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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第2章 神聖王国 ~ピアニストと駆け出し勇者達~
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18話 中央公園にて 初路上演奏

2人、仲良く寝る。探りを入れられる




「ねえねえキョウスケ!これどうかな?どっちが似合う?」


「うーんライミィならそっちの青いスカートかな」


 商業都市の中でも人気のブティックに俺達はいた。女性物の専門店なんて一生縁が無いと思っていた俺だったが散策中にたまたま見つけライミィが行きたそうにしたので入店。入店したのはいいんだが


「ねえねえこっちは?」


 ごめんなライミィ、俺服の事は全然わかんないんだ。ってかここに俺って場違いじゃね?と一瞬思って周りを見てみたが以外とカップルも多かったし大丈夫かな?


「むう~、聞いてる?キョウスケ」


「ああ、ごめん聞いてなかった。なんだっけ?」


「これ似合うかな?」


「ぶっ!?」


 何下着を堂々と見せてるんだよ!しかもそんな中々セクシーなの直視出来るかっ!?いきなり過ぎてどうすりゃいいんだ!?隠れ集落の一件があっても女性の免疫ほぼ0なんだって!

…ただ聞かれたのならちゃんと答えるべきだと思い顔はそっぽ向けながらも


「似合うと思うぞ」


「ホント!?」


「うん、黒は女を美しく見せるって言うし」


 ライミィは色白だから似合うと思う。って何を想像してんだ俺はっ!?


「じゃこれ下さい!」


 ライミィは嬉しそうに買ったしいいのか?ただ後で聞いた事だけど、周りは俺達のやり取りを初々しいカップルのやり取りとして微笑ましく見ていたそうだ。


「付き合ってくれてありがとう、キョウスケ」


「どういたしまして」


「ふふふ、照れてる~」


「……」


 照れてると言うかなんと言うか、俺は顔を赤くしていたろうな。至らぬ事を想像した自分になのか単純に恥ずかしかったからなのか自分でもわからない。ただ


(着けてること想像したらライミィ直視出来ない)


 わからないが多分前者だろう。俺もがっつり年頃なのである。だってまだ17だし。その横ではライミィが嬉しそうだったので良しとしたいが一抹の不安は拭えなかった。


(今日一緒に寝るとき着けよ♪あっそうだ)


「そういえばキョウスケはいいの?」


「俺?」


「うん。その服装で」


 他にも色々買ったライミィとは対象的に俺の服装は元の世界のまんまで黒い薄手のフライトジャケットとTシャツ、アイボリーのカーゴパンツにブーツ。別に動きずらくはないし昨日買った籠手と脚甲も外見からはわからないからむしろこのままがいい。買っても寝間着や予備のシャツぐらいだ。


「ああ、別に不自由しないし、俺はクリーニング使えるし大丈夫だぞ」


「うーん、でも目立つよ?」


「別に気にはしないさ、それに俺の場合立っ端も肩幅もあるから服選ばなきゃだから」


 服選びで一番のポイントだ。俺は身長187の体重74とじっちゃん曰く父親譲りのガタイの良さの為選ぶのも限られるというのがあり、服に対してあまり拘りが無い。それに目立つって言っても俺自身デカイおかげで何しなくても目立つ。


「キョウスケおっきいもんね~、それにイケメンだし~」


 イケメンかどうかわからないがじっちゃん曰く俺は両親の良いとこ取りらしい。体格と身体能力は父親譲りで容姿は父親とアメリカ系イギリス人の母親良いとこ取り。青い瞳も母親の遺伝だと聞いた。

 俺は両親の記憶がない。俺の物心付く前2歳の時に事故で亡くなりじっちゃんに引き取られたから。そんな事をふと思い出して歩いていると中央公園に着いた。


「人がいっぱいいるね、綺麗だしいいとこ」


「だな、綺麗な公園だ」


 この中央公園はその言葉通りこの商業都市の真ん中にある噴水がある大きな公園で中央通りに面している商業区から簡単に行くことが出来る。都市がちゃんと管理している為手入れが行き届いていて季節の都度その季節に合った花が植えられており、都市の住民達には待ち合わせ場所や憩いの場として利用されていると宿の番頭に教えてもらった。


「今日は何するの?」


「たまにはのんびりしよう。ここに来てからずっとバタバタしてたからな」


「そだね。たまにはいっか」


 そうして俺達は公園に入って行った。2人でのんびりするのもいいかと思っていた俺だったが噴水広場の前で人だかりが出来ていてあるものに気が付く。あれは


「キョウスケ、なあにあれ?」


「大道芸人だよ。成る程ああいうのもやっていいんだな」


 俺達が見たのは大道芸人達のパフォーマンスだった。ジャグリングする者、軽業を披露する者、テイムした魔獣と芸を披露したりする者と色々だ。


「おおー」


 元の世界にもああいうのはあったが多分ライミィは見るの初めてだろうな。そもそも街に出たことなかったって言ってたからな


「さあさあお立ち会い!今度は」


 テイマーの男が鳴り物を使い魔獣がその演奏に合わせる芸を見せて喝采を浴びた。

ん?演奏?演奏もありなのか?


「……」


 しょうにもなくウズウズする。

 弾きたい。無情に弾きたい。

 集落を出てから最初の1日しか弾けず約10日程弾くどころかピアノすら出してない。集落では毎日弾いてたからその反動かもしれない。そして大道芸人達の芸が終わり撤収を始めた時に俺は動いた。


「さあさあお立ち会い、皆様お耳を拝借してよろしいですか?」


 大道芸人達がやったように前に出てやってみる事にした。じっちゃんの教えだ『男は度胸』。いきなり過ぎてライミィも驚いている。


「ここにいきなりピアノが出てきたらびっくりしませんか?」


いやいやまさかとか、無理すんな兄ちゃんとかやんや言われる。


「そうですよねいきなりピアノが、って出ちゃったよ」


 わざとらしくおどけてみせる。隠密スキルを上手く使い『賢者の懐中時計』をバレないように使いピアノを取り出す。すると


「おおっ!」

「手品みたい!」

「どうしてピアノが?」


 声が上がる、勿論狙った。こういうのは掴みが大切。そして俺はピアノに向き合い。


「では皆様との出会いに一曲」


 演奏を始める。高音からゆっくりと入る曲で入り落ち着いたAメロから緩急の効かせたサビに入る。


「おおっ…!」

「上手…!」


 周りの事に気にせず俺は曲に入り込み演奏を続けた。曲はたくさん聞き込んでたからいっぱい浮かんでしょうがない。たくさん弾きたいが一曲って言ったし一曲だけにしよう。そして最後の一小節を弾き終わると俺は席を立ち


「ご静聴ありがとうございました」


 出した時よりさりげなくピアノをパッと消してみせて聞いてくれていた方々に頭を下げてお礼をする。するとたくさんの拍手が送られた。




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