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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第2章 神聖王国 ~ピアニストと駆け出し勇者達~
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15話 商会で 勇者と出会う

2人、勇者の話を聞く




 ピーター商会で店員達と喋っていた響介達、話が逸れに逸れたがここでようやく本題へ


「ねぇねぇキョウスケ」


 ライミィがフライトジャケットの裾をちょいちょいと引っ張り意図に気が付いた響介。


「ああ、そうだった。少々お聞きしたいのですが武器って弓も扱ってますか?」


「弓ですか?勿論御座いますが、お探しですか?」


「ええ、ライミィの弓を新調したいと思いまして」


 響介がそう言うと女性店員の1人が奥に引っ込む、暫くして弓を何本か見繕って戻って来た。


「ライミィ様に装備出来そうなもので幾つかお持ちしました」


 そう言って何本かの弓を並べてもらったので2人で見てみる。響介は鑑識スキルを使い一本一本確認すると


(ランクだけ見てると今使っているものよりは上だけど、もう一声って感じだな、ん?)


 響介の目にある弓がふと止まった。それと同時にライミィがその弓を手に取った。


「キョウスケ!これがいい!」


 店員達が少しどよめくなか響介はその目に止まった弓の詳細を確認する。



コンジットボウ

アイテムランクB

魔法媒体化

魔力を込める事で弦を張れる銀製の長弓。弦の強度は使用者の魔力に比例して強くしなやかになり射る威力も変化する。また通常の弓と同じように通常の弦を張る事も可能。



 魔力の使って射る弓、要は魔弓か。ライミィも気に入ったようでこれにしよう。


「こちらおいくらですか?」


「えっと、金貨50枚です」


俺は懐中時計から金貨袋を出し金貨を出す。


「即金で。確認して下さい」


 店員さんが驚きつつも金貨を確認する。ライミィはライミィで防具のところで色々見ていたようで


「キョウスケーこれも買っていい?」


 ライミィが持ってきたのはBランク防具の銀のブレストプレート。薄手だが防御魔法を付加させているようで防御力は高く全身に及ぶ、ライミィの着ているジャケットの下に着ても大丈夫そうだった。当然響介は


「すいません。あれも追加でお願いします」


「あれですと、金貨35枚に」


「確認をお願いします」


 金貨を惜しみなく出す響介、必要な投資はしっかりするタイプの為基本的に必要と感じたら惜しみ無いのだ。それに金ならマクルスの賞金がある。


「あ、ありがとうございます!」


「キョウスケはいいの?」


「ん?俺か?」


「うん」


「何かお探しなんですか?」


「はい。キョウスケ殴ったり蹴ったりするので何かありますか?」


「殴ったり蹴ったりですか?キョウスケ様は格闘家なんですか?」


「いえ、ピアニストです」


(ピアニスト…?)

(ここいらにいる野党や盗賊の半分を素手でぶちのめしたピアニスト…)

(騙されるな…!あんな目に覚悟が決まってるピアニストがいてたまるか!?)


「?」


 店員達が動揺しつつも2人に聞こえない声量でやり取りをしているが


「あの?聞こえてますよ?誰が目に覚悟が決まってるピアニストですって?」


響介にはしっかりと聞こえていた。


「も、申し訳ありません!!」


「キョウスケ聞こえたの?」


「なんか耳も良くなってて結構聞こえるぞ、聞き分けも出来るし」


「すごーい!」


「ありがとう、でも今は関係ないぞ」


「うん。それで店員さん何かありますか?」


「えっ?ええ、ならガントレットやグリーブあたりでしょうか?キョウスケ様はブーツを履いてますので」


「ガントレット?グリーブ?」


「前腕部を保護するのがガントレット、要は籠手ですね。グリーブは脚甲になります」


「はい、そういえばこちらに…」


 そう言って店員が持って来たのは一組の籠手と脚甲。こちらも銀製のもので


「こちらなど如何でしょうか?」



シルバーガントレット

シルバーグリーブ


アイテムランクB

前腕部と膝下から足首まで保護する防具。ガントレットは手の部分が革製でオープンフィンガーグローブのようになっており手の動きを阻害しないような作りをしている。いずれも防御魔法を付加させている為全身に範囲も拡大しており防御力も高い。



うん、なかなかよさそうだ。見た目も派手ではないし俺の場合着ているフライトジャケットとカーゴパンツの下に忍ばせる事が出来るからこれにしよう。


「これにします。おいくらで?」


「こちらは合わせて金貨20枚です。合計で金貨105枚になります」


金額を聞いてすぐに支払いをする響介。


「確認をお願いします」


「はい。金貨確認出来ました。ありがとうございます」


「ありがとうキョウスケ!」


「どう致しまして」


仲良く笑い合う2人。そして2人は


「今日はありがとうございました。ワッケイン副支店長にもよろしくお伝えください」

「ありがとうございました」


 店員さん達に頭を下げお礼を言い3階を後に、そして2階のアイテム売り場にて回復アイテムを物色する。


「どんなのあるんだ?」


「回復アイテムならやっぱりポーションだよね。あっ、あったよ」


 やって来たのはポーション売り場。様々な容器や色が付いたポーションがあり響介は1つ1つ鑑識スキルを使って確認する。


(こっちは魔力を回復するマジックポーションでこれがポーションより強力なハイポーションか、こっちのメディカルポーションは毒とか麻痺などの状態異常の治療ポーション、おっこれは…)


ポーション類や近くにあったアイテムを見て考える響介。横ではライミィが


「昨日はありがとうございました!」

「いえいえ、お役に立てて良かったですよー」


 昨日盛り上がっていた女性店員さん達と楽しく話していた。そうか、あの人達かあの宿薦めたの


「それでそれで?」

「えっと、まず恋人からって、キスしました…」

「「きゃー!」」


 顔を赤らめて報告するライミィ、そしてきゃっきゃっ騒ぎ出す店員さん達。他のお客さんもいるんだから後にしなさい後に、

ってか止めて!こっぱずかしい!


