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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第2章 神聖王国 ~ピアニストと駆け出し勇者達~
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25話 別れの日1 朝っぱらからの楽しい『お話』time

クオリア、響介のピアノを聴く




 ニューポートに到着して10日。響介達が街を出る日が来た。しかし


「うちの客に何するつもりだ!?」


 朝のオロスで響いた声は番頭のファーマスの声だ。その言葉に意を返さず


「貴様らには関係無い、退け!」


「がっ!」


「あんた!?」


 白い鎧を身に纏った3人の男の1人がファーマスを突き飛ばし女将や従業員達に構わず3階へ行き響介達がいる部屋の前に来ると


「ここだ、やれ!」


 いきなり扉を破り中へ、入るや否やすぐに揃って寝室へ


「どこへ行った!おい、お前は浴室を見てこい!」

「はっ!」


 部屋の中はもぬけの殻だった。シャワーの音がする浴室に1人を向かわせる。すると


「小隊長!こちらへ」


 鎧を着た男の1人が窓で何かを見つけた。それは窓の外に伸びたロープだった。


「ええぃ、外に逃げたか……!?すぐに」


「な訳ねぇだろ?」


 その時だった。いきなり窓の外から響介が男の1人に顔面目掛けて跳び膝蹴りを放ちながら侵入、一撃でのして着地した。


「がっ!?」

「小隊長!?」


「上から来るぞ!気を付けろってな」


 おどけながらも瞬時にもう1人の背後に回り一瞬でドラゴンスリーパーを極め頸動脈を締め上げ気絶させた。

 ロープは注意を窓の下に向ける為の仕掛けで響介自身は窓の上側に待機していて近付いて来るのを待っていたのだった。


「それにしても、別の世界でも対人戦闘はプロレス技使えるな」


「キョウスケーこっち終わったよー」


 浴室からライミィが男にコブラクラッチを極めたまま引き摺って来た。未だ極め続けている為か男は泡を吹いて真っ青になっている。勿論ライミィが掛けているコブラクラッチは響介が教えた。


「流石ライミィだな、完璧にマスターしてる」


「キョウスケのお陰だよ~いっぱい練習出来たし」


 言わずもがな野盗をしめていた時である。勿論説教中に反抗した野郎には関節技で締め落とす寸前にして素直にさせたのは言うまでもない。


「それよりコイツらどうする?」

「まあ取り敢えず」


「2人共大丈夫かい!?」


 女将のウナさんが凄い勢いで部屋に入って来た。そして部屋の惨状を見て


「あー、心配なかったみたいだね…」


呆れたように笑っていた。


「女将、部屋を荒らしてしまい申し訳ありません」

「ごめんなさい」


 頭を下げて女将や後から来た従業員達に謝罪する響介とライミィ


「いやいや!あんたらのせいじゃあないよ!こいつらが悪いのさ、旦那まで怪我させて」


「そうですか、皆さんすいません手伝って頂いてもよろしいですか?」


「なにするんだい?」


「ちょっとこいつらと『お話』を」


 この言葉を言うと響介とライミィは清々しいほどの怖ーい笑顔をしていた。






 そして10分後、オロスの食堂では『お話』が始まろうとしていた。


「さて、てめぇらの用件は?」


 響介だ。

 この食堂には響介、ライミィ、支配人夫妻とオロス従業員と宿泊客達が勢揃いして輪を作っておりその真ん中には意識の戻った男3人が手足を縛られ椅子に固定された状態でパンツ一丁で並べられていた。


「お前ら、こんな事をしてタダでぶふぉあ!」


「誰が余計な事を喋っていいって言った?」


 真ん中の男の鼻っ柱に拳を入れ黙らせる響介。鼻の骨が折れたのか鼻が歪み鼻血も出していた。無抵抗な人間に拷問紛いな事を平然と行う響介と楽しそうに笑って視ているライミィを見て両脇の男2人は顔を青くしている。


