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139話 報告 会談とお願い

響介、マウロに落とし前を付けさせる。




 ラミア達を救出した鴻上組はエリーのテレポートでアングリフ城へ帰還、その足でエリー達がラミア達を一足先に世界樹へと案内しアルフォンスにライミィの母親でラミア達の長オリビアを紹介し二人の会談も響介とライミィ立会の元概ね滞りなく進み


「オリビア殿、助力感謝する」


「こちらこそ、我らを受け入れて頂き誠にありがとう御座いますアルフォンス様」


 無事に会談も纏まり握手を交わす二人を見て肩の荷が降りた鴻上夫妻。大まかな内容は以下の通り



 一つ、世界樹の管理兼居住権の認可。

 二つ、ラヴァナを始め敵対魔族との戦での助力及び後方支援。

 三つ、錬金魔法による回復薬ポーションを始め魔法道具アーティファクトの作製及び援助、その代わり食料及び資材の提供。

 四つ、上記のアイテム納品の数はその都度依頼制、ラミア達に無理強いはさせないようにアルフォンスが管理する。

 五つ、ラミア達の身分は世界樹の森果ては魔王アルフォンスが統地する地にいるかぎり魔王アルフォンスと鴻上組組長鴻上響介が保障する。



 細かいところもあるが大体はこの様に決まり後ほど正式な書類として双方に残すとの事。アルフォンスと別れる直前頼んでいた物を受け取り改めて二人はオリビアの控室へと向かい警備しているデュラハン達挨拶して入室する。


「オリビアさんお疲れ様です」

「お母さんお疲れ様!」


「ありがとう。キョウスケ君ライミィ」


 凛とした音と表現するに相応しい声を少し弾ませて二人と会話するオリビア。別れた後のお互いの話しを交え響介とライミィは改めてオリビアに報告しようとした時


「あっ、そうそうキョウスケ君。ライミィと結婚するのよね?」


 唐突なオリビアからの発言に二人は揃って面食らい顔を赤くしてしまう。しかし響介は筋を通す為顔を赤くしながらもオリビアを見て


「オリビアさん。娘さんを俺に下さい」


 深々と頭を下げて響介はオリビアに申し出る。その響介の姿にオリビアは以外そうな表情を浮かべた


「えっと、それは私の許可はいるの?」


「俺はライミィを愛しています。オリビアさん貴女はライミィの母親です。そして貴女はライミィの幸せを願っている事を俺は知っています。それならばオリビアさんにも筋を通すべきかと判断しました」


「キョウスケ…」


 このエガリテに来たばかりの頃ライミィを助けた事がきっかけでラミア達の集落でライミィ達母娘と暮らしていた響介。

 共に過ごした響介はライミィは勿論オリビアの人となりというものも知ることが出来た。



 何時も穏やかに笑っているが時には優しく時には厳しくと飴と鞭の使い分けが上手く『矜持』と『甘え』の違いをしっかりと理解している女性。



 それが響介のオリビアに対しての感想である。その姿に響介はかつて組に在籍し幼い頃自分の面倒を見てくれた偉大な兄貴分と重なって見えた。

 ライミィの母親を抜きにしても響介からしてみれば十二分に敬意を称するに値する人物なのだ。そんな響介を知っているオリビアは穏やかな表情へと変わり


「娘をよろしくお願いします」


 深々と頭を下げるオリビア。返事を聞いて安心し抱き合う二人を見てオリビアは二人の仲に関して反対する気は毛頭無く寧ろ


「あらあら、私も嬉しいのよライミィ。だってこんなに素敵な子がこれからは私の義息子なんだもの♪」


 笑顔でウェエルカァム。その声は明らかに弾んでおり嬉しそうにライミィから響介をひったくるように抱き着き自慢のたわわな天然グレネードを押し当てる。


「!?」

「ちょっとお母さん!?」


「いいじゃないライミィ。これからはキョウスケ君とも家族なんだから。だからキョウスケ君、これからは私の事『お義母さん』って呼んで頂戴ね?」


「はいっ?!」


 お茶目にウィンクし蛇の身体を艶かしく巻き付けるオリビア33歳。しかし20代半ばと言われても十分に通用する美貌とスタイルは健在、加え年相応の色気もあり色っぽい瞳で響介を見つめる。それに対してライミィは


「ちょっとお母さん!わ・た・し・の!キョウスケに身体絡ませないで!」


 負けじと響介に身体を強く巻き付けて奪うように抱き締める。それを受けてオリビアも響介を抱き締めようとする身体を絡ませる。母娘で響介の取り合いをしようとなったが


「ちょい待ち!二人共暴れないで下さい!人ん家だ!」


 流石にマズイと察し何とか身体を外した響介が二人に待ったをかける。

 

「百歩譲って抱き着くのはいい、だがそれは家帰ってからで頼む。いいですね?」


「「はーい」」


 揃って返事をするライミィ母娘に取り敢えずほっとする響介。ライミィは油断出来ないと言わんばかりに半ば威嚇するようにオリビアを見ているとオリビアはライミィの服に付いていた変わった魔力を持ったバッチに気が付いた。


