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140話 接触4 再会と答え合わせ

響介とライミィ、オリビアに報告する。


 


 ライミィ義母オリビアを両手に抱えて飛んでいた響介。朱雀翼の飛行は快適らしく


「すごいわねキョウスケ君、凄いスピードで飛んでる筈なのに全然寒くないわ」


「そなのお母さん。私も抱えて飛んでもらったけど風も感じないし寒くないしで快適なの」


 響介の腕に抱えられている中で母娘が楽しく会話をしており響介は穏やかな気持ちで聞いており胸中で


(ヒートベールの魔力を応用したのは正解だ。ライミィ達にとって防寒対策は死活問題だからな)


 変温動物である蛇の体質を持つラミアは寒さにめっぽう弱く防寒対策を講じないと命に関わる。朱雀翼が使える様になった当初飛ぶときは特段気にしていなかった響介だがライミィを抱えて飛ぶ事を考えてヒートベールの魔力と朱雀翼から放出される気を全面に展開する事で気流を始めとした空気抵抗を相殺する事に成功、そして相殺した魔力や気を自身の方向へ指向性を持たせる事にも成功し朱雀翼での飛行は本来飛行するのに伴う抵抗すら打ち消しているのだ。


 ライミィが関わるとなると異様に頭が回る男それが響介である。


 そんな快適な遊覧飛行をしていた3人が次第に世界樹に近づくとある人集りが目に付いた。それを見て


「「「まあ、そうなるな」」」


 思わずハモった3人。3人の視線の先には一番大きい世界樹の麓でラミア達にモテにモテて10人以上の美女ラミアに囲まれて困り果てている潤樹の姿だった。


「潤樹はモテるからなぁ」


「そなの?」


「ああ、潤樹は向こうでもああやってケツ持ちやってる店の嬢さん達に良く囲まれてたんだよ。集金幾度に声かけられまくってるの見たことあるぞ」


「ジュンキ君もカッコいいから納得ね。みんなカッコ良くて強い男性は好きだからねぇ」


 そんな3人も世界樹へ辿り着くと響介は2人を降ろし朱雀翼を解除すると響介達に気が付いたメリアが


「あっ、キョウスケ君!みんなキョウスケ君も来たわよー!」


 その言葉を聞いたラミア達が瞬間移動の如く急接近しライミィとオリビアを抜き響介に抱き着いた。


「「「キョウスケくーん!」」」


「おっと、メリアさんにリリーさんリリアン速いっすね」


「おいおい」

「もう、私もいるわよ?」


「分かってますよベラさんアヤメさん」


 音もなく瞬く間に5人のスタイル抜群な美女ラミア達に抱きつかれてしまった響介。矢代の兄貴がやっていたように対応してみる響介は以前と変わらない彼女達に挨拶をして笑いながら接すると美女ラミア達は花が咲いたような華蓮な笑みを浮かべた。

 すると背後から禍々しい魔力が迫り、振り向くと抱き着いているラミア達に対してライミィが爽やかなドス黒い笑顔を浮かべており


「みんなー、一回キョウスケからはなれよっか?」


 笑顔には青筋すら浮かんでいる。しかし


「ちょっとーそんなにカリカリしないでよライミィー?」

「私達だって久しぶりのキョウスケ君の熱を感じさせてよー」

「そーだそーだ。こんなの私達とキョウスケ君の挨拶だー」

「オリビア様含め私達みんなでキョウスケの裸鑑賞会やった仲だろーが」

「そうよ、別に裸で抱き着いてる訳じゃないんだからいいじゃない」


「そんな事やったら殺すよ〜?」


 青筋を増やし満面の笑みで徐ろに弓を構えるライミィを見てやり過ぎたと察し何とか宥めようとするラミア達。


 ヒトは、本当に怒った時は笑うものだ。そんな怒り狂うライミィに響介は


「そんなに怒っちゃ駄目だぞライミィ。カワイイ顔が台無しだ」


 後ろからライミィを優しく抱き締めた。言わば後ろ抱きの状態だがライミィに後ろ抱きするのにわざわざ刹那功まで使用するのが響介である。


「キョウスケ、でも…」


「リリアンさんも言ってたけどラミアの皆さんに取っちゃハグは挨拶みたいなもんだろ?現に出会った頃よくされてたし」


「だって、キョウスケは私のだもん…」


「俺が抱き着かれて笑顔を向けられても本気するのは後にも先にもライミィだけだよ」


「キョウスケェ…」


 途端にライミィの怒りは霧散し顔を赤らめさせて響介に甘える。それを見てラミア達は危なかったと思う者とチョロいと思った者は半々だったりする。だが一番率直な感想は


「キョウスケから抱きしめるようになったんだな」


 いつもライミィから抱き締めていた。しかし今となっては響介からハグをしているのを見てラミア達はまるで成長したんだなと暖かい視線を送っていた。


「俺も散々抱き着かれましたからね、もう慣れましたし婚約してからは自然とこうするようになりましたよ」 


「えへへ〜」


 幸せそうに笑う二人を見て更にあらあらと暖かな視線を送るラミア達。そんな中響介が尋ねた。


「所でエリー達は?」


「アリスさんか?あっこの部屋の中で寝てたけどさっき起きたってツバキが言ってたぞ」 


「ありがとうございます。俺達も挨拶してきますね」


「ああ、分かった」


 そうベラ達と会話しているとラミア達に囲まれていた潤樹が響介に気付く


「わ、若!助け「潤樹ー!2、30分で戻ってくるから待っててくれーー!」若ぁーーー!後生やぁーーー!」


「もーう、ジュンキくんそんなに恥ずかしがらないでよー」


 ビオラを始めとした美女ラミア達に抱き着かれ迫られて顔を真っ赤にして助けを求める潤樹を華麗に流した響介達はベラに案内されラミア達の家となった世界樹のエリー達がいる部屋へ、世界樹へ向かうと何時ぞやのように世界樹の至る所に穴蔵を作り中を生活魔法で整えてお高いマンションのような部屋にコーディネートしており奥から


