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異世界に来たらピアニストになった俺~しかし面倒事は拳で片付る任侠一家の跡取り息子の見聞録~  作者: みえだ
第2章 神聖王国 ~ピアニストと駆け出し勇者達~
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14話 昼 買い物へ

響介とライミィ、治療にあたる




 昼時で賑わっている中央広場。そこにある観光客に人気のカフェ。そのテラス席に


「ふう、疲れた」


「お疲れ様、キョウスケ」


 響介とライミィが食事を取ろうとしていた。あの後も下町の病人と怪我人の治療にあたり多くの人間の病や怪我を治して周り気が付けばお昼を回っていた。


「ごめんね、キョウスケ。私がお願いしたから…」


「気にしなくていい。ライミィの判断は正しかったよ。君が判断したから助けることが出来たんだ」


 響介の言葉に安心するライミィ。だが響介は「ただ」と付け加えた。


「最悪俺達が教会に目を付けられるかもしれない。だからご飯食べたら必要なものの買い物とあそこに行こう」


「うん、わかった。でも良かった、みんな助かって」


「ああ、なんとか出来て良かったよ」


「でもキョウスケ、良かったの?お礼受け取らなくて」


「いいんだよ。そんなのが目的でやった訳じゃない」


「そっか」


響介の言葉でライミィは考える


(あの時もそうだったのかな?いや、そうだよね。キョウスケ優しいもん)


「ん?どうしたんだ?」


「なんでもない。うふふ」


 いきなり笑い出した始めたライミィにちょっと疑問があった響介だったがあまりに空腹だったため直ぐに気にしなくてなった。


「まあ今は飯にしよう。それにしても気功術も使いまくると疲れるんだな。腹減った」


「うん、早くこないかなぁ?」


 こんな会話をしていることおよそ5分程店員がやってきて


「お待たせしました。こちらトマトとチーズのピッツァとクラブハウスサンドになります」


「はーい。美味しそう!じゃ食べよキョウスケ!」


「おう、じゃお手を拝借」


「「いただきます」」


 今日の昼御飯はピザとサンドイッチだ。と言うのもライミィがどっちを食べるか悩んでいたので響介が「なら両方頼んで2人で半分こして食べよう」と提案したからだ。勿論ライミィは即決、合わせても銅貨6枚とお安いのもあった。

 響介がこういう提案をしたのも向こうに居たとき組の若いのに「ラーメンとカレーで迷ってるなら両方食ったらどうっすか?」と言われて響介は

「お前天才か」と納得した為。以外と響介は単純である。

それにピザやサンドイッチなら分けるのも楽なのでなおよし


「美味しー!」


なによりライミィも喜んでるからよし。

 響介も食事を楽しむ、手に取ったピザはトマトベースのソースにトマトとチーズとバジルのシンプルなもの、シンプルだがトマトが好きな響介とチーズが好きなライミィにはものすごく丁度いい。響介達は今後の予定を考えながらも食事を楽しんだのだった。






「「ごちそうさまでした」」


 ピザをもう一枚追加しぺろりと平らげご満悦の2人。カフェをあとにしてピーター商会へ向かう道中


「それにしてもライミィは宿とか飯の事とかしっかり聞いてきて偉いな」


「えへへ、そうでしょ?キョウスケと一緒だから美味しいの食べたいし、美味しい所聞いたらクオーコ料理は外れがないって聞いて宿屋さんもカフェもクオーコ料理を扱ってる所にしたんだー」


「クオーコ料理っていうのか」


「うん、料理人の国って言われてるんだって、マルシャン公国の向こうって言ってた」


「やっぱり商業都市だといろいろ集まるもんだな」


「で、ピーター商会行って何買うの?」


「必要な物だな。回復アイテムだとか野菜類の保存食とあとはライミィの弓だな」


「私の弓?」


「ああ、新調してもいいんじゃないか?」


 今ライミィが使っている弓はEランクのウッドボウ(懐中時計登録済み)、せっかくお金があるのだからと響介は提案してみた。


「うーん、いいのあれば考えるけどキョウスケは?」


「うん?俺?」


「だってキョウスケ素手じゃん。グローブ位つければ?」


「それもそうか」


 良いものがあったら考えるか、そう考えながら歩いていたらピーター商会に到着した。相変わらず冒険者や商人達が出入りしている。


「さてと、じゃ見てみますか」


「うん!3階だね」


 武器防具は3階となる。俺達は3階に行くのだが1階の受付で


「おい!なんだこの武器!不良品だったぞ!」


 一人の男が店員に文句をつけていた。見てみると明らかに柄の悪い男が4人と妙に身なりが綺麗で俺達より若く生意気そうな男が一人。どうやら冒険者のようだが文句をつけた男が店員の胸ぐらを掴み