「ライミィそのバッチ、頭に巻いてる鉢巻きとキョウスケ君の服の背中のおんなじ模様よね?キョウスケ君も付けてるけど」


「これ?これは代紋っていうの!キョウスケのお家のマークなんだよ!」


「家紋ってやつね、私達を助けてくれた時から気になってたのだけどキョウスケ君の服にそんなの無かったわよね?どうしたの?」


 響介の代紋が気になったようで尋ねるオリビアに響介は簡単に説明した。

 この地で極道組織を設立したことを始め事のあらましを静かに聞いていたオリビアは


「…成程、さっきの魔王さんとの話し合いでキョウスケ君の名前があったのはそういう事だったのね」


「はい」


「でも、簡単じゃないわよ?私達には敵が多いわ」


「構いませんよ。渡世は食うか喰われるか敵だらけ。俺は元々そんな世界に飛び込もうとしていたんです。世界が変わった位でビビりはしませんよ」


「ライミィはいいのかしら?」


「私はキョウスケがいるならいいよ〜、それに私達に敵が多いなんて今更でしょ?私達なんて五神に喧嘩売られてばっちり買ってるんだから」


 覚悟が決まっている所かとうに振り切っている娘夫妻が軽い調子で話すのを見てオリビアはつい笑ってしまう。


「ライミィも成長したわねぇ。小さい頃あんなに引っ込み思案な娘が逞しくなってお母さん嬉しいわぁ」


「ちょっとお母さん!」


 しみじみ語るオリビアに顔を真っ赤にして反論するライミィ。仲の良い母娘をこのまま眺めているのもいいが響介はあの事を切り出す。


「ライミィ、オリビアさんに話さなくていいのか?」


「えっ?あっああ、あの事ね!」


「?、何かしら?」


 何だろうと首を傾げたオリビアに響介とライミィはあることを尋ねた。


「お母さん、私達と一緒に暮らさない?」


「えっ?えっと…」


「オリビアさん、俺達と同居しませんか?」


 思いもしなかった娘夫婦の言葉にキョトンとするオリビアお母さん


「いいの?お邪魔にならない?」


「お気に為さらず、屋敷の部屋はまだ10部屋以上空いてますし同居人は既に二人増えますから」


「二人?」


「エリーのお母さんとジュンキさんだよ」


「ジュンキってあのキョウスケ君と一緒にヒョロガキを殴ってたイケメンの子よね?あの子は?」


「元の世界にいた俺の舎弟です。今日の今日この世界に来ちまったみたいで行くとこ無いんですよ。で本人も構わないって言ってるので」


「それにエリーちゃんのお母さんってアリスちゃん?二人共アリスちゃんは…」


「アリスさんの身の上は存じています。こっちでも調べました」


「…知った上で助けるっていうのね?」


「ええ、俺は任侠者ですから。大切な妹分が困ってるなら助けるのが兄貴分ですよ」

「そしてそれは私もおんなじ、可愛い妹分を助けない姉分が何処にいるの?」


 軽い口調で話す娘夫婦を見て改めて頼もしくなった二人にオリビアは尋ねるのをやめた。


 二人の意思は硬い。そしてそれは響介に関わる者達も同じだろうと察したからだ。

 勿論、そこには自分も含まれている時点で不毛な質問だと少し反省するオリビア。


「じゃあ、これから宜しくね」


「はい、至らぬ所ありますがよろしくお願い致します」


 改めて挨拶を交わす三人、話しは纏まるとオリビアは一つ疑問が


「でもここから世界樹までどうやって行くの?エリーちゃんはアリスちゃんに付きっきりで向こうにいるだろうし転送魔法を使える娘達も世界樹だし魔王さんにお願いするの?」


「いやアルはアルで再編が忙しいみたいなんで飛んで行きましょうか」


「飛ぶ?」


 首を傾げるオリビアを連れて部屋を出ると中庭の庭園へ、アングリフ城の中庭庭園5階に有り亡霊騎士団のデュラハン達が綺麗に手入れをしている。庭園の少し開けた場所まで移動すると


「はあぁぁ…」


 集中し気を錬る響介すると気がオーラで見えた時


「はあ!」


 背中に気で出来た翼、朱雀翼を展開した。


「まぁ!凄いわねキョウスケ君。気功術をそこまで応用するなんて流石だわ」


「それほどでも、気合で何とか出来ただけですよ」


「「気合って凄いわ〜」」


 そうして響介はラミアのアミュレットを使って人間化してもらったライミィとオリビアを抱え展開した朱雀翼を羽ばたかせ世界樹へと飛んでいった。響介達が飛び立った後では


「ああ、なんて素晴らしい場にいられたのでしょうかパトリシア、ローレッタ、ミルドレッド!」

「全くですねビアトリス。ローレッタも見ましたか?」

「当たり前じゃない!ああ日誌が捗る…!」

「ああ、今あのキョウスケさん思い出しても…」




「「「「尊いわぁ…」」」」




 響介のライミィの想いを説いた結婚挨拶の一部始終を目撃していた亡霊騎士団のデュラハン達は悶えていたのだった。




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