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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第3章 商人の国 ~遺跡を探検するピアニスト~
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34話 冒険者に 3人で一緒に

2人、遺跡の街に着く。




「こちらです」


 ギルド職員、アラベルに案内された3人はギルドの奥へと通される。他の職員にジロジロ見られているが特に気にもせずそれよりもライミィが


「そう言えば何かあったんですか?さっきも討伐隊?って言ってましたけど」


「ああ、じつは皆さんがいたナウロアの森にレイドモンスターが出現したと報告がありまして、被害が出る前に早急に討伐隊を編成しているんです!」


「ん?レイドモンスター?」


 ハキハキと言うアラベルの言葉を聞いて顔を見合わせる響介とライミィ。そして目で


(ねぇキョウスケ、レイドモンスターって…)

(今、懐中時計の中に押し込んでるレイドグランドドラゴンの事だろうな…)

(どうする…?)

(…黙っている訳にはいかないだろ)


「?」


 アイコンタクトで会話をする響介とライミィをいつの間にか起きていたエリーが不思議そうに見ていた。そんな事とは露知らずアラベルは一つの扉の前に着くと


「マスター、アラベルです。例の方々をお連れしました!」


 中から「入れ」と短く返答があり扉を開けるアラベル。中には壮年の厳つく年相応の風格がある男性が執務机に腰掛けており、前にあるソファーに座るよう促される。響介は入る前にエリーを抱えた状態で「失礼します」と一礼してを入りライミィも真似て一礼をする。中は整理整頓がされてはいるが所々で散らかっており多忙なのが伺える。響介はソファーにエリーを降ろし、響介とライミィがエリーの両脇に座る


「汚い所で悪いな、そっちがキョウスケ、べっぴんさんがライミィでいいな?俺はアラン。このマルシャンリュインのギルドマスターを預からせている」


 そう喋りながら席から立ち響介達の向かいのソファーに腰掛ける。服の上からもわかる位鍛えられている身体に響介はまるでゴリマッチョのプロレスラーを連想した。


「キョウスケ、べっぴんって何?」


「美人さんって意味だよ」


「いや~それほどでも」


 照れるライミィを見て若干呆れたように笑うアラン。


「素直な嬢ちゃんだな。そこのちっこいのは?クリ坊の手紙にはなかったが」


「クリ坊?」


「クリスのあだ名だよ。あいつとは冒険者仲間でね、と話が逸れたな」


 視線を向けられたのを感じてかビクリと反応するエリー。頭からマントを羽織させていたので顔は伺えない、しかし少し怯えているのが響介達には分かった。この部屋には自分たちとアラン、アラベルの5人だけ、部屋の外に誰もいない事を響介は『音』で、ライミィは『熱』で確認し


「分かりました。説明をさせて頂きますが、この事は他言無用でお願いします」


 こう言った響介に怪訝な表情をするアランと首を傾げるアラベル。響介はエリーにマントを取るように言い、エリーはマントを脱いで素顔を2人に見せた。


「!?」


「…驚いた。ダークエルフか?」


 頷く響介にどう伝えるべきか考えるアランと明らかに動揺しているアラベル。


「どうしたんだ?」


「あの奴隷商人に拘束された人の中にいました」


「他の連中は?」


「勿論知っています。ただ皆さんには口裏あわせをお願いしてますが」


「成る程な。結論から聞くがキョウスケ、お前はその嬢ちゃんどうするつもりだ?」


「俺達で面倒みます」


「じゃいいんじゃね?」


「「「「は?」」」」


 アランの適当にも思える発言に全員が呆気にとられた。アランが続ける


「いやな、手紙にもあるんだよ『教会に喧嘩を売るどころか根底から揺るがす事を平然とやる人種だからその時は寛大な対応お願いします』って」


「人種て、俺は珍獣扱いか…」

「あはは…」


 手紙の内容につい呆れてしまう2人。まだ続きがあり


「だが、実力も人柄もクリ坊自身が立証しており、2人共に素質が二十分にあることから推薦する。とある。クリ坊にここまで言わせるとはな」


「珍しいんですか?」


「レアだよ激レア。あいつ人を見る目があるからなおさらなんだよな」


 頭をガリガリ掻きながら世間話のように話すアラン。だがどこか楽しそうだ


「クリ坊とはいえあいつもギルドマスターだ。俺はやる気があるなら推薦あろうが無かろうが全然いいぜ」


「エリーはどうする?俺とライミィと一緒に冒険者やるか?」


 響介は改めてエリーに尋ねる。エリーは響介とライミィを交互に見て


「うん。お兄ちゃん達と、一緒にやる」


「よしオーケーだ。アラベル」


「は、はい!」


「エリーの嬢ちゃんは他言無用だ。しっかりと気を配れよ」


「了解です!」


「じゃあ細かな手続きは明日の昼にやるから来てくれ。今は簡単にパラメータスキャナだけやる」

「あ、そうだキョウスケあの事言わなきゃ」


「ん?何かあるのか?」


「あー、はい実はありまして、レイドモンスターの件何ですが」


「レイドモンスターの件、ですか?」


「そのレイドモンスターってもしかしてグランドドラゴンですか?」


「ドラゴンなのは間違いないな、それがどうした?」


「実は」

「私とキョウスケで倒しちゃいました」


「「は?」」


 暫しながれる沈黙、アランより先にアラベルが口を開いた。


「いやいやいやいや何を言ってるんですか?レイド化したドラゴンですよ!?通常のドラゴンでさえ100人単位の討伐隊を編成して当たるのにレイド化したドラゴンを2人でなんて」


「お兄ちゃんとお姉ちゃんが、やっつけたよ。私見てた」


 エリーがそう言うとアラベルは言葉を失ってしまった。アランは勤めて冷静になり


「なあお三方、何か証拠でもあるのか?」


「一応ドラゴンの遺体を持って来てはいますがただでかくて、何処か広い所なら出せるんですが」


 そうして半信半疑ながらも十分なスペースの所、ギルドの入り口真ん前に案内された響介達はそこで懐中時計からグランドドラゴンを出した事で街中が大騒ぎとなりアランが討伐隊を解散させたは言うまでもない


「そう言えばドラゴンとかって買い取って貰えるんですか?」


「…支払い後日でいいか?金貨万単位になるから本部に申請する」


 ギルドマスターアランの徹夜が決定した瞬間だった。




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