「俺が喋っていいって言った時に必要な事だけ発言を許可する。返事」


「ふ、ふざけるな!誰がお前の……!」


「ライミィ、釘とトンカチー」


「はーい」


 ライミィは響介にまあまあの大きさの釘数本とトンカチを渡す。そして未だ抵抗する真ん中の男の太股に釘を添える。


「ま、待て!待ってくれ!」


「待って下さいだろ?」


「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!?」


 一切取り合わず釘を打ち始めた響介。かつーんと釘を打つ音が響くと同時に男の絶叫が上がるがそれは一回では終わらず持っていた釘を全部男の太ももに打ち込んだ。

 この情け容赦の無い行動は祖父の教えの一つ『仁義と任侠を通すのなら覚悟を決めるべし』もあるがこの世界に来てから見てきた人間は自分勝手で人を人として見ていない命を軽んじ平気に侵害している奴らが多く、むしろライミィ達ラミアのみんなの方が圧倒的にいい人達がいたこともありこの世界に来てから目の前の様な人間に対して一切の躊躇(ちゅうちょ)躊躇(ためら)いが無くなっていた。


「改めて言う。喋っていいのは俺が許可した時のみに発言を許可する。そうじゃなきゃ、わかるよな?」


「「はい!」」


 あまりの痛みに悶絶して答えることが出来ない男をほっとき響介はいい笑顔で両脇の男達に尋ねると男達は素直に答えた。あんな目にはあいたくないと表情が物語っていた。


「よし、いい子だ。お前、俺達に用件は?」


「我々はトリウス教会の聖騎士であります。先の勇者ロン様を始め勇者2人の離脱の責任を取らせると言われ連れてこいと…」


「はあ?全部そっちの自業自得じゃん。私とキョウスケの責任ってバカなの?」


「誰の命令だ?」


「ハーパー卿です…」


「今はトリウス教会に居るな?」


「はい…」


「成る程な、まあ俺達もトリウス教会にたった今用が出来たから行ってやるよ。だがまだ確認することがある。お前!」


「はひ!」


「お前らのこの鎧一式とこの剣、いくらだ?」


 縛られた聖騎士達の目の前に置かれた鎧や剣を指をくいっと指して質問をする響介。突然聖騎士達は自分達の装備の値段を聞いた響介に戸惑いながらも聖騎士の1人が答える。


「ええと、売値だと鎧一式は確か金貨4枚に剣は金貨2枚だったかと……」


「ねえ」


「はい!」


「キョウスケは定価の話をしてるんだよ?分からない?キョウスケ、私にも釘とトンカチ貸してー」


「剣と鎧は共に銀製のシルバーソードとシルバーアーマーになりますので剣は金貨6枚鎧一式は金貨12枚になります!」


「成る程な、ファーマス支配人。お怪我は大丈夫ですか?」


「ああ、キョウスケ君のお陰だよ。すっかり良くなったありがとう」


「ありがとうございます。ですがファーマス支配人、宿の修理費はいくら位になりそうですか?」


「そうさな、扉が全損だから金貨5枚に中も荒らされたから全部綺麗にするのに金貨8枚位かもしれん」


 それを聞いた響介は暫し考えると口を開いた。


「宿の修理費金貨13枚に支配人の治療費金貨5枚。それと宿の迷惑料で金貨12枚。ああ、そうだ俺達の仲介費用が抜けてるな。キリよく金貨50枚にしてやる。ああ、勘違いするなよ?お前らの鎧や剣は俺とライミィに対する迷惑料だから別だ」


「そ、そんな……」


「じゃあ1人金貨18枚払って貰おうか?」


この響介の言葉に口をつむいでしまって俯く男達、それを見た響介は目の前で鎧を一纏めにして懐中時計に登録して引っ込めた。


「よし、お話も終わったし取り立てに行くか」


 そう言うと響介はジャケットを正し、ライミィも身だしなみを改めて整える。


「取り立てるってどこに?キョウスケ君」


思わずファーマスが響介に尋ねた。


「「勿論トリウス教会です」」


 そう言った響介とライミィのニコッと笑顔を見てファーマスとウナは勿論そこにいた人々は期待していた。好き勝手やっていた勇者や教会の連中に、一番の元凶の教会に一泡吹かせられるのではないかと




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