11話 自覚 自分の気持ち
2人、賞金ゲット!
冒険者ギルドを出た2人はクリス所長から教えて貰ったピーター商会へ向かう。しかしその前にまた路地へ入り武器と魔獣の素材が入った大きめの袋を取り出すことに。勿論登録解除は忘れない
「キョウスケ重くないの?大丈夫?」
「心配しなくても大丈夫だよライミィ。ありがとう」
ぶっちゃけ結構量があって重いが響介はスキルポイントを身体能力系に割り振っているのと常日頃から体を鍛えているのでこれもいい筋トレ程度にしか思っていなかったりする。そんな風にイチャイチャしながら向かい
「ここがピーター商会か」
「おっきい建物だねぇ」
「ああ、冒険者ギルドより大きいな」
所長も言っていたな、人族国家最大手って。ピーター商会と看板が掲げられた建物は6階位ある建物でさっきから冒険者風の人間や商人達が忙しなく出入りしていた。
「買い取ってくれるといいね」
「ホントだよ。まあ入ろっか」
2人は商会の建物へ入る。中は広く目についたのは案内板。買い取りは1階の入って真っ正面の受け付けのようだ。早速並ぶことに、すると
「おい、聞いたか?この間、街道で行き倒れた奴らが保護されたみたいでな」
「行き倒れだぁ?どこの冒険者だよ?」
「それが、どうも野盗連中みたいでなぜか全員丸腰らしくて、うわ言でずっと『悪魔が、悪魔が、』って言ってたらしいぞ」
「魔物にでも襲われたんだろ。俺達も気を付けないとな」
と、他の冒険者らしきグループから聞こえてきた。
……俺達がしめた奴らか?まあ生きてるみたいで少し安心した。そんな風に周りに聞き耳を立てていると俺達の番が回ってきた。
「ようこそピーター商会へ!本日は?」
「武器と魔獣から剥ぎ取った素材を売りたいのですがよろしいですか?」
「買い取りですね。ありがとうございます!にして品物は?」
「これです。こっちが武器。こっちが素材です」
「お預かりします。査定が終わりましたらお呼びしますので代表者様のお名前を控えさせてもよろしいですか?」
「わかりました」
俺は渡された紙に一筆書き武器と素材を渡す。
「ありがとうございます。しばしお待ちを」
ライミィは他の店員さんと何やら盛り上がっているようなので俺は大人しく待つことに、軽く見ただけでもこの街は広い。宿も見つけないとなと考えていたら店員に呼ばれた。査定が終わったようだが、ここでも奥へ招かれた。俺は招かれた部屋へと入る。いたのは白髪混じりだが一癖ありそうな男だ。その男は営業スマイル全開で迎えた。
「この度はピーター商会をご利用頂き誠にありがとうございます。私は副支店長のワッケインと申します」
「これはご丁寧に鴻上響介です」
挨拶もそこそこに本題へ
「今回、キョウスケ様に持って来て頂いた品物の査定結果ですが。こちらで売って頂けないでしょうか?」
と、副支店長が一枚の紙、査定結果の紙を渡してきた。俺はそれを見た、が
「えっ!?こんなにですか!?」
そこに書かれていた金額は
金貨10枚
銀貨8枚
銅貨16枚
しめて10万9600円だ。俺が思っていたよりかなり多い。
「ええ、武器は合わせても金貨1枚と少しですが持って来て頂いた素材類は目を見張るものがあり中でもドラゴンの鱗や牙は貴重なんです。その為高値で買い取らせて貰いたいのです」
成る程、つまり素材の方で色が付いた所か。俺としても予想より1.5倍以上高いので心良く同意書にサインしてお金を受け取った。思わぬ所で儲けることになりありがたかった。
「ありがとうございます」
「こちらこそ、またよろしくお願いします」
副支店長に挨拶をして部屋を出るとライミィが駆け寄って来た
「どうだった?」
「予想以上に高く売れた。暫くは大丈夫だよ」
「ホント!良かったねー」
「ああ、懐中時計の中も整理出来たから一石二鳥だ」
「それならキョウスケ宿屋さん行こ!私店員さんに色々リサーチしたの」
さっき店員さんと盛り上がっていたのは宿の事を聞いていたのか。と納得する俺だった。
「ありがとうライミィ。助かるよ」
「そうでしょ?じゃっ、行きましょ!」
その時俺は気付かなかった。先に歩くライミィが勝ったという笑顔をしていたのを
「それで、どんな宿なんだ?」
「えっと、旅人に人気な宿屋さんで朝風呂があるのと料理が美味しいんだって」
「朝風呂があるのはライミィには大事なとこだな」
「で、一人一泊が銀貨2枚だって言ってて早くしないと取れないんだって」
宿屋の相場もライミィが教えてくれた。
大体の宿は食事無しの素泊まりで銅貨5枚程度、高級宿になると素泊まりでも金貨2枚などピンからキリ、そう考えると人気なのもわかる。銀貨2枚で食事付き(朝食と夕食)はリーズナブルだ。恐らくそれなりのサービスもあるのだろし大丈夫だろう
「それほど人気な宿なのか、泊まれるといいな」
「うん!あっ、ここだよ」
と、俺達は宿に着いた。活気がある宿屋街の中でも中央通りに面している宿「オロス」。外見も立派な宿で一階は酒場や食事処も併設されているようで賑わっている。俺達は宿へ入る。
「いらっしゃいませ。ようこそオロスへ。お泊まりですか?」
番頭らしき男が対応してくれた。ここはライミィに任せた方がいいだろうな。それを察してくれたのかライミィが答える。
「はい!2人なんですけど空いてますか?」
「2人部屋ですね?只今」
「あっ、ごめんなさい!2人部屋で3階がいいんですけど」
ん?なんで階に拘るんだ?
