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150話 名乗り 舎弟改め




 …もういやだ。

 わたしはなにかしましたか?

 お父様もお母様もお祖父様もお祖母様もみんなわたしのことを『やくたたず』とか『のうなしエルフ』といいいっぱいたたかれたりこわいことをいっています。


 ごはんもときおりしかもらえずさむいおへやでいつもひとり。


 …ずっとこのままなのかな?そうおもってたら


「…?」


 いつもしまってるドアがあいてる?気がつくとわたしはドアのそとに出てた。みつからないようにしずかに、そうしておそとに出るとへいたいさんがあっちこっちに走ってる。なんでだろうとみてたらわたしはおっきなはこをみつけました。


 気がついたらそのはこにはいってました。なんでだろう。そうしてはこにはいったわたしはなんだかねむくなってしまいねてしまいました。






「あっ、みんなキョウスケ君達が来たわ!」


 エルフ達が世界樹の森の周りに張られた森ダンジョンからラミア達の狩り場である狩りの森に侵入したと一報を受け狩りの森の出口に当たる草原地帯に馳せ参じた響介率いる鴻上組。そんな響介達を出迎えた完全武装したラミア達に響介は


「皆さんありがとうございます。状況は?」


「でかい熱の塊が纏まってこっちに向かって移動してるわ。接触まで後五分位かしら」


「ありがとうございます」


 響介の後ろでステラがバスターブレードを懐中時計から取り出している横で魔銃ウェブリーにクイックローダーを装着するネロ。ライミィ達も準備が出来ており今か今かと待つこと五分。すると武装したエルフの集団が現れる。


「やっと森が終わった…」

「な、なんだ?あれはラミア!?」

「こ、攻撃し」


 そう言って一人のエルフが杖を振り翳し魔法を行使しようとした瞬間


「ぎゃぁぁぁ!」


 持っていた手に二本の棒苦無が突き刺さり苦悶の声と共に杖が落ちる。それを受けエルフ達がどよめきが起こり


「さっすが若や」


 潤樹が嬉しそうに口角を上げる。勿論やったのは響介だ。およそ100メートル以上ある距離を正確に当てていた。


「あの距離を投げて当てるのか」


「投げナイフは矢代の兄貴に教わってたからな」


「…距離があるでしょう」


「そこは、お兄ちゃんだから」


「…納得です」


 『響介だから』。これで納得してしまうのは潤樹達三人だからこそである。

 両陣営に緊張状態が走るが


「いきなり攻撃なんて酷いご挨拶だな。エルフなんてのはそんなに野蛮なのかい?」


 一歩出た響介が穏やかにエルフ達に問いかける。響介の意図が分からずに困惑しているエルフ達だがその中でリーダーっぽいエルフが前に出る。


「野蛮なのはそちらだろう。いきなり同胞を傷付けるとはこれだから人間は好かん」


「こっちは正当防衛だ。文句があるなら躾のなってない同胞に言ってくれ」


 言われた分を不敵な笑顔でしっかり言い返す響介にたじろぐエルフのリーダー。たじろぎ視線を移した時にあるものが写る。


「あれは…!いたぞ!リイニッジのハイエルフだ!!」


 その言葉を聞いてエルフ達は直ぐに反応しリーダーが指を差した先のアリスを見ると


「ヒャッホウ!ここにいやがったか!」

「散々手間かけさせやがって…!」

「あの話しは本当ですよね?」


「あの話しだぁ?」


 なにやら話し始めたエルフの連中に怪訝な面持ちで連中を見据える響介。

 全員が全員アリスを舐め回すような視線で見ていたのが気になっていたがそれにあのエルフのリーダーは


「王家からな、リイニッジのハイエルフの事は王家の跡取りを産ませた後は好きにしていいと言われている。まぁダークエルフに抱かせた醜女だがハイエルフだからな、兵には慰み物代わりに丁度いいだろう」


 と、下卑た笑いをしながら吐き捨てた。その瞬間だ。


「許さない…!」


 エリーが目に怒りの炎を湛え今にも皆殺しをそうな雰囲気を纏う。

 それはそうだろう。大切な母親を道具としか見ていなくあまつさえ下卑た欲望の元に吐き捨てようとしているのはエリーの目からしても明白で匂いを嗅ぐ必要もない今すぐ殺してもいい敵でしかない。それは聞いたライミィ達や後ろに控えていたラミア達も一気に殺気立ちステラもネロも目の前のエルフ達には嫌悪感しかなく響介もこんな人面獣心の輩共に対話など不要と判断した。エリーがクリエイトゴーレムを詠唱しようとした時


