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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第2章 神聖王国 ~ピアニストと駆け出し勇者達~
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16話 夜 1日も終わり

2人、勇者と遭遇する。




 ピーター商会から帰った2人は宿へ戻った。夕食まで時間があるのでライミィはお風呂へ、響介は買ってきた物、手持ちの所持金をまとめていた。


「買ってきたのはポーション20本ハイポーションとマジックポーションが各15本、メディカルポーションが20本と地図にメモ帳代わりの羊皮紙にペンとあとは面白そうな事が出来そうなものだろ。所持金はと」


 次に懐中時計から出したのは金貨袋。そしてポケットから財布を出して。


「金貨袋に2889枚。俺は金貨3銀貨3銅貨9。ライミィは使ってなかったから金貨3銀貨4銅貨8。あっ面白そうで買ってきた物を分の金差し引いておかないとな」


 一時的に使った分の銀貨2枚を金貨袋に入れた。お金はあるに越したことないが管理はしっかりとしておかないといざという時に使えない。それに何に使ったかもしっかりと書いておく。今日は金貨袋から俺とライミィの装備代金貨105枚、道具代金貨5枚銀貨8枚、俺の財布からは道具代銀貨2枚と今日の昼飯代銅貨9枚だ。

 懐中時計の中も確認する。今入れているのはピアノと金貨袋+道具袋、それと俺とライミィの装備だ。


「キョウスケーお待たせー」


 お風呂上がりのライミィは髪の毛を拭きながらキョウスケに抱き付いてきた。


「……ライミィ当たってる」


「当ててるの。柔らかくて弾力あるでしょ?何してるの?」


「何にお金使ったか記録してるんだよ」


「キョウスケお母さんみたーい」


「ちゃんと何に使ったかを明確にしないと無駄使いしちゃうだろ?お金は有限だからな」


「そだねー、ん?キョウスケ今日体温ちょっと高いよ?どうしたの?」


 そう言ってライミィは響介の顔を覗きこむと、響介は顔を赤くしていた。


「キョウスケ大丈夫?」


「大丈夫。ただな」


「ただ?」


「お互いに薄着だから感触がダイレクトなんだよ、言わせないでくれ…」


「キョウスケ照れてる~」


 笑いながら響介の頬をツンツンとつつくライミィ。夕食の時間まで終始こんな感じで部屋でイチャイチャしていた2人だった。






「いい匂いー」


「この匂いはチーズか?良かったなライミィ」


「うん!ここ選んで良かったぁ」


 食堂に向かいそんな会話をしていると2人は声をかけられた。声をかけたのは宿の女将さんにして料理長のウナさんだ。


「嬉しい事言ってくれるねぇ!」


「あっ、女将さん!」


「今日の献立はチーズスープにトマトとバジルのブルスケッタ、メインは鳥股肉のグリルだよ!しっかり食べとくれ!」


「わーい!」


「女将、ありがとうございます」


「気にするんじゃないよバカップル!昨日も今日もあんなに美味しそうに食べてもらえちゃあこっちも作り甲斐があるってもんだよ!」


「バカップル?」


豪快に笑う女将さんに首を傾げるライミィだが響介は


(えっ?ちょっと待ってくれ俺達ってそんな扱いなのか!?)


 自分達の周りからの扱いに心で突っ込みをいれていた。しかし


(ライミィはわかって無いようだからいいか)


無邪気なライミィを見てまあいいかという気持ちになり


「早く行こ!」


 ライミィがぐいぐい引っ張って来るのでどうでも良くなった。野暮は良くないよなと思う今日この頃、そして席へつき


「「いただきまーす」」


 早速いただくことに、ライミィは迷わず鳥股肉のグリルに手を伸ばす。うん。やっぱり蛇は肉食だな改めて思う。そんな俺も鳥股肉に手を伸びた。

 鳥股肉のグリルは綺麗なきつね色に焼かれていてナイフを入れるとパリパリに焼かれた皮がいい音を立てる、入れた所から肉汁が溢れてきて食欲をそそりたまらず俺は口に入れると


()()いなこれ」


 率直過ぎる感想だ。なんで焼くだけで、塩コショウだけでここまで美味いのかを1から作る工程を見ていたい程だ。


「美味ひー」


 俺が一口食べる間にもう3分の1食べてるライミィ、気持ちは分かるから仕方がない。今日もご飯は美味しい。女将さんありがとうございます。


 そんな感じで楽しく食事の時間を過ごす2人。この宿は他の宿泊客もカップルや新婚夫婦が多く皆穏やかな雰囲気で過ごしていた。ところが


「ん?」


「どうしたのキョウスケ?」


「騒ぎ声が聞こえるな、入り口の方から」


 ピアノを弾いている影響からなのか元の世界よりも格段に聴力が良くなっているようだ。それを聞いたライミィは


「見てくるね」


「おいおい…」


 すぐさま様子を見てくる為席を立つライミィに若干呆れる俺だった。






「良く聞こえるなぁキョウスケ」


 気になったライミィは響介が言ったとおりに入り口へ、そこで2人の男性が口論をしており


「お願いします!彼らに話しをさせて頂けませんか?」


「何度も言わせるな!あんたらに関わると録なことがない」


(あれ?あの人って確かギルドのおじさん?)


 ライミィが見たのは宿の番頭と言い合いをしている冒険者ギルドの受付をしていた初老の男性だった。


「お願いします。今回ばかりは…」


「くどい!あんたと話すことはない!そんなに言うならあの女を伝えておけ!自分で来いとな!」


(あの女?あの女ってクリスさんのことかな?)


 ライミィが思い付いたのは所長のクリス。その後は不毛な会話になりそうだったので足早に食堂に戻り響介の元へ


「どうだったんだ?ライミィ」


「えっとね……」


ライミィは響介ひそひそと見てきたことを話す


「続きは部屋でしようか」


「うん」


「じゃ、お手を拝借」


「「ごちそうさまでした」」


 そして2人は部屋に戻りライミィは見た事を響介に伝える


「成る程な、冒険者ギルドが…」


「うん」


「…確かにこの宿って冒険者がいないよな」


「あっ、そういえば」


「おかしいと思ってたのはそれか、銀貨2枚で食事付き、金を節約したい冒険者なら来る筈なのに旅人ばっかなのは」


「なんでだろ?」


「まあ、考えられるのは勇者様だろうな」


「もしかして…」


「今ライミィが考えたので合ってると思うぞ。俺もそう思う」


「どうするの?」


「明日確認しようか。今日はもう寝よう」


「わかった」


「じゃ、おいで」


「はーい♪」


 響介はもう寝る体制になっておりベッドで腕枕をする体制へ、ライミィは喜んで響介の胸元へ行きあっという間に眠りに墜ちるのだった。





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