に


「微かな電気音しかないな」

「動いてる熱反応無いよー」

「生き物の匂い無いよ」


 と、五感を駆使した索敵能力で安全は確認済みであり特に問題はなかった。響介は改めて遺跡のエントランスを見回す。元の世界にもありそうな建物で、設備もしっかりしているランクの高い研究所と言ったところだと分かった。


「よし、まずはこの階層をしっかり調べてみよう」


「なんで?もう第3階層迄行っちゃおうよ」


「それでもいいんだけど、気になった事があるんだよ」


「何?」


「まず第3階層なんだけど第1と第2階層とおんなじ作りをしてて灯りが無くて暗かった。多分施設がそのままダンジョンになってるんだと思う。そう考えるとこの元研究所を見るに多分だけど下の階層は電力供給が途切れちゃってるからそれを復旧させれば進み易くなると思うんだ」


「成る程~」


「まあ、第3階層から下はどうなってるか知らねえからお宝探しついでに色々探るのと」


「探るのと?」


「一番は、あの部屋をあのまんまにするわけにはいかないだろ」


 響介がこう言うとライミィとエリーは察したのか「あー」と揃って声を上げた。響介が言っているのはエリーがジュリアと戦ったあの溶解ガスが充満している部屋の事である。


「誰かが間違って開けたら間違いなく死ぬよ」

「うん。あっという間に、骨溶ける」


「と、ご理解して頂けたので取り敢えずこのフロアを探索したいと思います。何か見つけたら教えてくれよー」


「「はーい」」


 と、こんな和やかに遺跡の探索を開始した3人。ライミィとエリーは思い思いの所を調べ始めたので響介も何処から見ようか辺りを見回すとエントランスホールの受付らしき一角を見つけた。早速調べる事にし机を漁ると


「ん?このファイルは、『ロックコントロールマニュアル』?」



響介はロックコントロールマニュアルを手に入れた。



 響介はロックコントロールマニュアルを開きパラパラと読み始める。するとファイルの中から何かが落ちた。


「ん?これは、カードキーか?」



響介はカードキーlevel1を手に入れた。



「キョウスケー、何してるの?」


 ライミィがズイッと響介の顔を心配そうに覗き込んできた。横にはエリーもいる。


「ああ、ごめんな。ちょっとこれ読んでた」


「何、それ?」


「この施設の防犯マニュアルみたいだ」


「ん~?何て書いてあるかわからないんだけど、キョウスケ読めるの?」


 覗き込んだライミィが首を傾げる。響介は最初ライミィ達と出会った時に割り振ったスキル文献能力のお陰で読めているんだろうと思い2人に何て書いてあるか読むことに


「『この研究所は各重要箇所の扉の施錠を一括管理している集中管理型システムとなっている。施設内の扉を一階警備室より遠隔操作することが出来、警備室にいる責任者判断で施錠を行う。しかしセキュリティの問題上警備室への入室は専用のカードキーを配布された上長の警備員と各部署の責任者、所長のみとなっている。緊急事の場合一般研究員は上長に報告の上このファイル内に入っているカードキーを使用し、使用した場合必ずファイル内の管理表に日時使用者を記録する事』」


「「かーどきー?」」


「カード型の鍵のことだよ。一緒に入ってた」


 響介は2人にカードキーを見せる。表面に「一般研究員緊急用」と書かれているカードで響介は元の世界でも見慣れたプラスチック製の磁気タイプのカードキーだがライミィとエリーは見慣れないものなのか手にとってまじまじと見ていた。


「へぇ~こんなのが鍵なんだ~」


「エリー、初めて見た」


「私もだよ~、遺跡って面白いね~」


「ああ、こんなのがあるって事はこの世界、昔は文明が進んでたって事だからな。いやぁ、楽しくなってきた」


 珍しくテンションが上がりはしゃぐ響介。それを見てライミィとエリーは


「やっぱり男の子だねぇ」

「お兄ちゃん、楽しそう」


 楽しそうに和んでいた。普段自分達の為にどんな相手にも毅然(きぜん)とした態度を取る響介の年相応な一面を見て並んでニコニコしていると気が付いた響介は少し顔を赤くしてこほんと咳払いをし


「よし、じゃあ『警備室』探すか。多分この階層の何処かにある筈だ」


「そだね~、ねぇキョウスケ。私も元に戻っていい?」


「いいぞ。誰もいないから構わないが狭い道と周りの瓦礫とかに気を付けろよ」


「オッケー」


そうするとライミィはラミアのアミュレットに魔力を込めると目映い光に包まれた途端ライミィは元の姿、白い蛇の下半身へと変化する。ん~と体を伸ばし


「人間の姿もいいけどこっちの姿の方が楽だねぇ」


「お姉ちゃん、白くて綺麗」


「ふふ、ありがとう」


「お兄ちゃんより、おっきい」


「うーん、それはしょうがない」


それもそのはずラミアは蛇の部分は大体4メートル程ある。大蛇と言うのに相応しい身体に少し困ったように笑うライミィは


「でも色々便利だよ?尻尾でぶらさがったり体バネ代わりにして跳んだり木登りも出来るし」


 初めて見た時は響介も感心したなという顔をした。木に住み着く蛇もいるのは聞いた事あったがあんなにすいすい登るだけでなく真っ直ぐ上の登ったのはビックリした。


「後はね、蛇の部分使って関節技極めたり」


「関節技?」


「後でキョウスケと教えてあげるね、今は警備室だっけ?探そっか」


 本題を思い出してくれて少しホッとした響介。そこにエリーが


「あっち、赤く光ってるの、あったよ」


「「赤く光ってる?」」


 響介とライミィが揃って声を出すのと同時にエリーが指指した先を見ると金属製の扉と横に赤く光ってるランプが見えた。


「なんだろ?」

「取り敢えず見てみるか」


 3人でエリーが見つけた扉に近づく、扉は金属製の頑丈そうな扉で横に光っていたのはカードスロットなのが分かった。そしてそれは


「警備室か」


「ここが?じゃあさっきのキョウスケのカードキー、だっけ?使えるんじゃない?」


 響介はカードキーを使ってみることにした。カードキーは切るタイプではなく差し込むタイプの様でカードキーを差し込むとピーと機会音がするとランプが赤から緑に変わった。


「これで開いたの?」


 ライミィが疑問になる横で扉に近づく響介。すると扉がひとりでに開いた。


「大丈夫みたいだ。入ってみよう」






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