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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第3章 商人の国 ~遺跡を探検するピアニスト~
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41話 感想 こいつ規格外だ(アラン視点)

響介、ぶちギレるpart2




 まあ、そうなるわな。俺は目の前の光景を見ながら胸中で思う。

 このリュインの街柄、ダンジョン街ってこともあり多くの冒険者がいるがいる分ダンジョンのお宝で一山当てようとして無茶をする連中が多い。銀翼の連中は勿論だが他の冒険者の奴らも例外じゃない。そんな中でのぽっと出の新人冒険者が飛び級だの大金を目の前で貰っているのを見て面白くないよな。

 キョウスケが銀翼の連中を表に連れて行ったのを見て他の冒険者がついて行いくなかライミィの嬢ちゃんが


「あーあ、キョウスケ目が笑ってないよ」


 少し苦笑しながらエリーの嬢ちゃんに言っており気になったアラベルが


「どういうことですか?」


「いや~キョウスケ完全に怒ってるね。ああなっちゃうとあいつら9分殺しは確定かも」


「止めないんですか!?」


「止める理由無いよ。私だって怒ってるんですよだってあいつらエリーを殴ろうとしたんだから」


 ライミィの嬢ちゃんも怒ってるようだし多分止まんねえなこりゃ。それにあのキレ方をする奴は例外無くヤバいことは知ってる。状況をしっかり把握した上で顔に出さず腹の底で怒り狂う、クリ坊があのキレ方するからなよく分かる。

 …だが、ここで俺はライミィの嬢ちゃんに違和感を覚えた。目の前で人間が死ぬかも知れないのにドライ過ぎやしないか?





 そして裏手の訓練場へと俺が着くとギルド内にいた冒険者や野次馬根性丸出しの住民や商人も来ていた。ここの訓練場は隣国コンバーテにあるコロシアムを意識した凝った作りをしている。訓練場中央の舞台上では銀翼の5人が珍しくひそひそと話しているようだ。対するキョウスケは集中しているのかその場でピクリとも動かなかった。そんな中でライミィの嬢ちゃんと一緒に座っていたエリーの嬢ちゃんが


「お姉ちゃんお姉ちゃん」


「どうしたのエリー?」


「お兄ちゃんって右側にもあのマジックバック付けてたっけ?」


「そういえば昨日エリーの買い物してた時試したいことがあるって言ってて買っていいかな?って聞いてきたからいいよ~って答えたけど何するんだろ?」


 …つまり嬢ちゃん達も知らない事をするつもりか?何するつもりか知らないが相手は銀翼の連中だ。素行の良くないならず者同然の連中だがあいつらは討伐依頼を中心にこなしており実力はある。リーダーで戦斧使いのトニーにタンクで防御担当のイザックと魔術師のアシル、斥候(せっこう)の盗賊職のガスパーにさっきキョウスケに手首折られたダミアンの5人で構成されている。ポーションでも飲んだのかダミアンの手首はいつの間にか治っていたな。周りが今か今かと待っていると


「何何?何やってるの?」


 ジュリア達インパルスも戻って来たようだ。周りの冒険者達に事情を聞いてライミィの嬢ちゃん達を見つけるとニンマリしたうざい笑顔を浮かべて近づいてきた。


「何あいつ銀翼にケンカ売ったのぉ?」


あまりにうざかったので俺間髪入れずに言っとく


「正確にはキョウスケがケンカを買った。だな」


「1対5って、あいつ袋叩きにされんじゃん」


 こいつらの間で何かあったようだが、ジュリアの奴いやに挑発的だな。だがライミィの嬢ちゃんとエリーの嬢ちゃんは無反応。そうしてるとトニーの奴が


「おい!始めるぞ!!」


 この場にいる奴らに聞こえる様に大声を出し全員が注目し対するキョウスケは


「やっとか、かかってきな」


 キョウスケが構えを取りちょいちょいと手招きをする。ライミィの嬢ちゃんに聞いたがキョウスケは格闘主体で完璧な前衛タイプだな。

 トニー達は盗賊職のガスパーとダミアンが仕掛ける。が


「ファイアバースト!」


 アシルがキョウスケに火属性魔法を叩きこみキョウスケがいたところはあっと言う間に爆炎と煙が上がる。それを見て俺はさっきの話し合いの意図が分かった。

 詠唱をカモフラージュしてやがったな、ガスパー達で気を引いてアシルが攻撃する。トニー達は勝利を確信した表情で笑ってやがる。だがおかしい


「なんだ?煙が晴れねぇ…」


 煙が晴れない。いや、明らかに量がおかしい。そんな時だ


「「ぎゃあああああ!」」


 煙の中から悲鳴が聞こえた。それも2人分、どっちもキョウスケのじゃねぇぞ


「ガスパー!ダミアン!どうした!?」


予想外の事に焦るトニー達。煙が晴れるとそこには


「ううっ……」

「いてぇよ、いてぇよ……」


 背中の至るところ、特に足に何かを刺さっていたガスパーとダミアンが倒れていてキョウスケの姿がなかった。俺含め見ていた奴らが騒然とするなか


「あれ円月輪だ」

「円月輪?」

「そ、外側が刃になってるから投げて攻撃する輪っかだよ。後あれ棒苦無(ぼうくない)だね。そういえばキョウスケ安いからっていっぱい買ってた」


 円月輪と棒苦無って確かスレート諸島の部族が使う投擲(とうてき)武器だな。使い勝手が悪いからってかなり安値で手に入るがそんなことより


「どうして、全部頭外して当たってるの……?」


 ジュリアがぽつりとこぼす。そうだ、キョウスケが投げたであろう円月輪も棒苦無も2人の頭を外して背中、特に足に正確に当ててやがる、あの煙の中で外れた様子もねぇぞ。皆が騒然としてだれもが疑問に思っていたのをライミィの嬢ちゃんが答えてくれた。


