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うだつの上がらない俺は雑魚にもてこずる

 俺とマリーさんは平原を歩いていた。


「この辺りの魔物なら弱いから子供でも倒せる、魔力3でも大丈夫なはずよぉ」


 色々と親切にしてくれてはいるが、あまり3、3と言わないで欲しい。

 普通の人で五百前後の魔力が当たり前で、有名冒険者だと万越えしているらしい。魔力3の俺が惨め過ぎるだろ。


「転生者もねぇ、最初の方に送られてきた人たちは、そりゃあ強かったのよ。俺ツエーっていいながら魔物狩りまくって食べて、無双して魔王なんかもいちころだったわよ。その後世の中がなんか落ち着いた感じになってね、本作ることに夢中になったり、農業に精を出してスローライフ満喫してみたり、最近だと魔物飼ってモフモフしたり、令嬢になって男とイチャコラしてる子たちが多いわねぇ」


 なんかどっかで聞いたような話だ。


「魔王が倒されちゃったなら冒険者って必要なんですか?」

「そうなのよぉ、この世界にはね魔素って言う小さい物質がそこらへんにぷかぷか浮いてるのよ。それが獣や石とか木とかに影響与えて次から次へと魔物が生まれてくるの。しかも繁殖率高いし、それらを退治してくれる冒険者は常に必要なわけよ」


 なるほど、冒険者の世話をしているだけあって詳しい。聞いたことなんでもすぐに答えてくれる。

 頼もしいのはいいことだが、異世界のナビ役といったらかわいい駄女神さま辺りが定番のはずが、俺のナビは股間に一物のついている毛むくじゃらの女神なのが泣けてくるところだ。


 「おや、あのウネウネしてるのは何ですか?」


 少し遠くの方で何かが蠢いている。


「ああ、あれが最弱の魔物、スライムよ」

「スライム!?」


 よかった。最弱の魔物がスライムかゴブリンかで、その異世界がイージーモードかハードモードかが分かる。

 ゴブリンだとシリアス展開多めのハードモード。スライムならギャグ展開のイージーモード。

 魔力は3しかないがイージーモードな世界に来れたことはラッキーだ!


「ようし、じゃあさっそく退治してきますよ!」


 慣れない手つきで貸してもらった剣を鞘から抜くと、意気揚々と俺は駆け出して行った。

 目も鼻も口もない、ウネウネしているだけの水のような魔物に斬りかかる。


「てぇい!」


 勢いよく斬りつけたはずが、スライムは何事もなかったかのようにウネウネしている。


 あれ? おかしいな、外したか?


 再度斬りつけるも、ただの水を斬ったように何の手応えもない。


「てい! てい!」


 何度も斬りつけるが無駄だった。


「そいつはねぇえ、魔力を込めて攻撃しないと倒せないのよ」

「ええっ! 魔力ってどうやって込めるんですか? ってか俺3しかないんですけど?」

「大丈夫よ、魔力1でも倒せるから。なんとなく、こう念じる感じで込めなさい」

「アドバイス、ざっくりすぎやしません?」


 俺が質問ばかりのせいか、ちょっとだけムッとしたマリーさんは語気を強める。


「仕方ないでしょ! 感覚なんてそう簡単に説明なんてできないわよ、いいからさっさとおやりなさいな!」


 言われるがまま、なんとなーく剣に念を込めると剣の周りに薄いぼやっとした光がこもる。


「マリーさん、これですか?」

「そうよ、やればできるじゃないの。それで斬ってみて」

「はい!」


 光る剣で斬るとスライムは形を無くしただの水へと戻って地面を濡らした。


「やった! 倒せた」

「おめでとうボーイ」


 ここで素朴な疑問が浮かんだ。


「魔物倒したら経験値とかたまってレベルアップしないんですか?」

「転生者ってみんな同じこと聞くわねぇ。そんなレベルアップなんてないわよ」

「それじゃあステータスが上がったりとかも?」

「ええ、そうよ。そもそもゲームの中ならわかるけど、異世界に転生してそんなステータス画面みたいなものが開けたり、固有名詞のあるスキルが身につくとかどうかと思うのよね、わたし。あなたの世界でも足が速い子と遅い子がいるでしょう? 速い子って走るのが早くなるスキルとか持ってるわけじゃないわよねぇ? それと同じよ。力も魔力も鍛えたら鍛えた分だけ強くなるの。百メートル走みたいに、それを計測して数値化することはできるけどね」


 言っていることはごもっとも……

 それにしても妙なことにも詳しいのなこの人?


「ま、まぁコツはわかったしもう少しスライム倒して練習してみますよ」

「うーん、さっきみたいに剣に魔力込めてみて」


 なんでそんなこと言うのかと思ったが、言われる通り込めてみるが剣は光らない。


「やっぱりね、さっきので魔力全部使っちゃったのよ」

「えっ、でもさっき一回しか込めてないから後二回使えるんじゃ?」

「魔力3だからって三回使えるわけじゃないわ。魔力を1だけ込めるなんて相当の熟練者でも難しいんだから」

「ちなみに魔力ってどれくらいで回復するんです?」

「だいたい一日でその人の持つ魔力が全快するぐらいのスピードね」

「3でも?」


 マリーさんは無言で頷く。


「つまり、一日一匹のスライムしか倒せないと? 熟練しても三匹だけ?」

「そのとおりよ」


 詰んだ。あー詰んだわ、これ。魔力込めないと倒せない魔物がいるのに3じゃあどうにもならんわ。


 現世でうだつの上がらない俺は異世界でもうだつが上がらないらしいです。

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