「だから金返しやがれ!こんな不良品掴ませやがって!」


「お客さん、他の方の迷惑になりますから」


「文句あんのか!ああぁん!」






「うわ、あいつらは…」

「関わるなよ、同じに見られる」


 周りの冒険者達が何やらひそひそと話をしているのが聞こえた。どうやら面倒な連中らしい。俺は「行こう」とライミィの手を取り3階へ向かった。その階段を登っている途中


「なんだろうね?あいつら」


「俺達が関わる必要はないよ」


「そだね」


 ライミィも俺の意図を汲んでくれたようで良かった。ああいう輩は絡まれると面倒だ。見たところ冒険者、他の冒険者からも腫れ物扱いなら余程問題がある連中だろう。そして3階の武器防具売り場へそこにいたのは


「おや、これはキョウスケ様。ようこそ」


「こんにちはワッケイン副支店長」

「こんにちは!」


 複数の店員とワッケイン副支店長がいた。どうやら仕入れた武器の検品をしていたようで様々な武器が並べられていた。


「おや?そちらのお嬢さんは?」


「自分の連れでライミィといいます」

「初めまして。ライミィです!」


「初めまして。私は副支店長のワッケインと申します」


 挨拶そこそこにしていると下の階から息を切らして走ってきた店員がワッケインに何やら耳打ちをし


「どうして直ぐ私に報告をしないのですか!あの者達が来たら私か支店長に申して下さいと言っているでしょう!」


「も、申し訳ありません!」


「私が対応しますので案内を」


「はい、こちらに…」


「お見苦しい所を申し訳ありませんキョウスケ様ライミィ様。私は急ぎの用事が出来てしまいましたのでこれにて」


「いえいえ、自分達のことは気になさらないで下さい」


 響介とライミィに一礼しワッケインは後から来た店員と下の階へ向かった。


「おいおい、またあいつらかよ」

「あの勇者様はいい御身分だよな」


愚痴っていた店員達から出た単語が気になった2人は


「勇者様?」

「勇者様ってなんですか?」


「おや、お2人はご存知ない?」

「本当ですか?レッサードラゴンを狩れて?」


「ん?どうしてレッサードラゴンの事を?」


「いえ、貴方達ですよね、昨日レッサードラゴンや魔獣の素材を売りに来たのは?」


「確かに自分達です」


「それにあの『コレクター』も仕留めたときた」


「「『コレクター』?」」


「マクルスの事です。珍しい魔獣や魔物の収集癖で有名な男でしたから『コレクター』と異名がありました」


 あのおっさんそんな異名あったんだなとふと思った響介とライミィだった。だがそれより


「そんな事よりその勇者様ってなんですか?」


「あっ、はいそれが…」


そして俺達は店員達から話を聞いた。

 この神聖王国には5人の神、通称『五神』が信仰されていて、その神々から数年に一度神から選出された者が勇者の加護を受け『勇者』の称号を授かり、神聖王国の平和の為尽力するというもの。

 だが近年その五神のうちの1人の女神が勝手に何人もの勇者を選出してしまい対応に困り国王も頭を抱えているとのこと。

 そしてその問題の勇者はその女神から最近選出された勇者で、女神の教会でも権力者の息子らしくあの取り巻きは彼が金で雇った傭兵らしい。


「成る程な、要は金に物言わすチンピラか」

「て言うかただの人でなしじゃん。ドン引きなんですけど」


「はっきり言うねぇお二人さん」

「悪いこと言わねぇ、ここにいるときはあいつらに関わっちゃ駄目だよ」


「当たり前ですよ!せっかくキョウスケと一緒なのに」


「お嬢ちゃん言うねぇ」


「ここに来るまでさんざん邪魔が入りましたからね……!」


「ライミィかなり根に持ってるな」


「根に持ってるって何を?」


「ここに来る途中何度も追い剥ぎや野党に出くわしまして」


「ええ!?」


「まあ、全て締め上げましたがこの通りライミィがご機嫌斜めに」


「もしかしてお兄さん達かい?野党共を潰したのは」


「まあ、成り行きですね」


「武器を取り上げたと聞きましたが」


「迷惑料代わりに頂きました」


「キョウスケの『お話』凄かったねぇ」


 爽やかに笑い合う響介とライミィ。それを端から見ていた店員達は


「お話…?」

「聞くなバカ、あのお兄さんその筋の人だぞ…」


底の知れない響介達に戦々恐々としていた





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