26話 教会 そして取り立てへ
2人と宿屋さん、聖騎士とお話をする。
「ほらっ!キリキリ歩く!」
ライミィの良く通る声が朝の街に響きパンツ一丁の聖騎士達をロープで繋ぎトリウス教会に向かう響介とライミィ。その後ろにはオロスの支配人夫妻達や宿泊客達もぞろぞろと続き異様な光景だ。ちなみに釘を打った男には抜いて治癒功をかけて治している。ちんたら歩かれても困る。しかしこう目立つと
「あいつらトリウスの…」
「はっ!いい気味だぜ!」
「ざまぁねえな!」
次々と街の住民、主に下町の住民が集まって来て皆口々に罵声を浴びせ始めた。余程傲慢な振る舞いをしていたのだろうなかなか恨みを買っていたようで下町の住民の中には石を投げようとした者もいたので
「間違ってもライミィに当てたらわかってるよな?子供でもぶん殴るぞー」
言葉の釘を刺しておき警告を入れると投げようとした者も次々と石を捨て始める。こうしとけば余程の者でも無い限り投げてこないだろう。と言うか流石に
「お前ら仮にも騎士だろ?なにやってんだ?」
思わず響介は口に出してしまったが聖騎士達はばつが悪そうに顔をしかめた。命令で仕方なかったとは言えもう少しやり方があったと思うが黙りしてしまったら無理に聞く気にはなれない。そうしているとトリウス教会らしき建物が見えて来た。
と、言うのも教会らしき建物のには何両の馬車が横に付けていたのとこいつらと同じ鎧を着こんだ連中が何人かいたので俺は笑顔で
「おはようございます。取り立てですハーパー卿はいますか?」
最初困惑していた騎士達だがロープで繋がれた男達を見るや否や
「なっ!?おい!お前達!これはどういう事だ!?」
「こいつらが宿屋オロスに対して損害を与えまして、ハーパー卿の指示だと言い教会に来ているとの事でしたので取り立てに来ました」
「なっ、お前達それは本当、か?」
「どうしました?」
団長らしき騎士がロープに繋がれている1人の男を見ると怪訝な表情を浮かべ
「この男は誰だ?」
響介とライミィ以外の人間が騒然としたがファーマスが
「貴様の部下だろうが!まさか部下の顔を忘れたと言うつもりか!」
「いえ、こっちの二人は確かに聖騎士団の者です。しかしこの男には見覚えが…」
その時だった。聖堂の扉が開かれると出てきたのは豪華な装飾品を身に付けた貴族の男、ハーパー卿とあの神官長。すると今度は騎士団長が口を開く
「ハーパー卿!?それに神官長!あなたは本国からの審査官が来るまで謹慎のはずでは」
この言葉に神官長はヒステリックを起こした様に叫び散らし
「うるさいうるさい!!どいつもこいつも誰がアバズレよ!誰が性職者よ!?ふざけんじゃないわよ!」
「いや、あんただよ」
ライミィのストレートな言葉に後ろにいた住民達がうんうんと首を縦に振る中ハーパー卿が響介達を見るや恨めしそうに口を開く
「貴様らか……!貴様らのせいで息子が、私の地位が……!」
「自業自得だダボが。それよりお前がハーパー卿だな」
響介は鑑定スキルを使いハーパー卿の装飾品をじーと見て
「金貨50枚の取り立てに来たのですがその装飾品で足りそうだ」
「取り立てだと!?」
「てめぇがけしかけた黒い狼団のバカのせいで宿屋に被害が出た。その責任を馬車の中にいる奴らと取って貰おうか」
すると馬車の中から明らかな柄の悪く剥き出しの武器を持った男達がぞろぞろと出てきた。
「お前が俺とライミィにそこの残党共と手を出して来るのは分かってたからな。やれやれ大人しく観念すりぁいいものを」
「ホントだよね」
大袈裟に肩を竦める響介とライミィ。この貴族の情報は昨日の晩、セフィロトメンバーのマスターから買っていた。自分たちに対して何かしてくると判断した響介の予想通りこの男がニューポートに到着したと聞いたので昨日のうちにライミィと打ち合わせ今日の方針を決めたのだ。
内容は勿論、あの不倫カップルと残りの黒い狼団をしめる事だ
「貴様らぁ!もういい!あのガキ共を殺せ!」
うおおぉぉぉとゴロツキ共が響介とライミィに襲いかかるが
「てめぇらやる気あんのか?」
あっさりと響介が範囲拡大した功盾壁、いや功盾壁から変化した『玄武甲盾』でゴロツキ全員を受け止めると
「喰らいなさい!ゲイルマグナム!」
そこにライミィが音速の弾丸の様な風魔法を正確にゴロツキ全員に連続して放ちまとめて撃ち飛ばした。