「3階ですね?はい、ちょうど1部屋空いてますよ!何泊で御取りしましょうか?」
「キョウスケどうする?」
ライミィが俺聞いてきたので俺は商会から受け取った袋から金貨4枚を出して。
「10泊分取りたいのですがよろしいですか?」
迷いなく10泊することにした。ここに来るまで大変だったのでその分ゆっくりしたかった。それにこの辺りのことを知りたいのもあり、情報収集がてら次の方針をゆっくり決めたいのが本音でもある。
「はい、御取り出来ますよ!此方が鍵になります」
番頭から鍵を受け取り代表者として俺の名前の記入する。終わるとライミィがはしゃぐように俺の手を引っ張り
「じゃあお部屋見に行こ!キョウスケ!」
「お、おいライミィはしゃぐなって」
グイグイ引っ張るライミィに負け部屋へ、しかし俺は宿のスタッフ達や他の宿泊客の暖かい視線に気が付かず番頭から
「ごゆっくり~」
と言われた。後にわかることになる
「なあ、ライミィさんや」
「なに?キョウスケ?」
「一緒に泊まるからって色々宿の事聞いてくれたのはありがとう。お礼は言うが」
「言うが?なに?」
「なんでベッドがでかいの1つなんだ?」
そう俺は部屋に入るなりそこが一番目がいった。室内は綺麗に掃除が行き届いており小洒落た調度品もある、中央通りに面していて3階の高さのため眺めも悪くない。
悪くないのだが何故かベッドがダブルサイズ1つだけドンと存在感MAXであった。
「えっとね、ここの宿屋さん、カップルや新婚さんに人気で特に3階は人気で好きな人と泊まるなら何処が言いかって聞いたらみんなここが良いって教えてくれたの」
顔を赤らめさせ身体をくねくねさせながら答えるライミィ。
そういう事か!だからあんなに盛り上がっていたのか!10泊分取っちまったぞ!
「なあライミィ」
「とうっ!」
「どあっ!?」
いきなり押し倒されてマウントを取られた。なんで俺はライミィに引っ張られたり抱き着かれたりするのを回避出来ないんだろう…?
「ねえキョウスケ」
「なんだ?」
顔が近い近い!いつもと違う真剣な表情のライミィに俺は緊張する
「キョウスケは私の事好き?」
「へぁ?!」
自分でもびっくりする位変な声が出た!取り敢えず落ち着け俺
「私はキョウスケの事好きだよ」
「え?」
「だからキョウスケの事好き。大好き。初めて助けてくれた時から。自分の事みたいに怒ってくれたキョウスケが格好良かった」
顔を真っ赤にしてたどたどしく言葉を紡ぐ。そんな彼女を見て俺の中にあったものの正体がわかった。
俺も、ライミィが好きだ。ちゃんと俺を見てくれる彼女。誰よりも『ヒト』としての心を持ってるライミィに
「俺も、好きだよ」
多分俺も顔真っ赤だろうな。女の子を恋愛的に好きになったのなんて多分初めてだから。俺の答えを聞いたライミィはパァッと笑顔になった。そうだこの笑顔にやられたんだ。
「キョウスケ大好き!」
より一層強く抱きしめられた。しかししっかりと線引きしたい俺は
「でも、恋人から初めような」
「え?なんで?」
「そういう事するならお互いに責任とれるようにしなきゃ駄目だろ」
「えー、でも」
「それに、俺はそういう事をするならちゃんと君と、ね」
「もう、本当にキョウスケ大好き。ならキスはオッケーだよね?」
「ああ」
俺は押し倒されてる状態からライミィを押し倒し返して手を繋いだ状態でキスをした。
こうして俺達は中は友達から恋人同士になりました。