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124話 1日の終わり お焚き上げと初夜

響介一行、慰労会をする。




 その後も美味しい料理を片手にワイワイと盛り上がった鴻上邸慰労会。一頻り食事はハリエット率いる亡霊騎士団が7割を食べ尽くし、お土産を持ってリタンスフィアを使いアングリフ城へと転送されハリエット達は帰って行った。屋敷に残る響介は暗くなる前にやるべき事をやる為ライミィ達に呼びかけて


「じゃあ、最後にライミィ頼む」


「はーい、バーンウェーブ」


 徐ろにライミィは火属性魔法のバーンウェーブを詠唱し響介がお焚き上げコーナーと称した場所にあったベッドを始めとした家具達を燃やし始めた。緋色の炎がパチパチと音を立て燃え盛り燃え崩れる家具だったもの、崩れて灰となり煙と共に暮れる前の暗がりの空へと上る。それを見てネロは


「なあ、なんで家具燃やしてんだ?」


 ごうごうと燃え盛る炎を前にネロは根本的な疑問を投げかけた。それに響介は


「俺のいた国にお焚き上げって言って故人の遺品を供養してやるんだ。人で言うなれば火葬だな」


「かそう?かそうってなんだよ?」


 聞き慣れない言葉のようで首を傾げるネロに響介は続ける


「火葬ってのは遺体を焼いて残った骨を供養する弔い方法だ。確かに魔族やこの世界の人は埋葬が当たり前だから馴染みはないか」


「残った骨ってどうすんだ?」


「骨は骨壷っていう壷にいれて墓に納骨するのが一般的だな。ちなみに骨を粉状まで砕いて山や海に蒔く自然葬ってのもあるが」


「それ私達だね〜、ラミアはそだよ〜」


 唐突に口を挟んだライミィにネロ達は視線を向けた。当のライミィはおどけた口調ながらも燃え盛る炎を真っ直ぐ見つめている。


「そーなの?お姉ちゃん」


「そだよエリー。私達ラミアは旅してるのもあるけど私達ってみんな魔力があるからさ、遺体に残ってる魔力を魔物に狙われて埋葬しても荒されちゃんだよ」


 ほとほと困ったような声色でライミィは続けた。


「だからね遺体を焼くの。焼けば魔力は炎と共に風に乗って世界を巡るんだって。それで最後に残った骨は粉になるまで砕いて暮らしてた森に撒いて眠らせる、あっ供養か。供養するんだってお母さんが言ってた」


 そうして説明しているうちに炎の勢いが弱まった。家具達が燃え尽きてきたようで次第に勢いが弱まり段々と小さなかがり火になっていく様子の炎を響介達は改めて見つめていた。






 そうして1日も終わり一行は皆私室へと向かう。その私室を見回した響介は


「これはまた、ホテルみたいだな」


 初めて見た私室に驚きの声が隠せない響介。まるでアルスの首都ルーブルで泊まったスイートルームを思わせるような部屋、中は計算されたかのように配置された家具は家具に疎い響介から見ても高級で質が良い家具は年季が入っていてもそれすら装飾として納得してしまい、一面に貼られた真っ白い壁紙は窓から月光に照らされ神秘的な空間を造り上げていた。


「ね〜すごいよね〜。クラリッサさん達頑張ってくれたんだよ〜」


 ベッドの上で響介に抱き着きながら嬉しそうに報告するライミィ。今はアミュレットを外し元の大蛇の姿へと戻り寝間着に着ている白いワンピース姿でリラックスしている。


「ここって、元々2つの部屋だったんだよな?」


「そだよ〜、クリスティナさんがミスリルハンマーでぶち破ってフランシスさん達が床とか壁を綺麗にしてくれたの〜。アルフォンスのお部屋の模様替えとかしてるから得意なんだって」


 嬉しそうに響介に説明するライミィ。窓から射す月光が花のように笑うライミィのベールの様に映り白い大蛇の身体と相まりとても神秘的に見えつい見惚れていた響介。そんな響介にキョトンとしたライミィ


「どしたのキョウスケ?」


 ボーっとしていたキョウスケに疑問に思ったが何か察して


「何?私に見惚れちゃった?」


 直ぐにニコニコと悪戯っ子ぽい笑顔になると響介に抱き着き上目遣いに見つめる。


「ああ、見惚れてた」


「うふふ、嬉しい♪」


「おっと」


 嬉しさの余り不意打ち気味に響介をベッドに押し倒そうとしたライミィだったが響介が押し倒されながらも機転を利かして体制を入れ替えると結果的に響介が押し倒した形に

 ライミィの整った大人びた綺麗な顔、艷やかな金色の髪、宝石の様に輝く紫の瞳、陶磁器を思わせる白い肌、年不相応な飽満な乳房、その全てに覆い被さるような体制になると


「わーい♪キョウスケに押し倒されちゃったぁ♪」


「やれやれ」


 何処か待ってましたと言わんばかりに声を弾ませるライミィに何処か可笑しくなった響介だが


「なぁライミィ」


「何?キョウスケ」


「ライミィって独占欲強いよな?」


「うん♪キョウスケに対してだけど」


「俺にだって独占欲はあるんだよ」


「知ってるよ」


 そう楽しそうに言うとライミィはワンピースのズラし色っぽい黒いランジェリーと飽満な谷間を煽るように見せ付け


「キョウスケ」


 響介を呼ぶ声は色っぽく、その表情は幼さが残るも妖艶で誘うような女の顔になり頬は紅化粧の様にほんのり紅が差し大蛇の身体を愛おしく響介に巻き付き


「キて」


 二人の手は愛おしそうに貝殻結びに握り合い口づけしようとした次の瞬間…




「お兄ちゃん、お姉ちゃん」




「「!」」


 枕を片手に眠気眼を擦り寝間着にナイトキャップを冠ったエリーが部屋へと入って来てしまった。


「一人寂しい、一緒に寝よ〜」


 どうやらいきなり一人で眠る事になって寂しさを感じてしまい響介達の部屋へ来てしまったようだ。

 眠気で前後不覚のエリーが来たこの事態に響介とライミィは先程の空気は何処へやらエリーが目を擦る間に身なりを瞬く間に整えると


「?、お兄ちゃん、お姉ちゃん、何してるの?」


「プロレスごっこだエリー!」

「そ、そなの!ちょっと寝技の練習を!」

「ちょいライミィ!極まってる極まってる!」


 すぐさまライミィが響介に関節技の練習だとコブラツイストを極めていた。明らかにベタな言い訳だがエリーに悟られないように本気で極めにかかるライミィと必死に外そうとする響介。そんな二人を見てエリーは


「エリーもやるー」


 声を弾ませてとてとてとベッドへと登って来てしまった。しかし


「で、でも!いっぱいやって汗かいちゃったら寝辛いからもうみんなで寝よっか!ねっキョウスケ!」


「同感だな、もう遅いしみんなで寝よう」


 その言葉を聞いてうとうとしていたエリーは嬉しそうに響介とライミィの間に入るとポフと寝っ転がるとじきにすやすやと眠りに着いたエリーの寝顔を見て


「「あっぶねぇ〜」」


 寸での所で理性が効いた鴻上夫妻の初夜であった。



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