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序章 篩の解答 一様加速中の潮汐力 の是非

あらすじ(再掲)


 現状一般相対論は正しいと当然のようにされている。これを疑う。だからSFです。


 理系が対象。マッドサイエンティストの考察です。



 これは一般の相間、相対性理論は間違っていると言っている変人、です。特殊な相間さんではありません。


※計算は極力避けます。式がちゃんと書けないので、面倒くさいから。でも必要なんだよな……

※一般とありますが、一般人の方はなるべくご遠慮ください。それでもご覧になっていただく場合、理解出来なくても自己責任で楽しんでください。

※SF、科学、天文、宇宙、などのオタクなどを対象にしてます。

※特殊な相間に飽きた方も歓迎です。

※相間ですが、特殊な相間さんではないので特殊な相間さんへの勧誘などしないでください。


※予備知識。

 高校の微積分まで。力学、ニュートン力学。あと相対性理論。

 但し、計算は電卓でも可。時間制限なしで正解に辿り着ければOK。理解が必要。

※視点が複数で考える必要もあり、整理してないと混乱するため注意がいる。


※【相間の遊び方】

 相間はもっともらしく理論を繰り広げます。それをよく読み、その間違いを冷静に分析して間違いを列挙します。思い込みや計算ミス、考えが飛躍してたり、必要なものが抜けてたり、矛盾があったり、とそれぞれを指摘し、相手の言い訳も論破したりと追いつめて、楽しみます。


 理論展開のどこに虚偽が潜んでいるか、探して指摘してみてください。

 ぶっちゃけ、SFで、あり得ない展開に突っ込み入れるのと、同じです。


◇◆◇ とりあえず、(ふるい)を掛けます ◇◆◇

 問題。

一様な重力場中で加速した物体に掛かる潮汐力の根源は電磁気力である。

正しいか、間違っているか。その説明まで含めて答えなさい。


※問題を読んで、バカだ、と思った方。ちょっと待って。

 序章で解答します。それを見てから判断をしてみてください。

※敗れた、四天王の中でも最弱な方へ。上の方を紹介して一緒に間違いを捜索してください。


※無断転載禁止。



◇問題

――――――――――――――――――――――――――――

一様な重力場中で加速した物体に掛かる潮汐力の根源は電磁気力である。

正しいか、間違っているか。その説明まで含めて答えなさい。

――――――――――――――――――――――――――――


 まず、「” 一様な(・・・) ”重力場中なら潮汐力は発生しない。」と回答した方は脱落です。

 静的な重力場中での潮汐力の説明によって誤解してます。時空の曲率に沿って力を受けるだけしか考慮していないからです。


 順を追って説明しましょう。

 潮汐力の説明ならエレベーターの自由落下ですかね。


 まず最初に観測者として静止座標にいるとし「 静止系 」と呼びましょう。

 次いで、自由落下するエレベーターにいる「 自由落下系 」。


 エレベーターを一体の物と考える。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ここで「 静的な重力場中での潮汐力の説明 」を先に見ていきます。

 静的な重力場を少し言い換えます。

 静的で曲率のある重力場と。

 そう、曲率がある、時空が(ゆが)んでいる、重力場です。

 ここでは球対称であるような、普通の重力源で考えます。


 このエレベーターは重力源から適当に離れているとする。


 床、天井、四方を囲む壁。あとは重心。もちろん重力源は下側、つまり床側です。


 まずは床。

 重心より重力源に近いため、より強い重力を受け、重心より重力が強い。


 次いで天井。

 重心より重力源に遠いため、より弱い重力を受け、重心より重力が弱い。


 最後に壁。

 重心より重力源への力の向きが重心へ寄っているため、真下方向に重力の向きが揃わず重心側へ寄っている。




 これらを自由落下系で見る。


 重心は重力が打ち消されて、力が働かない。


 床と天井は重心から離れるように力が働いている。


 壁は重心へ向けて引き寄せられるように力が働いている。


 という潮汐力の説明になる。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 問題への誤答「 一様な重力場中なら潮汐力は発生しない 」を考えてみます。

 上記のことを踏まえると、一様な重力場中なら潮汐力は発生しない、と考えることも不思議ではないと思われますね。

 これは「 一様 」であるため、力の向きや大きさが場所によって変わらない、と示されているからです。

 床や天井、壁には重心と同じく等しい力が掛かっているだけだから。

 床や天井、壁、それと基準となる重心、その差異を検出して潮汐力と呼ばれる力になる。

 その差異が存在しない、つまり潮汐力は、この場合存在しない、と。


 しかしそれは早計です。静的な場合はこれで良いかも知れませんが、動的、動いた後まで考慮すると結果が違ってきます。


 具体的に言うと、特殊、相対性理論(以後相対論と略す)を適用するとローレンツ収縮が発生するからです。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ローレンツ収縮に力が必要とは理解が及んでいない方がいると思います。

