144話 目覚め 精霊ドライアド
エリー、リーゼをアダマンタイトゴーレムに進化させる。
ラミア達が世界樹の森で暮らすようになり1週間が経った頃、響介はラミア達に呼ばれ魔導エアバイクメテオラを走らせていた。その道中
「ねぇねぇキョウスケ、なんでベラさん達に呼ばれたの?」
響介の身体に自身の身体を巻き付けて同乗していたライミィが質問を投げる。
「ああ、何だか森の様子が変だから調べて欲しいって言われてな」
「変?」
響介とライミィに挟まるように乗っていたエリーが首を傾げる。まさかのバイク3ケツである。
「森って言っても木とかじゃなくて地中で魔力持ったのが蠢いてるって話しでさ、取り敢えず様子を確認しとかないとってことで呼ばれた」
「地中で?なんだろモグラ?」
「さぁ?魔力持ったモグラなんているのか?」
「さぁ?」
揃って首を傾げる鴻上夫妻。よく考えたらそもそもあの森は響介達が復活させてからまだ動物が生態系を築くのには時間がなさ過ぎる(マルコシアスが作った森は外側)。
一体なんだと思っていたらエリーが「あっ」声を上げた。
「どしたのエリー?」
「お姉ちゃん、多分、精霊さん」
「精霊?」
「うん、先生とマルコが言ってた。地中に精霊さん、いるって」
エリーの話しでは世界樹の根に当たる部分、要は世界樹の森の地中にドライアドと呼ばれる精霊がいるそうだ。
邪神に追い込まれた世界樹を守る為自らを犠牲にした精霊ドライアド。マルコシアスによるとどうやら世界樹が復活した事でドライアド達も助かったようで今現在世界樹から魔力を供給され眠っているのだそう
「つまり、ドライアド達が起きたのかな?」
「状況としては高いだろうな、うん」
「精霊さん、楽しみ♪」
まだ見ぬ精霊に期待が膨らむエリーを見てこれ以上は野暮だなと思い響介は世界樹の森へとメテオラを走らせる。
「あっ!来た来た!みんなキョウスケ君達来ましたよー!」
メテオラを飛ばし世界樹の森へと到着した響介達を丁度住処としている世界樹、『原初の世界樹』と命名された一番大きい世界樹の近くにある泉のほとりで錬金魔法で世界樹の枯れ葉からハイポーションを作っていた人間状態のラナが出迎えてくれた。響介達はメテオラから降り響介が賢者の懐中時計にしまうと原初の世界樹から他のラミア達が出て来て迎えてくれた。
「ラナさん、皆さんおはようございます」
「「おはよー」」
挨拶は大事。それは古事記にも記されており人の道を大切にする任侠者の道徳でもある。
「おはよー。来てくれて嬉しいわキョウスケ君」
挨拶を交わしラナを始めとしたラミア達との話しに
「今日は3人だけ?ジュンキ君は?」
「潤樹はステラに洗濯の仕方を教えると言って今日は屋敷です」
「オリビア様はどーしたのライミィ?」
「お母さんはアリスさんとお庭綺麗にしてお茶するんだって」
「ネロは?」
「ネロ、まおーの所、ほーこくに行った」
「報告?」
「何時もの定時連絡です。こっちで何かあったらネロがアルに報告することになってますから」
「なる程ね〜」
「そうそう、キョウスケ君これありがとね!」
そう言ってラナ達が見せたのはラミアのアミュレット。これはエリーがライミィの脱皮した白い皮から錬成したマジックアイテムで今回エリーが作ったことでラミア達みんなの手に渡るまで供給する事が出来ラナのようにラミア達は時折人間状態で過ごしている様子。更に
「ライミィのマタンプシにある確かダイモンっていうキョウスケの家のもさ、入れたんだよ〜」
ラミア達の鉢巻には鴻上組の代紋である竜胆の花と月の刺繍が入れられていた。最初響介はこの話しを持ちかけられた時否定的だったがオリビアから
『私達はキョウスケ君の庇護下にある入るのだからそれを一目で分かるようにするのは大切なことよ』
と言われ改めて一理あると思った響介。
何処に与しているのか、何処のシマの者かと直ぐに分かるのは良いことだと思い採用した。流石にラミアの民族衣装の羽織に響介のフライトジャケットのように大きく背中に入れるのは却下させてもらった模様。
その後オリビアが鴻上邸で暮らす事になった事で新しいラミア達の長となったリンドウがやって来てリンドウ交え本題へ入る。
「それで話しのあったのはどの辺りになりますか?」
「それがねキョウスケ君、原初の世界樹を中心にしてこの森中なのよ」
色っぽく髪をかき上げて話すリンドウによるとこの世界樹の森中に地中から魔力が蠢いてるのを確認しとおりその原因もラミア達と共に暮らしている魔女のフランからドライアドの可能性があると聞いているらしい。
響介が呼ばれたのはその真偽判定とドライアド達との対話及び交渉。
