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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第3章 商人の国 ~遺跡を探検するピアニスト~
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46話 ダンジョンへ 緊急クエスト発令

3人、ヒューズ一家に再会する。




「あれ?どうしたんだろ?何だか騒がしくない?」


 ヒューズ親子との食事後、ギルドへ向かっているとギルド前で人だかりが出来ていた。人だかりは騒がしく慌ただしく冒険者達が集まっていてその中に


「お兄ちゃん、あの人」


「あれは、アラベルさんか?」


 エリーが見つけたのはギルドの受付嬢アラベルだ。大慌てで何かを探しているようにキョロキョロしておりそんなアラベルと目が合うと


「あっ!キョウスケさん!」


 人混みを掻き分けアラベルが一目散に響介達の元へ


「良い所に!直ぐ来て下さい!」


「ちょっ、ちょっとどうしたんですか?キョウスケを探してたみたいですけど」


「はい!キョウスケさんもですが強い人を探してました!ギルドマスター!キョウスケさん達が来ましたよ!」


 アラベルに連れられギルドの中へと入る。中はピリピリと空気が張りつめており、中にいた冒険者は


「誰だ?あいつ?」

「知らない顔だな…」

「もしかして噂のルーキーか?」


 と、響介達を見て口々に溢していた。当の響介はその冒険者達を冷静に観察して


(A級とB級の冒険者か?)


 冒険者になってから響介はここにいる冒険者の事を粗方把握しており冒険者は皆ランクの高い者達ばかりな事に気が付いた。アラベルに案内されるがままいたところに


「キョウスケ達もいたか!良くやったアラベル!」


 他の職員と話合っていたギルドマスターのアランが響介達に気付き響介達含めた冒険者達の元へ


「悪いなお前ら緊急事態だ。この依頼を受けて欲しい」


 アランから提示されたのは緊急クエストと書かれた依頼状で



『プトレマイオス遺跡の調査隊救出



先に発見されたプトレマイオス遺跡へA及びB級冒険者で構成された調査隊が何者かに襲われ遺跡中に散り散りになり取り残された。至急遺跡へ赴き冒険者達の安否を確認し救出せよ



報酬 要相談

依頼者 ギルドマスター』



(…成る程、だから騒ぎになってたのか)


 A、B級冒険者達がこぞって消息の断つのはおかしい、調査隊は皆場数を踏んでいる者達しかいないベテランばかり。それに今回はあくまで遺跡の『調査』、『踏破』若しくは『攻略』ならまだしも『調査』の段階なら深追いはしないはず、どうやらヤバい事になっているようだ。


「プトレマイオス遺跡ってなんですか?」


 響介が考えている横でライミィがアランに質問をする。


「一週間前にここから西のメレル山の麓で発見された新しい遺跡だ。発見後インパルスの4人が中を調査したがアイアンゴーレムが蔓延っていたため調査は進んでいなかった。が、後任のパーティーの調査で人造人間(ターロス)の第一人者『スヴェン・プトレマイオス』の関係する施設だと判明したことからプトレマイオス遺跡と呼称している」


ここで今度は響介が口を開いた。


「で、具体的な事はどれくらい判明していますか?散り散りになって取り残されたと言う事はそう断言出来る事があるってことですよね?」


 何処からか「ほぅ」と聞こえてきたが気にしている状況ではない。そこはアランが説明した。


「今回の件は先に帰還した調査隊1名からの報告で判明し、事態を重く見た俺は今回は緊急クエストとして依頼をした次第だ。それとお前らこれも読んでおけ、調査隊のリストと前回の報告書だ。今帰還した冒険者を呼んでいるから読んで待ってろ」


 ギルド事務員達からパーティーの代表者にリストと報告書が配られる。響介達もそれを受け取り目を通していくと


「キョウスケ、ここ!」


 報告書を読んでいた響介だが先にリストを渡していたライミィとエリーが何かに気付いた。


「どうした?……ッ!?」


「ケイン・マクレイン、オットー・マクレイン、ってあの時の?」


「ああ、そうかお前らは知り合いだったな。マクレイン兄弟はインパルスにスポットで入ってたんだ」


「インパルスってあのジュリアって言ったあの女の所ですよね?」


「キョウスケが銀翼を叩きのめした後であいつらを呼び出して処遇を伝えた所チーム内で揉めてジュリアが抜けた。それで今はブライアンとメンフィス、ヴァレリーの3人となり、今回の調査で復帰したマクレイン兄弟に臨時編入して貰ったんだ」


 アランから説明されていると、調査隊の帰還者が包帯姿で事務員に肩を借りてやって来た。その男は魔導師のようで彼を見ると冒険者達はどよめきが起き


「お前、『フォーサイト』のハースだよなっ!?」

「おいおい、『フォーサイト』も参加してたのか!?」

「ハース何があった!?ガナーはっ!?シェルトはどうしたんだよ!?」


「落ち、着ついて、くれ、まだ呼吸が苦しいんだ…」


 ハースと呼ばれた魔導師は苦しそうに息を吐いて詰め寄られた冒険者達に答えていた。それを見かねた響介はハースに近付くと


「失礼します」


 手のひらをハースにかざすとハースの身体中の傷がみるみるうちに治っていった。


「…?君、何をしたんだ?あれ?呼吸が楽に…」


「喋りずらかったのはあばら骨が4本程折れていた様です。これで楽になるかと」


「治癒術士かい?助かったよ」


「いえ、それより申し訳ありませんが」


「ああ、そうだった。実は…」


 このA級冒険者パーティー『フォーサイト』のメンバーハースによるとアイアンゴーレムを掃討しつつ第三階層まで進んだものの、第四階層への道を捜索中に突如真っ黒い魔物らしきものから襲撃を受けたと言う。ハース自身も襲撃を受け負傷したが、リーダーから逃げてギルドに報告し応援を呼ぶようにとの指示を受け痛む体に鞭打ち空間魔法を行使して帰還したとの事だった。


