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うだつの上がらない俺はリア充イケメンに嫉妬する

 この世界に転生した次の朝、酒場の二階から降りてくると一組の冒険者たち(パーティー)が壁に張ってあるクエストの依頼書を眺め話あっていた。


「もう少し稼げるクエストの方がいいんじゃないの?」

「いや、ここは安全を期していった方がいいよ。君はどう思う、クレイシア?」

「わたしはリョーマの意見に賛成かな」


 男一人、女二人のパーティーだ。

 男は金髪の爽やかイケメン。女の方は恰好から見るに巨乳の回復職(ヒーラー)とちょっとロリめの慎ましやかな胸の魔女っこだ。

 あからさまに冒険者してる上にかわいい娘二人もつれて羨ましい限りだ。こんなのが異世界のリア充ライフなんだろうな。


 そんなことを考えながらマリーさんにあいさつし朝食をいただいていると、そのイケメン君が声をかけてきた。


「やあ、君が昨日来たっていう転生者かい?」


 現世では全く関わり合いになることがなかったようなイケメンリア充に声を掛けられ、思わず焦ってしまった。


「あ、ああ、その通りだが?」

「やっぱりか、僕も三ヵ月ぐらい前に転生されたばかりなんだ。ボクはリョーマ、よろしく」

「俺はコウタ、よろしく」


 イケメンが手を差し出すので、その手を取り握手を交わしながらこちらも名乗る。そっちの気はないはずだがイケメンと握手なんて照れるのはなぜなんだろうか?


「僕の仲間も紹介するよ。こっちの背の高い方がクレイシアで、見るからに魔法使いな方がリンカだ」


 クレイシアは『よろしくお願いしますね』と丁寧にお辞儀してくれたが、魔女っこのリンカはそっぽを向いたまま、興味なさそうにしていた。

 あれ、嫌われてる? 初対面なのに? などと思っていると、急にリンカに睨みつけられる。


「あんた、魔力いくつなの?」


 魔女っこだから相手の魔力が気になるのだろうか? 

 しかし魔力が3しかないなどと知れたら恥ずかしいし、知られたくない俺は指を三本立てる。


「三百かい?」


 イケメンの問いに俺は首を横に振る。


「もしかして三千?」


 こんどはリンカが聞いてきた。俺はにっと微笑んで見せた。


「三千か! すごいじゃないか、羨ましいなぁ。僕なんて七百しかないんだよ」


 これはイケメン君がかってに勘違いしただけ、俺は嘘はついてない。そう自分に言い聞かせながらも胸がもやもやする。


「おっと、自分たちはそろそろ行かないと……じゃあね」


 なにやらいそいそと歯切れ悪くイケメンのパーティーは酒場を出て行ってしまった。

 すると今度はマリーさんが声をかけてくる。


「さっきの子達、本当はあなたの魔力量知ってたのよ」


 飲んでた牛乳を勢いよく吹き出してしまう。


 唐突に何暴露してくれてるの、このおじさん!? そうだったとしても、それ言っちゃう? 本人に?

この年代のおじさんが空気読めないのは現世も異世界も共通なの?

 そんなこと知りたくもなかったぁぁ!! 恥ずかしいぃぃぃ!!


 畜生! さっきのイケメン知っててわざと『三千』とか言ってバカにしてたんだな、今頃大笑いしてるに違いない。ううう、悔しいよう……


 異世界転生して二日目の朝になんて日だ。こんな不幸があってたまるだろうか。


 そして俺は確信する。やっぱり俺はイケメンもリア充も嫌いだということをっ!

 あああ、爆裂魔法が使えるようになりたい。

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