「何でお兄ちゃん当てれたの?」

「エリー、あいつらの足元を見てみて」

「砂?」

「うん。あの煙、半分キョウスケが撒いたんだよ。砂と一緒にね、キョウスケ耳がいいから多分あいつらが砂を踏んだ音を確認してから投げたんだよ」


 ……は?じゃあなにか?そうなるとキョウスケの奴詠唱に気が付いてたってことか?俺はたまらずライミィの嬢ちゃんに聞くと


「100パー気付いてますよ。キョウスケあの距離なら人の声聞き分けるのも問題なく出来ますから」


 まるで当たり前のように話すライミィの嬢ちゃん。マジか、てかキョウスケは何処だ?


「おい、もう終わりか?」


 いた。

 アシルの後ろに。キョウスケはまるで払うように放った裏拳がアシルの後頭部に直撃しものの見事に舞台外までぶっ飛ばされズタボロになって白目剥いているアシルがいた。


「「へっ……?」」


 トニーとイザックが目の前で起こった事を理解出来ない様に呆けてしまった。いやここにいる嬢ちゃん達以外の奴ら全員が茫然として開いた口が塞がらない、俺もそうだが嬢ちゃんから追い討ちが


「キョウスケかなり手加減してるね~」

「お姉ちゃんそうなの?」

「うん。普段ならウィングタイガーを片手で真っ正面から叩き潰すからねぇ。本気出したら人間なんて200メートルは軽くぶっ飛ばすよ。現に盗賊顔面ぶん殴ってぶっ飛ばしたし」


 おい、ウィングタイガーなんてA級冒険者でも手を焼く魔獣だぞ。それを片手で真っ正面からだと……?


「終わりかと聞いているんだが?」


 舞台上のキョウスケが骨を鳴らしながらトニー達に確認をする。改めてキョウスケを見たが

 ……あかん。目が笑ってないどころかどす黒いオーラ纏って笑ってやがる……


「あーあ、あいつらやっちゃった」

「どうしたの?」

「キョウスケね、女性に対して無理やり乱暴したりして傷付ける奴が大嫌いなの、だからそこで伸びてる奴が詠唱してた時に他の連中がその類いの発言したんじゃないかな」


 確かにあいつらは下半身に脳ミソがあるような連中だからな、


「あの~ちなみにライミィさんは知ってるんですか~」


 いつの間にかジュリアの仲間のヴァレリーがライミィの嬢ちゃんに聞いていた。


「うん。私を助けてくれた時でね、盗賊達を正座させてあの笑顔で2択させてたよ~」


「に、2択?」


「身ぐるみ剥がされて誠心誠意土下座かキョウスケに完膚なきまでにボコされて生きたまま魔物の餌になるかの2択~」


 …マジか。普段腰が引くくて礼儀もなってるから無茶な事はしないとたかくくってたがとんだ狂犬じゃねえか!?


「な、舐めてんじゃねぇ!」


 トニーが戦斧をキョウスケに向かってブン回す、しかしキョウスケが片手で受け止めやがった!?


「なっ、なあっ……!」


「どうした?終わりか?」


 トニーが振りほどこうとしているが斧はピクリとも動かない。おいおい攻撃力Aのトニーでも振りほどけねぇのか…?ってそうだ。キョウスケ攻撃力SSだった


「このガキが……!」


 イザックが剣を抜きキョウスケに切りかかる、しかしキョウスケが振り上げた腕を受け止め、イザックの腕をギリギリと締め上げるとボキッと音がたったと同時にイザックの悲鳴が響いた。


「嘘だろ?人の腕をへし折りやがった…」


 これには全員絶句するしかない、前腕の真ん中を90度に曲げやがったぞ。そして間髪入れずにイザックの首もと掴んでぶん投げやがった!こっからでも分かるイザックの奴泡吹いて伸びてやがる、それを目の当たりしたトニーはすっかり顔面蒼白になってるぞ、そんなトニーに


「おう、覚悟出来たか?」


 にこやかな笑顔で尋ねたキョウスケ。あまりにもヤバいどす黒いオーラのあの清々しい笑顔に俺は戦慄し、恐怖を覚えるジュリアを始めとした冒険者達、アラベルに至ってはもう恐怖のあまり泣いてる。目の前のトニーは


「う、があああああああ!」


 恐怖のあまり必死に斧を振り回そうとするがキョウスケが掴んだままでピクリとも動かない、


「動け!動け!動けぇぇぇぇ!」


 いくら叫んだところで斧はピクリとも動くことはなかった。あんな絶望と恐怖が入り交じった顔なんて初めて見た。

 そこへ顔面に良い右ストレートが入る。食らったトニーは見事に吹っ飛びとてつもない勢いで300メートル先の壁に激突し崩れた瓦礫の下敷きになった。見えている手足から見るに痙攣してピクピクしてるところからとりあえず生きているようだ。

そこへキョウスケがガスパーとダミアンに


「おい、まだやるか?」


2人はものすごい勢いで首を横に振る。


「じゃあ俺の勝ちでいいか?」


「「はい!申し訳ありませんでした!!」」


 あの銀翼が惨敗した。いや恐らく銀翼でなくてうちのA級冒険者のパーティーでもキョウスケに勝てねぇだろうな


「こいつ規格外だ」


とんでもねぇ奴が冒険者になったもんだ。






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