「真っ黒い魔物?」


「ああ、よく分からなかったがゴーレムっぽい感じがしたな」


「根拠は?」


「俺はたまたま近くにいたから襲われたんだが、その後インパルスの連中やB級冒険者を襲ってて他のA級連中には目もくれてなかったよ、なんだがそう命令されているようだった。まるで調教(テイム)みたいに感じたね」


「ありがとうございます。それと後いくつかよろしいでしょうか?」


「なんだい?」


「貴方は空間魔法が使えると言っていましたが帰還するときも使いましたか?」


「テレポートを使ったよ、でなければ高速馬車でも半日かかる遺跡からこんなに早く帰れないからな」


「一回だけ?」


「おい、何が聞きてえんだ!?」


「待てアトラス」


 質問の意図が分からず響介に詰め寄るアトラスと呼ばれた戦士の男をアランが宥める。ギルド内に一瞬緊張感が高まるが質問の意図を理解したハースが口を開く


「君の言わんとしてることは分かった。確かにテレポートの残留魔力は残してるけどどうするつもりだ?」


「キョウスケ、話してみろ」


「まず今から遺跡に俺達含めた冒険者計7人でテレポートを使い遺跡へ先行し俺達3人で遺跡内部へ侵入し調査隊を捜索、発見次第テレポートを使い外に待機している残りの4人の元へ転送し護衛に就いてもらます。残りの参加冒険者には高速馬車を準備してもらい遺跡へ向かい救出者をリュインへ輸送をお願いしたいと思ってます」


 この発言にはギルド内にいた者達は(ライミィとエリー除く)驚愕していたが響介は気にせず続ける。


「このリュインの冒険者ギルドにも空間魔法を使える冒険者は後4人います。ですがその冒険者達は今自身のパーティーと共に遺跡に潜り今も遺跡にいます。当然この事態を知るよしはありません。しかも早くても夕方から夜かけての間に一組帰還してきますがそうなっては間に合わない可能性も出て来ます。幸い俺達の妹分はテレポートを使う事が出来る事からこの案を提案します」


「それ採用」


「「「「「ギルドマスター!?」」」」」


 即答したアランに冒険者は更に驚愕、そのアランは


「それ以外にあるか?どいつもこいつも提案せず人が言ったのを批判してるくせに自分は代変え案すら言わねえじゃねえか。やれ人を集めようだのテレポート持ちを待とうだの言ってまとまんねぇ」


「だがよ!これじゃ俺達の面子ってもんが」

「それにキョウスケ。連れてくのはアトラス達だろ?」

「その通りです」

「へ?俺達?」


 呆気に取られたアトラスと呼ばれていた、一番異論を唱えていた冒険者はぽかんとしているのを尻目に響介が続けた。


「今集まっている冒険者の中でもアトラスさん、貴方達のパーティーが一番護衛依頼に慣れており得意としています。それに考えてみてください。俺達の様なぽっと出のひよっこと護衛依頼を得意として信頼出来る貴方達どちらに護衛されたいですか?」


 この質問にはアトラスを始めとした冒険者もつい納得してしまったような表情をしてしまった。


「答えるまでもねぇな、護衛の戦い方とキョウスケみたいな戦い方は違うからな。もう分かったろ?キョウスケは周りの人員見て立案してるし状況も力量も把握してる。それに分かってるか?今は一刻を争うんだ。異論が無いなら話を詰めるぞ」


 このアランの鶴の一声で冒険者達はそれ以降異論は言わなくなり響介とアランの主導で細かな打ち合わせをする。その連中の横でハースはライミィとエリーに対して地図を広げて


「ここがプトレマイオス遺跡になる、僕が残した魔力はここ。これが僕の魔力、分かるかい?」


「エリー、分かる?」


 心配そうにエリーを見るライミィ。暫しすると


「…見えた、森の中、何か建物みたいのある」


「それがプトレマイオス遺跡だ。これなら大丈夫そうだね。アランさん!なんとかなりそうです!」


 傷の治ったハースはアランに呼び掛けるとアランは力強いサムズアップで返す。そんな中ライミィは小声でハースに


「エリーのことは黙っててね?」


 エリーの素性を知ったハースにすかさず釘を刺すと


「分かってるよ、僕だって仲間が助かるなら安いものさ」


 冒険者は実力社会。その事は勿論A級冒険者のハースも理解しているがそれよりも仲間が大切なこの魔導師は助けてくれるなら安いものだと考えていた。その考えを理解したのかライミィはそれ以上は追及せずエリーと一緒に響介の元へ


「エリー、頼む」


「分かった」


 エリーがテレポートを唱えると響介達は瞬時にギルドから消えた。残されたアランは


「頼むぞ」


 ポツリ溢しアラベル達や他の冒険者に指示を飛ばし自分達も行動に移した。





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