ラミア達は出来る事なら共存を望んでいると話すリンドウ、それは響介も同意であり話し合いで穏便に済むならそれに越した事はないのだ。
「分かりました。なら早速最寄りの反応がある所へ案内をお願い出来ますか?」
「勿論よ。っていうかあそこよ」
そう言って後ろを向き指を指すリンドウ。その指し示す先にあったのは
「えっと、葉っぱ?」
そこにあったのはちょこんと生えて芽吹いていた双葉。響介達は近付いてまじまじと双葉を観察してみる事に
「俺には何の変哲もない双葉にしか見えないんだが…」
「いんや〜キョウスケ。この葉っぱ、すっごい魔力あるよ〜」
「うん、魔力の、塊みたい」
ライミィとエリーから魔力が集まっているのを聞かされてどうやら順調に回復しているのが伺える。響介は音で何か分かるか聴力スキルを使った瞬間…
「おはよーございまーす」
「「おわぁぁぁ!!」」
突如土の中から女性の上半身が生えた。思いもよらない状況に揃って驚きのあまり声を上げて互いにパートナーにしがみつく鴻上夫妻とびっくりして目が点になっていたエリー。特に聴力スキルを使っていた響介は本当に驚いていた。
土の中から生えた女性はふんわりとしたドレスを身に纏い若草色の柔らかな髪のてっぺんに見つけた双葉が乗っている童顔美人。驚いていたが挨拶をされたので反射的に
「「「お、おはようございます…」」」
挨拶を返す響介達。女性は土の中から這い出るとパンパンとドレスに付いた土埃を払うと響介達を見ると
「初めましてー癒手様ー、私はードライアドのユグと申しますー」
マイペースに自己紹介を始めるユグ。それにならい持ち直した響介達も自己紹介をしようとした時に
「おはよーございまーす」「おはよーございまーす」「おはよーございまーす」
なんと次々と土の中からドライアド達が生え始めたのだ。ラミア達やフランにも協力してもらい1人1人にしっかり対応すること10分後
「えっと、これでみなさん全員ですか?」
「はいー」
総計200人程のドライアド達が世界樹の麓に集まった。その中で響介はリーダー格でありそうなユグと名乗ったドライアドと話を試みる響介。尚ユグがリーダー格と思ったのは頭の葉っぱが一際大きかった為
「改めまして皆さん初めまして、自分は鴻上響介。キョウスケで構いません」
「はいー、キョウスケさんーこれから宜しくお願い致しますー」
「ん?」
なんだがいくつか話をすっ飛ばしているようで側で聞いていたライミィが尋ねた。
「あのユグさんこれからと言うのは…」
「世界樹様からお伺いしてますー、キョウスケさん達に危うい所をー助けて頂いたとー、それでー世界樹様にーみなさんのお役にとー」
その後も意見を交わしユグ達と話すとどうやら彼女らは世界樹と意思疎通が出来るようで世界樹から響介達に協力してほしいと頼まれたそうだ。ドライアド達は回復し目覚め響介の気を感じ土から出て来たとの事。
ドライアド達に敵意は無くむしろ響介達に世界樹に仕える精霊として協力を申し出てくれた。その時1人のドライアドが
「あー、ラミアさんですー、皆さん帰って来たのですねー」
ライミィを見てこんな発言をした。それを聞いた響介がドライアド達に尋ねると
「昔ー世界樹にはラミアの皆さんも暮らしておりましたー、ですがーあの戦いのおりー戦いの後散り散りになってしまったとーお聞きましたー」
思わぬ事実を聞いた。ドライアド達によるとどうやら元々ラミア達と世界樹で共存していたというのだ。ドライアド達が言うあの戦いというのもどうやら神災の時の話しのようでラミア達は世界樹を守る為に戦い散り散りになってしまったとのこと。それ故
「またー、一緒に暮らせるんですねー」
共存には歓迎してくれており共にラミア達と暮らす事を知り喜んでくれていた。
「ですのでー、皆さまーよろしくお願い致しますー」
その後世界樹で弾丸コンサートを開きピアノ演奏を終え屋敷への帰路に着いた響介達。
ドライアド達は木や草花を育てるのが得意だそうで響介からの提案で世界樹の北側の草原地帯に果樹園を作る事が決まった。自分達に協力を約束してくれさらに果樹園で作った果実類の献上、要はミカジメ料の話もまとまり順調に事が運ぶ事に手応えを感じ3人で笑いながら屋敷へ帰ると
「皆様、お帰りなさいませ」
屋敷からステラが出てきて響介達を出迎えた。しかし
「「「「お帰りなさいませキョウスケ様、ライミィ様、エリー様」」」」
3人揃ってポカーンとしてしまい目の前の光景は何だと見る。
ラミア達から貰ったコンバットメイドドレスに身を包む美人4人がステラにならい出迎えて呆気に取られていた3人だがライミィが代表して口を開く
「ちょっと待って。ごめんステラ後ろどちら様?」