 今は慣性系同士の特殊相対論におけるローレンツ変換ではありません。

 一様な重力場という特殊な条件を考慮しないと理解が及ばないことが予想されます。

 今度はこのことについて説明していきましょう。


 二つの視点を用意する必要があります。

 ローレンツ収縮が働く場合と、働かない場合の二つです。


 ローレンツ収縮が働かない場合があるのか、と疑問に思うことでしょう。

 これは当然力が働かなかった場合です。

 特殊相対論の学習の段階で区別して把握していても、そうと認識していないことが考えられます。

 慣性系での座標変換しか考慮していない場合、ローレンツ収縮には力は要りません。

 ローレンツ収縮の力の要、不要が特殊相対論への理解には必要ない、と省略された弊害でしょう。


 とりあえずエレベーターを3つ用意してみましょう。

 最初をA、さらにB、残りをCと。

 重力の向きに合わせて、並べ、等間隔で距離「 d 」で離れているとします。


 最初をAとすると天井側にd離れてB、2d離れてCがある、という風に設定します。




◇◇◇ ローレンツ収縮が働かない場合 ◇◇◇ 静止系


 最初の時刻 t_0 = 0 のときに静止系にそれぞれのエレベーターは静止していたとする。


 時間が経って時刻 t のときのABCの位置はニュートン力学で考えれば、簡単に把握される。

 必要ないときまで相対論で考えなくても良い。具体的に知りたければ自分で計算してくれ。重要ではない。


 この場合、Aの軌道は間隔dでBの軌道、間隔2dでCの軌道と一致する。


 これがローレンツ収縮が働かない場合です。特殊相対論での計算をしてないからではありません。




◆◆◆ ローレンツ収縮が働く場合 ◆◆◆ 静止系


 これらのエレベーターを宇宙船にでも取り込み固定する。Bの位置を重心に来るようにする。


 時間が経って時刻 t のときのABCの位置を特殊相対論で考えてみる。


 静止系から見たACの位置はローレンツ収縮によってBに寄って見えるでしょう。

 速度をvとして、光速をc。ローレンツ因子 γ とすると


(1/γ) = √{1-(v/c)^2}


(v/c)^2は(v/c)の2乗という意味

√{1-(v/c)^2}は{1-(v/c)^2}の平方根、(1/2)乗。


という係数がAC間の距離2dに静止系からだと掛かって見える。(1/γ)<1。


※ここでの見えるとは、座標系の同時刻での距離を計測した、という意味である。

※ある位置から観測して光が届いた、という意味ではないので注意。


 これがローレンツ収縮が働く場合です。


 どう違うのか、自由落下系でも比較して調べていきましょう。




◇◇◇ ローレンツ収縮が働かない場合 ◇◇◇ Bの自由落下系


 Bという自由落下系から見た場合。

 最初、等間隔に離れたAとCはある時刻 t でローレンツ因子 γ > 1という係数がdに掛かった距離 γd になる、というわけではない。

 等速直線運動だけの特殊相対論ならこれでも良かったが、加速してるためそう簡単にはいかない。

 が面倒くさいため、加速を途中で止め、等速直線運動にして考えると。

 Bからの距離がAやCはdからγdというように大きくなっているわけです。

 静止系では長さが変わらないが、自由落下系で変化するのは長さの基準が変わる、ここでは基準が短くなることで距離が大きくなるわけです。




◆◆◆ ローレンツ収縮が働く場合 ◆◆◆ Bの自由落下系


 Bという自由落下系から見た場合。

 またまた面倒くさいため、加速を途中で止め、等速直線運動にして考えると。


 AB間、BC間の距離はdから変わらず。




 見た目では下記のような感じです。


◇◇◇ ローレンツ収縮が働かない場合 ◇◇◇


◇◇◇ 静止系 ―――:d

◇◇◇ t_0: A―――B―――C

◇◇◇ t : A―――B―――C


◇◇◇ Bの自由落下系 ―――:d ― ― ―:γd

◇◇◇ t_0: A―――B―――C

◇◇◇ t : A― ― ―B― ― ―C



◆◆◆ ローレンツ収縮が働く場合 ◆◆◆


◆◆◆ 静止系 ―――:d ――:d/γ

◆◆◆ t_0: A―――B―――C

◆◆◆ t : A――B――C


◆◆◆ Bの自由落下系 ―――:d

◆◆◆ t_0: A―――B―――C

◆◆◆ t : A―――B―――C




◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 力が働かない、ローレンツ収縮が働かない場合、Bの自由落下系からACを見ると距離が開く。