「……取り敢えずかごか何かないか?」


 ガールズトークで盛り上がってるあっちは放っとくとしてアイテム類はあまりに大量になりそうなのでかごを探す。


「あったあった」


 丁度階段近くにあったのを見つけ取りに行く響介。その入れ違いで冒険者らしき4人程のグループが入って来た。見たところ男女2人ずつの様だ。するとその1人の戦士風の男が店内を見渡すとライミィ達のところへ


「はーい、そこのお嬢さん。今いい?」


 しかしライミィはスルー。そもそも自分に声をかけられているとは思っておらず店員さん達とお喋りを夢中になって続けていた。店員さん達は男に気が付いているがいかんせん楽しそうに話し続けるライミィとの対応に困る。無視された事に対し少し不愉快になった男だが


「そこの金髪のお嬢さん。いいかい?」


少し抑えながらライミィに話しかける。

 ようやく気が付いたライミィは振り向くとその男は鎧を着こんで腰に二振りの剣を携えた大体20歳半ば位の茶髪の男。


「誰?」


「この後暇かい?良かったら食事でもどう?」


「暇じゃないし食事もパス」


 即答で断るライミィ。

 響介以外の男に興味が湧かなくライミィの中では今日の予定は響介と宿に戻ってお風呂に入って響介と晩御飯を食べると決まっている為目の前のヘラヘラした男の誘いは魅力は全くと言ってもいいほど感じない。


「ドーンさん駄目ですよ」


 仲間の魔法使い風の男が止めるもドーンと呼ばれた男はなおライミィに食い下がり


「お嬢さん、そんな言い方良くないなーちょっとお兄さんと親交を深めない?」


「興味無い」


 またも即答。さすがに不愉快になった男は


「いいから来いって言ってんたろうが……!」


「ドーンさん!」


 仲間の女の子の静止も聞かずライミィを強引に掴もうとしてきた。が


「俺の連れになにしてんだ?」


いつの間にか目の前にいた響介が掴もうとして伸ばした腕を掴み上げた。


「キョウスケ!」

「な、何だてめえ!?」


 ライミィはすぐに響介の後ろに隠れる。それにつられたのか店員の女の子達も響介の後ろに隠れた。


「俺の連れになにしてんだ?って聞いてんだ。ナンパなら他あたりな」


少ーし力を入れてみる響介。

 すると籠手がミシミシと音を立てる、籠手越しで痛みを感じるのか苦悶の表情を浮かべる男、ここで引き下がればよかったのだが


「て、てめえ俺を誰だか知っててやってんのか……!」


「知らねえな、興味無えし」


 ライミィと同じ言葉を使って無表情で煽る響介の後ろでライミィは男にあっかんべーと挑発していた。


「俺は勇者クオリア率いる『リュミエール』の双剣戦士ドーンだぞ!そんな俺に」


その後も何か言っていたが無視し響介はドーンの仲間達を一瞥し


「へぇ、その『リュミエール』ってのは女の子1人ナンパするときもそう言って詰め寄り、一蹴されて思い通りにならないと無理やり連れていく連中なんだな」


「なっ…!」

「ち、違います!」


 ドーンではなく先程諌めていた女の子が声を上げた。見たところ鎧着込み剣を腰に携えたこの女の子がさっき言っていた勇者クオリアだろう。


「て、てめえ俺達を侮辱するつもりか!?」


「原因はお前の行動だろうが。覚えとけ、自分達の名前を出すなら行いに恥じない行動をしろ。決して脅しや恐喝に軽々しく使うな」


 ドーンの腕を離しながらクオリア達に警告する響介。そのドスの効いた声は響介の端麗な顔立ちからでは考えられない程の凄味がありクオリア達のみならず店員達も他の来店客も圧倒した。


「キョウスケカッコいいー!」


しかしライミィに至っては笑顔で拍手を送っていた。


「ら、ライミィちゃん?怖くないの?」


「えっ?あれはキョウスケの中では優しい方ですよ。普段はボコして武器を迷惑料変わりに取り上げて正座させて反省するまで『お話』ですから」


(お話……?)


そのお話内容が気になる店員達。そして


「私達の仲間がご迷惑をかけてすいませんでした」


「いや悪かったな。俺も少々手荒過ぎた。お詫びにこれやるよ」


と、響介は持っていたかごから適当にポーションを出してクオリアに渡した。


「店員さん、あの1本含めておあいそをお願いします」


「は、はい」


 ポーションやら色々なアイテムがこんもり入ったかごを店員さんに渡してお会計をする。


「お、お会計金貨5枚と銀貨2枚になります」


「じゃ金貨6枚か、釣りは迷惑料にして下さい」


と、いい響介は金貨6枚出してお会計を済ます。


「皆さんお騒がせしました。自分達はこれで失礼します」


「店員さんまた来るねー!」


 クオリア達や他のお客さんが呆然とするなかピーター商会を後にする響介とライミィ。


「ありがとうキョウスケ。助けてくれて」


「気にしなくていいよ。それにしてもどこ行ってもあんなタコ助がいるもんだ」


「勇者って言ってたけどあれも?」


「何人もいるってのは本当みたいだ。うん、あそこには明日行こうか」


「いいの?」


「ああ、今日の事でまた増えてるかもしれないからね」


「成る程~」


「それよりもう宿に帰ろうか」


「うん!一緒に帰ろう」


 荷物を抱えてライミィの手を握り宿に帰る響介。忙しかった1日が終わるも充実した1日だったなと思う響介とライミィだった。






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