「…?ジュンキお兄ちゃん?」


 エリーにエルフ達との間に手を遮るように出していた潤樹がいた。殺気立つエリーに


「エリーのお嬢がわざわざ手ぇ汚す事なか。なぁ若」


 潤樹の言葉に全てを察した響介は


「ああ。潤樹、太一郎、憲剛。頼んでいいか?」


「あいよ」

「勿論だ若!」

「…全力で当たらせてもらいます」


 響介が下がると同時に潤樹達三人が前に出る。それに響介は理解していた。


「ははっ!怒り過ぎると笑っちまうってのは本当だなぁ!若!」


 笑いながら怒りを露わにする太一郎。太一郎とは対照的に無言で表情を怒り一色にさせる潤樹。そして口元は笑っていて目が笑っていない殺気立てた憲剛。おり恐らくこの中で一番腹が立っており三者三様ブチ切れていた。


 日本でも類を見ない吐き気を催す外道。それが目の前のエルフだった。


 そんな三人がエルフ達の前に立つとエルフのリーダーは三人の雰囲気を察したのか狼狽える。


「な、なんだお前ら!?我らの邪魔をするのか!?ならば」


「…ならば?なんだ?」


 100%の殺意が籠もった目でリーダーを見据える憲剛。その視線は極寒の如く冷たさを発しており今にもチビリそうなリーダーは震えた声で虚勢を張り


「ならば皆殺しだ!貴様らを殺した後であのハイエルフを存分に便器変わりに使ってやる!者共かかれ!」


 その言葉を受けてエルフ達は武器を持ち三人に襲いかからんとする。しかし


「遅いわ」


「ぎゃぁ!」

「ぐえっ!」


 その前に潤樹が仕掛けるのが圧倒的に速い。両手に持ったアイスナイフから作ったロングナイフで瞬く間に剣を振りかざしたエルフを次々と仕留め


「骨折損の草臥儲。死ね」


「おごぉ!」


 エルフのリーダー達の背後にいたエルフが短い断末魔を上げた事に気が付き振り向くとそこにいたのは首が有らぬ方向に曲がり血を吐いたエルフと憲剛が、極めつけは


「得物ねえからこれ使うか!くたばれオラ!」


「がぁ!」

「ば、化け物だ!?」


 潤樹が仕留め虫の息になったエルフの片足を持ち木の枝のように振り回し薙ぎ払う太一郎だ。

 そこからのエルフ達は正に阿鼻叫喚だった。


「刃物投げんのは若だけちゃうで」


 スピードで翻弄しアイスナイフを詠唱し投擲しながら斬りつけ先にこの世界に来た利点を生かし徹底的に魔法を使わせない潤樹。


「どこを見ている」


 消えたかと思えばいつの間にか敵の背後に立ち首の骨をへし折り武器を奪っては心臓に刃物を突き立て確実に殺し敵の中央で恐怖を撒く憲剛。


「そんなナマクラで俺のタマが取れるかボケ!」


 事切れたエルフを武器や盾代わりに使いながらも大振りなのを狙われ袈裟に斬られるが自慢の筋肉を滾らせ堅め刃を止めると即座に反撃し暴れ回る太一郎。


 目の前の光景、一方的に同胞が殺される事態に信じられないと言わんばかりに狼狽え

 

「な、なんなんだ!一体何なんだお前らは!?」


 目の前の殺戮に驚愕するエルフのリーダーに


「俺達か?俺達は…」


 また一人のエルフを薙ぎ払い三人は堂々と名乗り上げた。


「鴻上組組長補佐津上太一郎!」

「…同じく乾憲剛」

「天堂潤樹や!」


 潤樹が側近のエルフを蹴り殺したその瞬間だった。


「これが本当の骨折り損。じゃあな」


 背後から音も無く忍び寄った憲剛がリーダーの頸椎を一瞬でへし折ったのを最後にエルフ達が壊滅。


 所要時間僅か2分未満。

 被害は鴻上組陣営0人、エルフ陣営126人全て死亡。


 エルフの国フルドフォルクに対する警告合わせ、鴻上組組長補佐三人の華々しい初陣となったのだった。



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