「…エリー、嬉しそうだな」

「ホント?なら良かった」


 嬉しそうな声色が聞こえた響介。二人がいる部屋の前ではネロと桃色髪のラミアリリスが


「よう、お疲れさん」


「ネロ、ありがとな」


「気にすんな」


「リリスさんお疲れ様〜」


「あらぁ、ライミィにオリビア様」


「ありがとうねリリス。助かったわ」


「いえいえとんでも御座いませんわぁ」


 軽く挨拶を交わしアリスの容態を尋ねる。リリス曰く今はかなり回復しており問題ないとの事、響介とライミィはステラがいない事に気が付くとネロが


「ステラならジュンキとライミィの母親の部屋用意するってんで先に屋敷帰ったぞ」


「あれ?アリスさんの部屋は?」


「エリーがおんなじ部屋がいいってんで譲らねぇんだよ」


「デカいベッドにしたのはその為か…」


「積もる話しもあるみたいだし、今は母娘水入らずにしましょう?」


「ですね、それに俺もリリスさんに聞きたいことありますし」


「あらぁ?何かしら私のスリーサイズかしらぁ?」


 そう言った途端にライミィが剣呑な表情をしたのを見てすかさず冗談よと戯けるリリスに響介は


「Uの審判」

「Vの世界」


 響介とリリスのやり取りを見てライミィ達は顔を見合わせている。


「やっぱり、リリスさんもセフィロトの構成員でしたか」


「あらぁ、キョウスケくんは気付いてたのね」


「確証はありませんでしたよ。ただ、勘からの後付と推測です」


「リリス、どういうことかしら?」


 ここで話しに割って入るのはオリビアだ。リリスの口振りを見て険しい表情をしているが


「大丈夫ですオリビアさん」


「キョウスケ君?」


「オリビアさんが想像しているような事はリリスさんはしていないと思いますよ」


「そこは信じてもらうしかありませんねぇ。ですがオリビア様」


 リリスは先程までの、否、今までの飄々とした雰囲気から一転させ


「私は同族を売るような恥知らずではありませんわ」


 微笑を讃えながらもそう口にした。だがその言葉は力強い想いが込められており嘘で無い事が伺える。


「どうせなら向こうのテーブルでお話ししましょう。長くなりそうだわ」


 そうして5人はリビングのテーブルへと席に着く。各々疑問があるようだが最初に口を開いたのはリリスだった。


「まず聞きたいわぁ、どうしてキョウスケくんは私がセフィロトの構成員って察したのかしら?」


「最初に思い当たった時はルーブルの時に出たアリスさんの情報です。目撃情報までは何も感じませんでしたが違和感を覚えたのはその後の情報です」


「その後の情報?」


「えっと、キョウスケそれって確かお母さん達と仲良くしてるってやつだよね?」


「ああ、その内容が余りに具体的過ぎたのがどうも引っ掛かった。だからこう考えたんだ内情を知っている人がいるんじゃないかってな。それに別で目的があるんじゃないかってのも考えた」


「別の目的?」


「セフィロトの構成員は人族国家全てに加え他の種族の国やこの魔族領にもいる。そんな大陸中に散っているギルドは何か目的があったら場合、それは何か」


 皆響介の言葉を静かに聞いている。


「それを考えたとき俺の世界のセフィロトって言葉の意味を思い出した」


「セフィロトの、言葉の意味?」


「俺の世界ではセフィロトってのは命の木を指す言葉なんだ。その命の木の表現を変えると俺は世界樹が思いついた。つまりリリスさん達セフィロトは世界樹を探していたんじゃないかってな。まぁあくまで俺の推測だけど」


 ここまで言い終えると響介の言葉を聞いてリリスがパチパチと手を叩いた。


「流石ねぇキョウスケくん。最初に会った時から頭がキレる子だと思ってたから貴方を信じて正解だったわぁ」


「その様子だと、7割がた正解って所でしょうか?」


「ん〜90点って所かしらね」


「後の10点は?」


「何でセフィロトは種族を超えて活動しているのか?かしら、でもキョウスケくんこれだけは言えるわ」


 先程まで戯けていたリリスは真剣な表情で響介に向き直ると


「ギルドマスターの意向で私達セフィロトは鴻上組の活動を全面的に支援する事を私リリスがギルドマスターに代わりお約束しますわ」


 頭を下げてそう語るリリスを見て響介は分かりましたと言うだけで満足そうに笑った。


 何故なら響介にはその意味が分かっていたからだ。

 


 情報屋ギルドセフィロトは鴻上組の下につく。



 ギルドマスターの意向とやらは分からないが分かる事はある。つまりこれは世界樹を救ってくれた礼、世界樹を守る鴻上組と世界樹を守りたいセフィロトが利害が一致している事の証明でもあるのだ。


「リリスさん、残りは宿題にして貰えますか?今は」


「勿論よ、やっと落ち着いたみたいだわぁ」


 いつもの調子に戻ったリリス。奥の部屋からエリーとその母親アリスが出て来て響介達は改めて挨拶、そこでアリスがエリーの目の前で響介達に土下座して感謝の意を表して皆に宥められて、表の潤樹をラミア達から回収して屋敷の帰路に立つのだった。




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