 力が働く、ローレンツ収縮が働く場合、Bの自由落下系からACを見ると距離は不変。


 ここで疑問だろうものはローレンツ収縮が働く、力が働くとはどういうことか、だと思います。


 考えるべきは、切り離されているとローレンツ収縮せず、一体となってくっ付いているとローレンツ収縮する、ということです。


 ローレンツ収縮するしないは、物体として結合してるか否かに係ってます。

 段階的にローレンツ収縮を見ていきます。


 まずローレンツ収縮するのは電磁場です。粒子、原子、に付随し変化します。


 次に変化するのが原子間隔。

 今、結合しているということは、バネで繋がっていると考えます。

 ちょっとした力の場合、フックの法則に基づき、復元力として相対位置を戻します。

 ここで原子の電磁場がローレンツ収縮によって収縮すると、原子間の距離が広がっていくように感じます。

 しかし、それを復元するのが原子間の結合力。


 原子の電磁場のローレンツ収縮で、原子間の距離が広がっていく感じを復元力によって繋ぎ止める。

 復元力によって原子間も原子の電磁場と同様にローレンツ収縮する。


 それにより全体にて、ローレンツ収縮する。

 結合力とはファンデルワールス力、共有結合、イオン結合、金属結合などの電磁気力を起源とする力だ。

 この力、原子間の復元力こそ、ローレンツ収縮させている力そのものです。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 これによって問題の解答が、物体に掛かる潮汐力の根源は電磁気力である、って答えだと考えるにはまだ早い。

 これはローレンツ収縮させている力ではあっても潮汐力ではないからです。


 ここで加速による潮汐力について考えます。

 分かりやすく極端な例を考えましょう。

 銀河系の横の大きさ、10万光年ぐらい? の物体を考えます。

 加速して0.6cまでになったとする。光速の6割の速さだ。1年で加速したことにする。

 そうすると長さはローレンツ収縮で8割になる。8万光年の長さになります。2万光年短くなります。

 重心が真ん中にあるとして後端が1万光年短くなった。1年で。……

 一定の加速だったとして計算すると、両端は光速の1万倍の速さになります。あり得ません。

 これは途中において潮汐力で引き裂かれることを示しています。


 上記のように、Aを先端、Bを重心、Cを後端として


◆◆◆ ローレンツ収縮が働く場合 ◆◆◆

◆◆◆ Bの自由落下系 ―――:d

◆◆◆ t : A―――B―――C


◇◇◇ ローレンツ収縮が働かない場合 ◇◇◇

◇◇◇ Bの自由落下系 ― ― ―:γd

◇◇◇ t : A― ― ―B― ― ―C



 つまり加速系における、距離にローレンツ因子を掛けた2点間の間隔が離されるときの、引き裂こうとする慣性力。静止系から見た、それぞれの加速位置に留まろうとする力。

 それが潮汐力です。

 遠心力が回転系における慣性力という虚構の力、向心力が働かない場合の力であったように、一様加速という系における慣性力という虚構の力、ローレンツ収縮する力が働かない場合の力が、潮汐力であるわけです。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 だから問題の解答は、問題文、


一様な重力場中で加速した物体に掛かる潮汐力の根源は電磁気力である。


というのは間違い。

 間違っている箇所は電磁気力。もしくは潮汐力。

 訂正するなら、以下のどちらか。


一様な重力場中で加速した物体に掛かる潮汐力の根源は慣性力である。

一様な重力場中で加速した物体に掛かるローレンツ収縮するための力の根源は電磁気力である。


となる。

 説明は省略。上記で説明しているから。





 SFなどで急激な加速は、ロケットのように後ろから押せばペチャンコ。一様な加速であっても上記のように引き裂かれることもある。

 長い物体程、ローレンツ収縮の影響を受ける。加速の邪魔に。

 このような結論になります。




 篩は面白かったでしょうか? 序章では一般相対論は予備知識だけでした。

 脱落されても面白かったなら、続きもご覧ください。

 そしてリベンジするため、本編の虚偽を見出して雪辱を晴らしてください。


 余裕で正解された方は引き続き本編へ進み、欺瞞情報を探し出してください。




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