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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第3章 商人の国 ~遺跡を探検するピアニスト~
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48話 考察 ゴーレムの正体

3人、救出を開始する。




 第2階層へと入り響介とエリーはライミィからケイン達から聞いた情報を聞きながら進んでいた。調査隊は先に帰還したハース含め18名。A級冒険者8名B級冒険者10名の冒険者パーティー4組で構成されていて真っ黒い魔物に襲われ負傷した冒険者達を逃がす者と足止めの為戦う者で別れ消耗が軽かったマクレイン兄弟は共に逃がす側へと回り負傷者を第1階層まで運びケインと共に負傷者を運んだオットーは残った者達を助ける為また下へと潜って行ったそうだ。だがいきなりあのアイアンゴーレムが現れた為ケイン達は身動きが取れなくなってしまったと言っていた。そして


「肝心の『真っ黒い魔物』は分からずじまいか」


「うん。ゴーレムっぽいって言ってたけど皆初めて見る魔物って言ってたよ」


「A級冒険者が初めて見るか、うーん…」


「あと一体どころか何体もわらわらも出てきたらしいよ」


 魔物の実態が分からずつい考えてしまうが足を止めず考える響介とライミィ。魔物図鑑でもそんな魔物いたかと記憶を引っ張りだそうとしたらエリーが


「ねぇお兄ちゃん、お姉ちゃん、もしかしてゴーレム、かも」


「えっ?どういうことエリー?」


「錬金魔法で『クリエイトゴーレム』って、魔法あるよ?」


「その魔法、確かエリーがレベル5に上げて使えるようになった奴だよね?」


「それ、色んなの作れる」


「ん?待てよ」


 何か気が付いた響介だったが直ぐに思考は中断せざるを得なかった。何故なら


「キョウスケいたよ!この先の開けたとこに5人!ゴーレムも何体かいる!」


 いち早くライミィが調査隊を見つけた為そちらに意識を向けなければならなかったからだ。響介も聴力強化をonにするとライミィが言った場所から戦闘音が聞こえてきた。響介は気を練り両手に気功の爪『白虎爪』を展開すると


「ライミィエリー、このまま突っ込むから背中を頼む」


「任せて!」

「うん!」


 先頭を進んでいた響介がスピードを上げ大部屋へ入ると2体のアイアンゴーレムに押されている調査隊の冒険者達がいた。響介は一番近くにいたゴーレムに仕掛ける。白虎爪をゴーレムの脇腹に当たる部分目掛けて振り抜くとグシャと鈍く抉れる音が響く


「やっぱりこいつは対装甲用に使えるな」


 硬い相手なら気功を纏って殴る方法もあったが実際時間がかかってしまった。そこで気を高めて練ると高めて練った分硬度を調整出来る事に気付き以前ラミアの隠れ集落でマリーやビオラに教えて貰ったオリハルコンという魔法物質をイメージして硬くする事でアイアンゴーレム相手なら十二分に戦える。

 脇腹を抉られ体制を崩したアイアンゴーレムにワンステップから跳躍し頭部目掛けてハイキックを叩き込む。まともに喰らったアイアンゴーレムはズズンと音を立て沈み機能が停止した。


「あ、アイアンゴーレムを数撃で……!」


「ギルドからの依頼で救助に来ました。動けますか?」


「ああ、っておい!後ろだ!」


 冒険者の視界に映ったのは響介に腕を振り上げているもう一体のアイアンゴーレムだ。響介に対して今にも振り下ろそうとしていたが、どこからか矢が飛んで来てその矢が刺さるとアイアンゴーレムが音を立てて倒れた。


「へっ?何が……!?」


 冒険者が見たのは振り上げた右腕が肩から、右膝に当たる部分が溶け落ちており右腕と右膝から下を失ったゴーレムがもがいていたが頭部に矢が当たるとみるみるうちに溶けだした。


「な……!?」


「ライミィサンキュー」


 倒れたゴーレムの後ろにいたのは弓を構えていたライミィとエリーだ。ライミィは弓を降ろし


「そりゃあ、背中任されたからね~、にしても強酸(アシッド)かけて正解だね」


 普段と変わらない調子で答えながら周囲を警戒するライミィ。ライミィの放った矢は状態魔法のアシッドを付加したものでこのアイアンゴーレムに効果は十二分でライミィは満足そうだ。脅威がないことを確認すると


「もうだいじょぶそうだよキョウスケ」


「あっ、君達は…」


 響介とライミィはそう言ってきた冒険者を確認するとそれはインパルスのメンフィスだった。


「貴方はヴァレリーさんの仲間、だったよね?」


「そうだ。その様子だと…」


「ああ、上の調査隊は先に外に転送しました。貴方達もテレポートで転送します」


 響介のその言葉を聞いて安堵の表情を浮かべる冒険者達。皆大きな負傷こそないが余程消耗したのか疲れているようだった。その時メンフィスから


「すまない、まだブライアン達が第3階層で戦っているんだ。だから…」


「ええ、直ぐに向かいますよご安心を、エリー頼む」


「うん」


 エリーがテレポートを唱えメンフィス達は外にいるアトラス達の所へと転送されていった。それを見届けると3人は第3階層へと急ぐ


「これで残りは5人だな」


「そだね~、ねえキョウスケさっき何思い付いたの?」


 ライミィは先程響介が何かに気が付いた様子なのが気になった。響介は歩きながら「まだ推測だが…」と言うと


「今回、調査隊を襲ったのは人間の仕業だ」


 響介の言葉を聞いてやっぱりかという顔をするライミィと


「えっと、お兄ちゃん、お姉ちゃん、どうして?」


「まずな、第1階層のアイアンゴーレムの動きだ。エリー、その時アイアンゴーレムはどうしてた?」


「えっと、扉の前、うろうろしてた」


「そうだ。立て籠っていた扉を彷徨(うろつ)いていた。ここがポイントだ。アイアンゴーレムは視界から目標がいなくなった場合、周囲警戒状態になり侵入者を探す。だが何故かあのアイアンゴーレムはそれをしなかった。まるで負傷者ばかりなのを知っているかのようにずっと待ち構えていた。それだけじゃない、ライミィ、この調査隊のメンバーで誰が最初に襲われた?」


「確かハースって人だよね?空間魔法使える、ってちょっとキョウスケそれって」


「そうだ。誰が誰なのかゴーレムは知っていて襲ったんだ。空間魔法を使える者を最初に始末して後は退路を塞いで確実に潰せばいいことも含めて。それに今回は調査、例え一週間連絡が取れなくても誰も不審に思わない」


「ことは、調査隊を攻撃してるの」


「同じ冒険者ということの可能性が高い」


「いや、確実だよ」


 ライミィは何かに気が付いたようで第3階層への階段がある方向とは逆の通路を見て


「今分かった、一人こっちにいるよ。回りにいる冷たいが動いてないしこれ多分錬金魔法で作ってるね」


「エリー、この臭い匂い知ってる」


 響介の予想が当たったようだ。目的は知らないが落とし前は着けさせないとなとライミィとエリーに言うと2人と逆の通路へ進むのだった。





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